ジョーカー,Joker,映画,ホームシアター

ジョーカー(原題:Joker)

2019年のトッド・フィリップス(Todd Phillips)監督による映画。お馴染みのDCコミックス「バットマン」に登場する宿敵ジョーカーを主役に置いたスリラー映画で、如何にして“ジョーカー”が誕生したのかまでが描かれている。暴力的な内容で残虐性が高くR15指定の映画となっている。ジョーカーというキャラクター自体が狂気の沙汰を象徴するようなキャラクターなので、当然R15指定以上にはなるだろう。

DC系はワーナーブラザーズが映画配給しているのでNetflixで配信されるのもそれほど時間はかからないだろうと踏んでいたら案の定、ディスクメディア販売から半年ほどで配信された。個人的には少ない時間の中で軽く観られる映画ではないと思っていたので鑑賞を先送りしていたがやっと腰を据えて鑑賞できた。個人的に音楽、映像、ホアキン・フェニックスの演技力は秀逸と思えるのだが、ストーリーやジョーカーを使ってアート的に魅せようとするような映像演出については不満が残る内容だった。

Blu-ray仕様:本編122分 アスペクト比:1.78:1(ビスタサイズ)
英語:ドルビーTrueHD ドルビーアトモス 日本語:5.1ch ドルビーデジタル
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ジョーカーになるまでの経緯ついて、バットマンの中では紹介されているが確立したオリジンストーリーがこれまでも語られていないので如何様にもできるのは確かだが、このようなストーリーとはちょっと想像していなかった。今回はNetflixで鑑賞し、よければ保存版としてディスクメディアを購入する予定だったが、そこまでには至らなかったのは残念。鑑賞中に睡魔に襲われ瞬間的ではあるが2度ほど落ちたのは内緒だ。

「ジョーカー」あらすじ

「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れるジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる!

TM & © DC. Joker © 2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

出演は、ホアキン・フェニックス(Joaquin Rafael Phoenix)、ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)、ザジー・ビーツ(Zazie Olivia Beetz)、フランセス・コンロイ(Frances Conroy)、ブレット・カレン(Brett Cullen)など。

ホアキン・フェニックスの演技力が光る映画作品だ。

ジョーカー役、ホアキン・フェニックスの演技力は秀逸

この映画において個人的に見所はひとつ。ジョーカー役を演じたホアキン・フェニックスの演技力だ。ストーリー上でも精神的疾患があるアーサーは、劇中において一人芝居的な演技の要素も多く、それが実際に狂気な行動を取る前から、既に狂気的な人間のイメージにつながっていく。少しアート的な映像で映し出されるホアキン・フェニックスの演技が映える。

映画冒頭でいきなりジョーカーなのではなく、アーサーは仕事として道化師の格好をしている。


仕事中にクソガキどもに襲われた時、咄嗟に頸椎と股間を抑え急所を守る。これは演技指導かホアキンのアドリブか。

演出やカメラワークに頼るのではなく、演技として心情の変化を見事に表現している。ある時を境に「プツン」と切れてジョーカーになるのではなく、徐々に蝕まれるようにジョーカーとして変貌してく様子はホアキン・フェニックスの演技力ならではなのだろう。観ている方としてはアーサーがあのジョーカーとして変貌してく過程が自然すぎて“ここからジョーカーになった”とはわからない。映画冒頭からピエロのメイクで精神的疾患もあり余計に変化が分かりにくいが、映画が終わる頃にはすっかり「バットマン」に登場するあの“ジョーカー”になっていたという感じであり、決してあの衣装を着て、あのメイクをした時からがジョーカーではないのだ。

何の因果か、自身のルーツを知るためにアーサーはウェイン家を訪ねる。そこで登場するのが、まだ幼いブルース(後のバットマン)とアルフレッド(執事)。


コメディアンとして成功を夢見るアーサー。この頃はまだまだ“あのジョーカー”ではない。

“通好み”なアート系映画に仕上がっているのに少々げんなり

後にバットマンの宿敵となるジョーカー。それまでの経緯と人として堕ちてゆくアーサーを描くまでは良かったと思えるが、その見せ方が何かしっくりこない。所々で道化師(パフォーマー)としての踊りがアーサーの精神状態や内面の表現のひとつとして、正常と狂気の狭間をさまよい葛藤する心理状態を表現しているかの様にも見える。または、ジョーカーとして狂気に陥る姿を身体で表現し、陶酔しているかの様にも見えるので、それらの映像は切なさを感じさせ、ライトの当て方からカメラワークまで繊細にアーサーを映し出す。そこではセリフも何もないので何の説明もない。捉え方や感じ方は観る人に委ねるように投げられる。

光の演出は見事。さりげないがライトの当たり方や、周りの光にも注目してもらいたい。それらとホアキンの演技力を含めて1つのさも美しい映像アート作品のようだが、“映画通(つう)”と呼ばれそうな人が好みそうな、少し面倒臭い作品に仕上がっている。まるで「このメッセージ性や良さが判ってこそ映画“通”」と言わんばかりの演出に観ていて少しげんなりした。2度ほど“落ちた”のも自分で納得できる。

この映画のクライマックス的ワンシーン。ジョーカー・ステアーズ・ダンス。中盤の公衆トイレ内の青白く光る蛍光灯の下で踊るダンスといい、コンテンポラリーなダンスシーンだ。

そして、あくまでもそこに映っているのは狂気の犯罪者に陥る一人の人間の姿であり、さらにはジョーカーというDCコミックスのキャラクターであり、マンガのスーパーヴィラン(宿敵)の姿。アメリカの現代社会を風刺し、少々ジョーカーを美化する様なこのギャップが個人的に何だかしっくりこないのだ。

バックグラウンドにかかっている曲はGary Glitterの「Rock and Roll, Part 2」

明確なジョーカーのオリジンストリーがない弊害

バットマンの宿敵として登場するジョーカーだが、彼のオリジンストーリーが明確になっていないため映画に登場すると矛盾だらけになる。先日紹介した「スーサイド・スクワッド」ではジョーカーの若かりし頃の姿で登場する。しかも既にあのメイクで髪の色もグリーン。ジョーカーのあの独特なメイクはバットマンに追われて化学薬品の溶液に落ちて白い肌、赤い口、緑の髪に変化したとされるのが有力なのだが、本作のジョーカーメイクになる過程も違うし、「スーサイド・スクワッド」のように若い時でもない。

この映画おいてジョーカーのメイクの解釈はこれまでと違うようだ。

もともとサイコパスなキャラクターのジョーカーだが、本作においても精神疾患はあるものの、サイコパスと断定する直接的な原因とは考えにくい。これまでの映画で観てきたジョーカーとは少し違う印象がある。根っからの狂気的な思考ではなく、なるべくしてなってしまったジョーカーという印象。…同情はできないけど。

このようにキャラクターの背景や設定に統一感がないのも、日本より何かと大雑把なアメリカ的発想なのかもしれないので、あまり気にせず設定の違いをアザーストーリー(本編からのスピンオフや外伝という“アナザーストーリー”ではなく、キャラクターは同じでも全く別の話:Other Story)として楽しむのが良いのかもしれない。個人的には「ダークナイト」で登場するヒース・レジャー演じるジョーカーが、行動が稚拙ながらも狂気を感じさせ、次に何をしでかすか分からない絶妙なサイコパス的恐怖があって一番しっくりきた。



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4K UHD版はこちら。ただ映画として観るには残虐なシーンもあるので、それを4K UHDほどの高画質で視聴する価値があるかどうかは人それぞれ。Blu-rayでもドルビーアトモス収録されているので無理に高額な4K UHD版を購入する必要性は今ひとつ欠ける気がしないでもないというのが個人的な感想。

しかし、少し芸術性の高い本作において4K UHDの高画質は1つの価値がある。残虐シーンを含む内容を置いておけば、映画ソフトのコレクションアイテムとして、とてもいい映像だと思うので4K UHDメディアを持っておく価値があるだろう。


「ジョーカー」は2020年8月16日時点でNetflix会員なら無料視聴可能。U-NEXTなら550ポイントで視聴可能。Amazonプライムビデオでは有料(レンタルもしくは購入)になる。

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コメント

  1. そうなんですね、つい同じ音声フォーマットの部類かと思いました。勉強になります!
    ソフトだと音声のみのビットレートはソニーやパナのプレーヤーでも表示させることが出来ますが、ドルビーアトモスで6~8Mbps,、DTS/HDでそれよりちょい下、ドルビーデジタルだと1Mbps以下って感じでしょうか・・・。やっぱりロスレスとロッシーだと音の厚みと奥行きが違ってきますよね。

    • 少しでもお役にたてて嬉しいです。
      調子に乗って、もう一つ掘り下げてマニアックに言うとドルビーアトモス音声は可変ビットレートを採用していますので少し前後しますが確かに概ね6〜8Mbpsで推移します。Blu-rayや4K UHDでの音声ビットレートは基本的にサンプリング周波数は48kHzでビット深度が16bitなのですが、ドルビーアトモス音声の場合は家庭用で9.1〜13.2チャンネルを使用するので可変ビットレートを採用しているため少し流動的です。基本的な音声ビットレートの計算として「48kHz×16bit×チャンネル数」となりますのでドルビーアトモス音声のビットレートは必然的に高くなります。例えば7.1.4の場合なら11チャンネル全出力使用(サブウーファーは除く)で「48×16×11」で8,448bpsとなりますので、基本的に音声ビットレートは約8.5Mbpsと計算できます(可変ビットレートなので一概には言えませんが)。DTS/HDはドルビーアトモスよりチャンネル数が少ないので計算上、仰る通り音声ビットレートは「それよりちょい下」となります。

      ロスレスとロッシーに関しては正に仰る通りです。

      • ほっほ~お詳しい!可変ビットレート・・・フムフム。調べてしまいました。そういえばライブのBDでLPCM2chとドルビーTR/5.1chの音声が選べるモノがありますが、LPCMにするとどれも固定ビットレートで数字が動きません(たしかどれも2.3Mbps固定だったような)に対して5.1chのほうは常時数字が動きますし、数値はLPCMより高いですね・・・。アトモスに関しては作品は忘れてしまいましたが一瞬8.8Mbpsってのを記録したのを見たことがあります。常に再生情報を出しているわけではありませんが。対して映像に関しては「ボヘミアン~」と「ハンターキラー」だったと思うのですがUHDで一瞬100Mbpsになったのを見たことがあります(笑

  2. >“映画通(つう)”と呼ばれそうな人が好みそうな、少し面倒臭い作品に仕上がっている。
    >まるで「このメッセージ性や良さが判ってこそ映画“通”」と言わんばかりの演出に観ていて少しげんなりした。

    あっ、僕の言いたいことを全ておっしゃってくれてありがとうございます。
    今までも「あ~いかにも映画通が支持しそうな作品だな~」って思うモノは殆ど共感できませんでした(笑
    とにかく、ジョーカーといえばヒースレジャーが演ずるジョーカーが僕もドストライクでした・・・

    話変わりますがWOWOWってなんであんなに画質がいいんでしょうか???配信モノよりビットレートが高いんですかね?
    昨日も「ハンターキラー/潜行せよ」を観たんですが、BDより解像度が高いんじゃないかと思うほどでした。
    音声はAACってヤツでこのフォーマットよく知らないんですけど、音もいいです(笑 ドルビーデジタルプラスとかよりビットレート下ですよね?

    • WOWOWの画質が良いと言われていますが、具体的なことは私も知らないんですよね。何故でしょう…すみません、勉強不足です。でも感覚的に綺麗と感じるのは、きっとコーデックの違いかビットレートの違いがあるのでしょうね。

      音声コーデックのAACはMP3の後継コーデックとして誕生し、MP3の拡張版と思ってもらっていいです。かつて音楽プレーヤー(当時はMP3プレーヤーとも呼ばれたこともありました)などでもよく利用されたMP3よりも同じ圧縮率なら断然AACの方が高音質になります。

      「ドルビーデジタルプラス」はコーデックの一種ではなく、あくまでも音声データと動画データをまとめて送信する動画ファイル(送受信用コンテナ)のことなので、中身の音声データがどのコーデックを採用しているかによって音質は変わるのではないかと思います。ビットレートで比較する場合はドルビーデジタルプラスから取り出された音声データのみのビットレートを比較してないと単体のAAC音声データとの比較はできないことになります。ドルビーデジタルプラスの表記でビットレートが表示されている場合はおそらく、動画ビットレートと音声ビットレートを合わせた総合ビットレートが表示されているはずです。

      なので、もしかすると比較されるドルビーデジタルプラスに含まれる音声データよりもWOWOWから送られてくるAAC音声データのほうが音質が良いのかもしれませんね。

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