アバター,ホームシアター,3D,映画,感想

アバター(原題:Avatar)

家キネマで3D映画を語るにはこの作品は外せない。2009年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の映画「アバター(原題:Avatar)」。現在の3D映画やかつての3Dテレビブームはこの映画をきっかけに始まったと言ってもいいだろう。今やアクション映画やアドベンチャー映画、SF映画では殆ど当たり前のように3D同時上映がある。しかし、未だに「3Dで魅せる」この映画をなかなか超える3D映画がないのが現状。

私は2Dと3D映画が同時上映していたら、やっぱり3Dを選んでしまうのだが、今の映画は単に3D映像化しているだけに見えて特別3D映画にする必要性が感じられないものもある。それでも3Dには2Dにない魅力があり、いつの間にか映像に引き込まれる感じが好きだ。

本編162分で、通常のテレビ比率と同じ16:9のワイドスクリーン(ビスタサイズ)、英語:5.1ch DTS-HD マスターオーディオ(ロスレス)、日本語:5.1ch  DTS 仕様。

「アバター」あらすじ

地球のエネルギー問題を解決するために希少鉱物を採掘しに行くのが惑星ポリフェマスの衛星「パンドラ」。ここに「アンオブタニウム」という希少鉱物資源がるのだが、この星「パンドラ」には「ナヴィ」という先住民が存在し交渉するも聞き入れてもらえない。地球人はナヴィと地球人のDNAを掛け合わせた人造生命体を作り、”アバター”としてナヴィとの接触をして交渉するも叶わず、やがて…紛争へ。

※ナヴィとは地球でいう”地球人”と表すのと同じで「パンドラ」の星の人型生命体を「ナヴィ」と呼ぶ。”ナヴィ族”ではない。人間とも違うし「宇宙人」と呼ぶのもヘンだったからか。

このアバターは、映画としてのジャンルが一杯詰まった映画だ。SFであり、アドベンチャーであり、アクションであり、ファンタジーであり、ラブロマンスでもある。オマケに3D。これでもかと詰まっている。

そもそも、アバターとは

アバターとはこの映画以前からある言葉で、いわゆる自分の分身キャラクターを表す。ネットゲーム等でキャラクターを自分好みにカスタマイズして操作し、チャット等で会話をしながら冒険するゲームも、アバターを利用したゲームに当たる。この映画「アバター」もそれと同じだが、映画の中ではゲームではなく実際にアバターとなる人造生命体を作り神経を接続する装置に人間が入って意識をアバターに憑依させて動く。まずこの劇中でのシステムを理解しておかないと、最初は夢か現実か分からない世界にいるような感覚になってしまう。勿論、映画を見進めると理解出来ると思うが、最初につまずくと後の映画内容が頭に入ってこない方もいるので、最低限ここは理解し抑えておこう。

3D映像の息をのむ映像美

映画の映像美は本当に「素晴らしい」の一言に尽きる。3D映像ならではの密林の奥行き感や飛行中の高度、アバターは人間よりも体格がだいぶ大きいのだが、その大きさや、森の中で美しく光る幻想的な植物、その種子が飛ぶ様子…等々が目の前に広がる。美しい世界だ。2Dでもその美しさは伝わると思うが、3Dにする事によりその場の美しさが際立つ。そういう画作りをしている映画だ。無闇矢鱈にこっちに飛んできたり、飛ばしてきたりする3D映画としての”わざとらしさ”がない自然な映画。2Dでも十分楽しめる映画だとは思うが、やっぱり3Dで見てどっぷりと「パンドラ」の世界に入ってもらいたい映画だ。

そして、その大自然の恵を受けながら生活するナヴィ達。それらを極めて美しく描くからこそ、この映画を鑑賞する側に「この星を大切にしなければ」という気持ちにさせるのだ。そして地球人との紛争が起きる。見ている方の多くはナヴィ側に付く。この心理操作が上手いのだ。

映画上の架空の生命体なのに

この映画におけるナヴィというのは、もちろん架空の星の、架空の生命体。地球人から見ると異星人だ。しかも青い縞模様の肌、大きな動く耳、イエローグリーンの目、ライオンやヒョウのような鼻、牙のある歯、更にはシッポがある。でも二足歩行で手が使える。どう考えても人間とはかけ離れている。どちらかというとスター・ウォーズに登場するクリーチャーの様だ。しかし、このナヴィの表情や暮らしを見ていると本当に違和感が無くなってくるから不思議だ。ナヴィで”ネイティリ”という名のヒロインが登場するのだが、見て行くうちに女性らしく可愛く見えてきて、しかも心が美しく、強くカッコイイのだ。正にパーフェクトレディ。ナヴィであり地球人ではないのだが、立派なヒロイン像を描き出す。彼女が居ないとこの映画は成り立たない。

ヒーローもヒーローらしく

この映画のもう一つの要素。主役のサム・ワーシントン(Sam Worthington)演じる”ジェイク・サリー”は両足が不自由となった地球人なのだが、アバターとなりパンドラでの生活を続ける。ジェイクは元軍人の設定なので、ナヴィには戦士として受け入れられるようになるが、初めから強いワケではない。身体に不慣れなこともあり初めは弱いが、心身(?)共に成長をしてゆき…。とまぁ、ちょっとしたサクセスストーリーで、ちゃんとヒーローらしく成長してゆく。…こういうの(良い意味で)ダメだ。この成長ぶりを見ていてワクワクする感じ。たまらん!

家族全員が楽しめる映画

素直におもしろい映画だと思う。映画としてのエンターテインメント性もあり、自然の大切さや人との心の繋がりや勇気をもらえる。映画の見終わりに家族でワイワイ話をするにも題材としてモチーフが豊富にあり良い映画だ。でも、あまり子供に環境問題について具体的にしつこく問うと、うっとうしがられて場がシラケるのでほどほどに(とくにお父さん!)。子供にうっとうしがられないためにも、それとなく映画を通じて「自然は大切」という事を説く程度に留めておくことをお勧めする。

人間のエゴ

この映画は人間の「エゴ」を風刺して描かれているのだなと私は個人的に感じた。この映画においては地球人は侵略者の立場となっている。しかもこの「パンドラ」という星から見れば、地球人は立派な異星人である。その異星人(=地球人)が自分たちの地球エネルギー問題でナヴィの住む美しい星「パンドラ」に乗り込み、交渉しても聞き入れないなら武力で大切な資源を取ろうとするのだから「そりゃダメでしょっ」て気持ちになる。鉱物を取り合う紛争って映画「アバター」の世界ではなく、今の地球上で実際に起こっていることだ。また、ジェームズ・キャメロン監督自身、ブラジルのアマゾンに計画中の水力発電ダムの建設反対運動に参加していることから、キャメロン監督自身の心境を「アバター」に投影したのかもしれない。「パンドラ」のあの美しい森はアマゾンそのものに見立てているのかも。人間のエゴで大切な自然を破壊してはいけないと…。映画の中での時代、人類が他の惑星の衛星「パンドラ」まで行ける技術と英知があるなら、そんな原始的に侵略をしようと思わなくても、もっと他に方法があるだろう、きっと。

 

何故、私はコレを当時映画館(IMAX 3D)で見なかったのか・・・痛恨の極み。周りがあまりに凄い凄いと騒ぐから、つい「天の邪鬼」精神が〜。

 

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