決して、「○○戦隊イエスマン!」等というヒーローもの映画では無い。タイトルだけ見るとそれっぽいけど、いや、ちょっとしたヒーローになる部分もあるが…違う。
Blu-ray仕様:本編104分、2.35:1(16:9レターボックス)、
英語:5.1ch ドルビー TrueHD 日本語:5.1ch ドルビーデジタル
ジム・キャリーと言えば、これだけ有名になる前に「ダーティー・ハリー 5(原題:The Dead Pool)」(1988年)にジョニー・スクエアーズと言う名のロックシンガー(ヘビメタ)役で出演している。このときから結構なクレイジーぶりを見せていた。その後、「エース・ベンチュラ(原題:Ace Ventura)」、「ジム・キャリーはMr.ダマ—(原題:Dumb & Dumber)」や「マスク(原題:The Mask)」等で、コメディアンとしてトップに立った俳優だ。「エース・ベンチュラ」では第15回ゴールデンラズベリー賞最低新人賞にノミネートされたが受賞はならず。
Contents
「イエスマン “YES”は人生のパスワード」あらすじ
― もしも、すべてに“YES”と答えたら ―
仕事にもプライベートにも「ノー」「嫌だ」「パス」と答える極めて後ろ向きの男、カール・アレン(ジム・キャリー)。 親友の婚約パーティーまですっぽかし、「生き方を変えない限り、お前はひとりぼっちになる」と脅されたカールは、 勇気を振り絞り、とあるセミナーに参加。“意味のある人生を送るための、唯一のルール”は、全てのことに、それがどんな事であっても「イエス」と言うだけ。何事も否定せず「イエス」を連発、偶然知り合ったアリソン(ゾーイ・デシャネル)は、彼の積極的でユーモアのある人柄に惚れ込む。人が変わったように運気をどんどんあげていくカール。 だが全てが好転し始めたとき、思わぬどんでん返しが待っていた・・・?
ワーナー公式サイト「イエスマン “YES”は人生のパスワード 」より引用
よく顔芸が注目されるジム・キャリーの顔面。この映画では割と抑えられている方だが…まぁ良く動く。顔面も柔らかいが、身体も柔らかく良く動く。
ジム・キャリーが苦手だった
始めジム・キャリーを見た時は正直気持ち悪いと思った。いや、気持ち悪いは言い過ぎか。なにせ見ていて心が落ち着かない。落ち着かないので見ていてイライラする。ジム・キャリーの表情が変幻自在にコロコロと変わりドタバタと転けまくる。役柄なのだが、落ち着きが無く人の話を聞かない。かと思えば急に真顔になる。その変幻自在な移り変わりが面白いのか、以前私の周りの人達は彼が主演の映画を見てケタケタ笑っていたが、私からするともう情緒不安定の人間を見るかのようだった。そこからジム・キャリー主演の映画は私は遠慮していた。「バットマン」シリーズ「バットマン・フォーエヴァー(原題:BATMAN FOREVER)」にもエドワード・ニグマ役として出演しているので、好きな「バットマン」映画でもこれを避けている。あれから歳を重ねてやっと受け入れられるようになり、特に嫌悪感を抱かなくなったのでこの映画は落ちついて見ることができた。なので凄く久しぶりにジム・キャリーを見た気がする。今から8年程前の作品とはいえ、私が以前に彼が出演した映画からは随分後の映画なのでその頃に見た時よりはシワが増えすっかり「おじさん」になっていた。そりゃそーだ。
コメディ映画ならではの都合。しかし…
本作はジム・キャリー演じるカールの人生観について語った映画だ。コメディ映画なので「YES」と答えれば全てが都合良くなり、アリソン(ズーイー・クレア・デシャネル / Zooey Claire Deschanel)という恋人が出来たり、逆に「NO」と言ってしまうと直後に目に見えて不幸が訪れてしまうなどメチャクチャなところもある。これまでも「NO」と答えて生きてきたであろうカールに対しそれでも見放さない友人ピーター(ブラッドリー・クーパー / Bradley Charles Cooper)が存在する等、周りの人にも都合よく恵まれているが、コメディ映画だからその辺は気にしない。しかし、コメディ映画ながらもなかなか人生において深い所をついてくる。全て「NO」と答えて閉鎖的になるよりは、全てを無理矢理にでも「YES」と答えることにより自分の心の扉を開き、今まで見ようとしなかった事が見え、チャンスにも恵まれる。そうして人生経験を豊かにすることで人間は成長し成功するという、どこかの啓発本にでも書いてそうな事を映画で語っている。「YESと言う」=「受け入れる」は人生において大切なことではあるが、もちろん実際にはこう上手くはいかないだろう。映画においてもカールが「YES」と言ったからといって全てが上手く行くわけでもない。その辺りもストーリーとして組み込まれている。
カールのように生きられなくとも、少しは前向きになれそうな映画
コメディ映画ながらも「確かにそういうこともあるかもしれない」と思わせてくれるところがこの映画を面白くさせたところだろう。「受け入れる」ということは「ポジティブ」であることでもある。「YES」と言った自分は必ず良い事が起こると信じること。悪い出来事が起こってもその出来事は必ず良いことに繋がる。と、まるで自己暗示に掛けるようだが、それが行動を起こす原動力にもつながるのも確かだ。
ジム・キャリーはやっぱりジム・キャリー
この映画は決して、ジム・キャリーでなければ成り立たなかった映画でもなかっただろう。しかし、コメディ映画としてストーリーを都合良く展開させ、映画という短い時間で人生を変えるほど極端にテンポ良く描くには、落ち着き無く早口で動きが全てが早回しで再生されているように見えるジム・キャリーを敢えて起用したから良かったのかも知れない。でもやっぱり彼の個性が強すぎて映画内容がどうであれ良くも悪くも「ジム・キャリー映画」になってしまう。元々彼が好きな方や、特に嫌悪感を抱かない方なら元気をもらえるコメディ映画として面白い映画だと思う。私もジム・キャリーに対して昔のような嫌悪感を抱かなくなったので面白い映画だと感じた。
今の私が何もかも受け入れるような「YES MAN」になるとエライ目に遭うのは目に見えている。周りから仕事を全部押しつけられて身ぐるみも剥がされ、心身共に崩壊する。映画通り必要な「NO」は「NO」と言える人間でありたい。
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