専用アダプターも販売されていたが、3,000円程と割合として少々高くて購入をやめたのを覚えている。本体のみなので専用ヘッドホンとセットになっておらず、自分の好みのヘッドホンやイヤホンがそのまま使えるのが良かった。
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価格がベラボウに高騰していて驚いた
残念ながら現在は販売を終了している。現在入手するには在庫品か中古品を狙うしか無いが…今、Amazonで確認したら新品で何と99,282円もする!何でこんなに上がってるの?売ろうかな…と考えてしまうほどの値段だ。定価は知らないが私は当時、家電量販店で6,150円で購入した。なのでこの10倍以上の新品価格の高騰ぶりには驚きを隠せない。普通にAVアンプ買えるがな!
おもちゃの様な本体だが、それなり充実してる
本体は黒だがプラスチック製なのでややチープ感がある。しかし常に目の前にあるモノでも無いし、常設するわけでも無い。携帯性を考えたら軽量化も必要だろう。それらを踏まえると「まぁ、こんなもんかな」とも思える。一応本体にはボリューム調整用のダイヤルも付いているが…これが一番チープなパーツ。思わず存在に目を逸らしてしまい写真を取り忘れた。しかし、この「SU-DH1」はドルビーデジタル、ドルビープロロジックII、DTS、MPEG-2 AAC、PCMの各サウンドフォーマットに対応しており、光デジタル、もしくはライン入力から5.1chフォーマットのサラウンド音声信号が入力されると、バーチャルサラウンドが楽しめる仕様になっている。
入力はアナログと光デジタルの2通り。接続も簡単
入力は光デジタルとステレオミニプラグでのアナログLINE入力の2通り。単3電池での駆動で約10時間程なので映画なら2時間半映画を4本程観ることが出来る計算なので充分だ。接続も光デジタルならミニプラグ丸型(四型プラグではない)での接続、アナログなら本体に格納されているLINE INコードを引き出し、プレーヤーやゲーム機等に接続すればOK。後は本体に手持ちのヘッドホンを接続すれば完了。
ドルビーヘッドホンのモードが「DH1」〜「DH3」まで3種類あり、だんだん残響音が大きくなるイメージ。「DH1」がスタジオのように残響を押さえた音で「DH3」がコンサートホールの様な空間を感じるほどの残響音。「DH2」はその中間的なイメージで残響音が僅かに残る。
ヘッドホン・サラウンドアダプター「SU-DH1」は音楽でも使える
「ドルビープロロジックII」は2ch信号を擬似的に5.1ch化するものなので例えば、普通の音楽CDを聞く時でもホールで聞いているような広がりを持った残響音を造りだし出力してくれる。これがなかなか面白かった。
私は普段イヤホンやヘッドホンで音楽を聞くと脳内(本来は「頭内定位」というが)で鳴っている感覚が好きではないので移動中などiPod等のポータブルプレーヤーで聴く場合は仕方が無いにしても家で聴くときは必ずステレオをつかってスピーカーで聴く。深夜でもヘッドホンなどは使わずボリュームを絞ってでもスピーカーで聴く。サミー・デイヴィスJr.(Sammy Davis Jr.)や、エラ・フィッツジェラルド(Ella Jane Fitzgerald)が、小っちゃくなって脳内にもぐり込んで歌っているような気持ち悪さがたまらない。なので少しでも誤魔化そうとついボリュームを上げ気味にしてしまう。余り耳にも良くない。そんな気持ち悪さも「SU-DH1」を使って広がりを感じることで幾分脳内から離脱し緩和される効果が少しある。
しかし、音の定位(音が鳴っている場所)はその分反ってわかりにくくなるため、ボーカルや楽器等の音のなっている方向があやふやになってしまう。良くも悪くも広いライブホールな感じ。このあたりは流石にちゃんとしたステレオとスピーカーで聞いた方が数倍良い。
音の広がりを感じるサラウンド
”音の広がりや空間を感じさせる ”という意味でサラウンドと言うなら「効果はある」と断言できる。プレーヤーに直接ヘッドホンを接続した場合と、「SU-DH1」を経由した場合では明らかに違う。無音状態で本機のボリュームを最大に上げると「サーーー」というホワイトノイズが乗るが、そこまでボリュームを目一杯上げる事も無いだろうし、鑑賞中にまず気になることは無い。
肝心の映画でのバーチャルサラウンド。その効果は
5.1chフォーマットの信号では、左右の広がりはあるが前後となると「???」となる。特に後方。まぁこの価格で期待するのもどうかと思うが所詮出力デバイスはヘッドホンだ。前方の音はバーチャルサラウンドによって広がりが出来た分距離を感じ、いかにも前方から鳴っているような錯覚になるが、後方で音がするシーンでは脳内で音がする感じ。後方は・・・さすがに無理がある。いや、でもなかなか良いところまで行っている…と思う。鑑賞している自分より音が後ろには回らないだけ。自分を中心とし前方半円状に音の広がりと空間づくりは意外なほど効果がある。映画の場合は視覚もプラスされ、耳だけに集中していないので余計に効果を感じる。
映像ソース忘れたが、例えば右方向前方の奥でガラスは割れた音がちゃんと右側の遠くで割れた感じがする。ホントその方向に目が行く程。モードは「DH1」か「DH2」で充分だ。「DH3」になると広いホールのようだが何だか映像と音の距離感がおかしくなる。音響をキチンと設計していない昔の映画館のようだが、その感じが好きなら「DH3」はアリなのかも。
ヘッドホンやイヤホンでの違い
手持ちのヘッドホンは以前は使っていたが最近は使っていない「BOSE Quietcomfort15」。イヤホンは外出時に普段使っている「SHURE se215」と、コードの整理の時に見つけたずっと以前に買った「audio-technica CK400i」でそれぞれ聞き比べ。
[BOSE Quietcomfort15]
BOSEの少し古いヘッドホンだが、概ね良好なサラウンド(広がり)感。脳内からの音の離れ具合も良い。残響音もほどよく感じる。本機を経由した低音はBOSEならではの癖があるが、映画を観るにはこのくらい重低音が響く方がやはり迫力が出る。超低音を出力する時に音はほぼ聞こえなくてもヘッドホン自体が振動するような錯覚がある。耳に差し込むカナル型のイヤホンとは違い。基本的にドライバーが耳には近いが離れているのは大きな要因となっているのだろうか。ノイズキャンセリングのヘッドホンなので余計に効果を感じやすい。ノイズキャンセリング付きのヘッドホンは「SU-DH1」と相性がいいのかもしれない。
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[SHURE se215]
低音から高音までスッキリした上品な音。サラウンド感はそれなりに感じるが、やはり耳の中に直接差し込むカナル型。しばらくは広がりよりも耳に直接入ってくる音の方が気になる。しばらく脳内で音がしている感じがしたが、時間が経つと徐々に気にならなくなり、音の広がりを素直に感じる様になった。映画では音が上品すぎて余り迫力は感じないが低音はキッチリ出ている。アクションやSFのジャンルでは個人的に物足りなさを感じる程度。セリフは非常に聞き取りやすいのでドラマ系ではアリかも。音楽ならダイナミックレンジが広がったような錯覚になりライブ感がでる。脚色した感じにはなるのは否めないが効果として面白い。
「SHURE se215」も遮音性が高く周りの雑音が聞こえにくい。ただし、いくらSHURE掛け(コードを耳の上方から後ろに回して装着する)してもカナル型特有のコードを擦る音はかなり軽減されるが、骨伝導のように耳裏に直接響くのは避けられない。
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[audio-technica CK400i]
流石にダメだった。使えない。広がりというより残響音が鳴っている感じ。サラウンドは感じにくい。もともとあまり低音がキレイに鳴らないイヤホンなので仕方が無いか。フィット感や遮音性が他と比べて断然低いのも原因かもしれない。しかし、セリフはそれなりに良く聞こえる。爆発音やエンジン音など重低音を伴う映画は他と比べると全く迫力がない。音楽はノーマルで聞くよりは断然良くなる。価格の割には健闘していると思うのでコスパは良い方かもしれないが同じオーディオテクニカなら、これにあと数千円足してでももう少し低音がキッチリ鳴るイヤホンにした方がいい。誤解の無いよう申し添えるが、イヤホンは各メーカーがピンキリで製品を出している。この結果は私が当時iPod付属のイヤホンが故障した時に緊急用で「安さ」だけで購入したからであって、決してオーディオテクニカの製品が悪いわけではない。
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結果、遮音性が高いほど一番効果を期待できる
映画においてこの「SU-DH1」を使用するのは今回ヘッドホンで聴くのが1番広がりと効果を感じることが出来た。しかしそれは「SU-DH1」のサラウンド感を体感するにはノイズキャンセリングを使ってでも遮音性が高い方が効果を感じやすい事に今更ながら気づいた。ドライバーのサイズや仕様が違えばまた聞こえ方が違ってくるのかもしれないが、イヤホンならそれなりの物で無いとあまり効果を感じられない。遮音性の低いものは尚更だ。
イヤホンと「SU-DH1」の組み合わせで映画鑑賞するなら、「SHURE se215」の様な低音から高音までそつなく鳴るイヤホンでは無く、「重低音」を謳ったイヤホンが販売されているのでそちらを利用すると結果はまた違ったかもしれない。イヤホンと「SU-DH1」の組み合わせで良いところは、音が広がることで耳のすぐ側で(もしくは頭内定位で)なっている感じが無くなる。慣れれば最終的に着けていることを忘れるほど。ヘッドホンはイヤホンに比べどうしても頭に乗っかるので装着感はある。しかも夏は暑い。
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