ヘッドホンで映画を観るのが好きでは無い私が当時考えていたモノは、椅子に座った自分の周りを取り囲むように骨組みを立てて小型スピーカーを5.1chで配置し、黒の遮光遮音カーテンを骨組みの上から前方を開けて被せてしまえば、夜に音量を抑えてもスピーカーが耳に近い分、大迫力で映画が観られるのではないかと。そんな程度だったが、なるほどそうか…今は当然「ドルビーアトモス」だな。タマゴ型のチェアで強度もあり遮音性も高い。完全受注生産なので受注から納品までに3〜4カ月かかる。2018年5月より受注生産開始。
センター・チャンネルはフロント・スピーカーのファントム
センター・チャンネルはフロント左右のスピーカー(フロント・チャンネル用とは別のスピーカー)によるファントム再生で対応している。「ファントム再生」とは物理的なセンター・スピーカーを置かずにフロント・スピーカー左右のチャンネルをを同時に鳴らすことにより架空(バーチャル)のセンター・スピーカーを作り出してセンター・チャンネルを再生すること。音楽のステレオ(2ch)再生でもボーカルが両スピーカーの間、中心あたりから聞こえるのと同じ仕組みだ。
サブウーファーもパッシブ型なので別途パワーアンプが必要になる
注意が必要なのは「VRS-1」が搭載するスピーカーは全てパッシブ・スピーカーでチェア自体にアンプは内蔵されていない。内蔵スピーカーをフルに活用しようと思うと別途11.2ch対応のAVアンプ等が必要になる。しかもサブウーファーまでパッシブ・スピーカー(通常アクティブ・スピーカーが多い)なので2基のサブウーファー用に別途ステレオ・パワーアンプが必要になる。なぜなら通常11.2ch対応のAVアンプなどは、サブウーファー出力用のパワーアンプを内蔵していない。サブウーファー以外のスピーカーにはAVアンプの内蔵パワーアンプを通して出力されるが、サブウーファー出力端子はRCA端子のプリアウト出力になっているのがほとんどだ。市販されているAVアンプでサブウーファー用のパワーアンプを内蔵している機種は私が知っている限り無い。
プリアウト端子から出力される音声信号はサブウーファーを十分駆動させるだけのパワーはないので別途、音声信号を増幅させるパワーアンプが必要になる。そのため一般的に多く市販されているサブウーファーはアクティブ・スピーカー(アンプ内蔵スピーカー)になっている。しかし、先にも述べたように「VRS-1」に内蔵されたサブウーファーはパッシブ・スピーカー(アンプ内蔵ではない)だ。AVアンプのサブウーファー(プリアウト)端子から別で用意したステレオ・パワーアンプに接続する必要がある。そのパワーアンプに本体サブウーファー用のスピーカーケーブルを接続することになる。
ちなみに、スピーカーケーブルの先端はバナナプラグを採用している。AVアンプも含め、バナナプラグに対応している出力端子なら問題無いが、バナナプラグに対応していない出力端子の場合はバナナプラグ外して剥き線にする必要がある。
デザインが未来的というのか…レトロモダンというのか…
ミッドセンチュリーというのか…コンテンポラリーというのか、60年代は古すぎるかもしれないが、60~70年代に流行ったスペイシーなインテリア・デザインのようなフォルムが少し懐かしさを感じさせる。ちょうど1970年だが大阪万博の頃の未来感といえば分かり易いか。あの頃ならではの未来的(宇宙的)なフォルムをしていてちょっと可愛いが、部屋のコーディネートを考えている人からするとマッチングする部屋を選びそうなデザインとカラーだ。
ドルビーアトモスを手軽(楽)に実現できる分、手軽に購入とはいかない価格だが、是非体験してみたい
チェアは93Kgとかなり重い。上部、下部、脚部と3つにバラせるようだが搬入経路に70cm必要とのこと。玄関や廊下を事前にチェックする必要がある。そして価格は98万円。消費税、運送料、設置費用が別料金と、余裕でトータル100万円は越えてしまう。先着20名様は搬送・設置が無料ということだが消費税でどの道100万円は越える。「いいね!」と思ったからポチっと注文できる価格ではないが、このチェアさえ置けば簡単に理想のドルビーアトモス環境を実現できるとなると価格はそれなりにすると言うことで…。
本格的にドルビーアトモスを一般家庭で実現するには、専用ルームでも持たない限りまだまだハードルが高い。私の様なリビング・シアターなら尚更で、基本的には天井にスピーカー(トップ・スピーカー)を2基以上設置する必要がある。天井に音を反射させるイネーブルド・スピーカーを設置するという手段もあるが、有る無しでは大きく違うものの体験的にもやはり物理的なトップ・スピーカーの様には聞こえない。
お手軽な価格ではないが、楽して実現するという意味ではお手軽なこのチェア、是非体験(試聴)してみたいが現在体験出来るのが千葉(本社)、東京(on and on)、神奈川(ホームシアター工房・横浜ショールーム)なので試聴だけのために大阪から向かうのは交通費だけ考えてもムリ。
■主な仕様
モ デ ル | VRS-1 |
再生周波数帯域 | 16Hz~ 55KHz (-10dB) |
フロントL/R | 8cm 2-Way 8Ω max. 100W |
センター | 8cm 2-Way max. 100W 8Ω x 2 左右配置による仮想センター再生方式 |
サラウンド | 5cm 8Ω max. 100W x 8 サイドL/R, リア L/R, 天井 x 4 |
サブウーファ L/R | 16cm max. 150W 8Ω |
外 形 寸 法 | W995 x H1,340 x D1,080 mm |
重 量 | 93Kg ( 上部 23Kg, 下部 44Kg, 脚部 26Kg ) * 最小幅は70cmです。 購入前に搬入可能かご確認ください。 |
希望小売価格 | 98万円(税別、運送・設置別) |
オーディオハート株式会社
11.2 Channel Chair Style Speaker 「VRS-1」
http://www.audio-heart.co.jp/
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