オーディオ機器メーカーのSHURE(シュア)から、フォノグラフカートリッジ生産終了の発表があった。常用使いのイヤホンとレコード針で日頃お世話になっている老舗メーカー。SHUREをあまり知らない人でもエルビス・プレスリーがシルバーに輝く、ごついマイクを持って歌っているのをテレビやビデオなどで見たことがあるだろう。あの象徴的なマイクもSHUREのマイク(55 Unidyne)。そんなマイクロホンで有名なSHUREではあるが、今やマイクロホンはもちろんのこと、ヘッドホン、イヤホン、ミキサーなどなど…音楽関連には欠かせないオーディオ機器の開発・生産メーカーだ。
アナログ・レコードに興味のある人は当然一度は目にしたことがあるであろうSHUREのレコード針。そのフォノグラフカートリッジ(レコード針・ヘッドシェル)の生産を終了するとお知らせがあった。最近のアナログ・レコードの再人気で返ってカートリッジの売上も順調なのだろうと思っていただけに驚きを隠せない。日本における2017年のアナログレコード生産枚数が106万枚に達するなど、16年ぶりに100万枚を上回ったというニュースが届いたのがつい最近の出来事で、さらにはソニー・ミュージックエンタテインメントも29年ぶりに自社生産を再開したとも。このままいけばアナログ・レコードが完全復帰をする日も近いかもと嬉しく思っていた矢先にこのニュース。楽観的に考え過ぎていた自分の思考にも正直ショック。
一見、アナログ・レコード市場は盛り上がっているようにも見えるが、SHUREとしては品質維持のために赤字を生み出しつづけるため、その程度の需要では「焼け石に水」なのかも知れない。もちろんSHUREはフォノグラフカートリッジの生産だけではないが、その中の一つ、何十年も続いたフォノ部門が今年、2018年の夏に消滅する。SHUREからノウハウがなくなるわけではないので、このままアナログ・レコードの需要が伸び続ければ復活してくれる可能性もあるが時代に逆行してまで利便性に欠けるアナログ・レコードがそれほど伸びるとも思えない。
そしてもう一つの老舗メーカー。ギターで有名なGibson(ギブソン)が破産申告。私も若気の至りでバンドをしていた時代もあるので、よく耳にしたメーカーだ。ギター担当のヤツらはいつかは手にしたいと思っている憧れのギターが、フェンダー(Fender)かギブソン(Gibson)と2極化していた。ギブソンのギター奏者といえば色々有名な奏者がいるが、私はやはりJAZZギター奏者のWes Montgomery(ウェス・モンゴメリー / John Leslie Montgomery)。45歳の若さでこの世を去っているが、ウェス・モンゴメリーがギターを始めたのが20歳の頃というのが驚く。彼のギター奏法といえば「オクターブ奏法」が超有名。とても耳心地の良いサウンドを奏でる。
ロック界でも使用している(使用していた)アーティストは多い。有名なところでジョン・レノンやジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)、エリック・クラプトンやジョー・ペリー(エアロスミス)など。そんなアーティスト達が愛用したギターであるGibsonが破産申告とは…。現在も活躍する世界中の有名アーティストや日本でも愛用しているアーティストは多いだろうと想像できるだけに残念でならない。
Gibsonといえばレスポール・モデルが有名。アメリカのギタリストであるレス・ポール(Les Paul)がGibsonと共同で作ったギターだ。そんな“レスポール・モデル”をテーマにしたスピーカーが、2015年にGibsonより発売されたのが記憶に新しい。発表当時に初めて見たときは模造品や、レスポール・モデルをもじった商品かと思ったが本気だった。そして価格も本気だった。実際の音は僅かな時間しか聞いていないがしっかりと芯のある低音でレスポンスが良く、バランスとして中高音寄りのチューニングに聞こえる分、音像の定位は良かったイメージがある。
日本経済新聞には債権者の69%が再建を支援する意向とも。期待しよう。
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