1人で盛り上がっても仕方ないが、大阪人なら大阪の企業を応援したくなるのは至極当然のこと。結構話題になっているのでご存じの方も多いと思うが、ビックリするほどお手頃な真空管プリアンプ等が本社を大阪府の和泉市におくNorth Flat Japan(株式会社ノースフラットジャパン)から販売されている。North Flat Japanは中国などの諸外国で製造・仕入れを行っているが、品質管理や製品改良を日本人監督の下で行っている商社だ。FX-AUDIO-ブランドはアンプ・スピーカーセレクターは知っていたが、デジタルアンプや真空管アンプまで販売しているとは正直知らなかった。
懐かしの真空管アンプなんてマニア以外、今どき使う事もなく、真空管が暖まるまでの間(暖機しなければ)まともな音が出ないし、むき出しのアンプは手で触るとヤケドするほどの熱は出るし、消耗品である真空管にも寿命が有り、長年使っていると交換しなければならない。しかも今となってはどれもそこそこ高いというイメージだろう。
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激安で小さいのに本気の音が鳴る真空管プリアンプ「FX-AUDIO- TUBE-03J+」
真空管の面倒くささはそのままだが、North Flat Japanのアンプはほとんどの商品が5,000〜10,000円程度で手に入る。小さく、ちょっとした棚や机の上などに置くにも邪魔にならないサイズ。月々のお小遣いで1つずつ揃えていって、オーディオを構築するのも楽しい。しかし、サイズに騙されてはいけない。これが以外なほど“それっぽい音”が出る。一度、真空管アンプで音楽を聞いてみたいけど「値段は高いし、デカいし、熱いし…」、で諦めていた人には“お遊び”でも一度試して欲しい。ヘッドホンアンプ程度のサイズだが、我が家のメインスピーカーであるJBL S3100の低音の出方も申し分なく、ホント何の支障も無く見事に音が出る。勿論スピーカーありきだが、このサイズからは想像できない音を奏でる。
ストレートに音を楽しめるFX-AUDIO- TUBE-01Jも候補にあったが、どうせならトーンの調整もしたいので私が購入したのは「FX-AUDIO- TUBE-03J+」。トーンコントロール付きで6,000円程と真空管プリアンプにしては激安。作りも比較的しっかりしてそうだったし、懐かしの真空管プリアンプとしてオモチャ遊びな気持ちで買ったつもりだったが、…実際に音を出して聴いたら、「オモチャ&お遊び」の文字ががどこかへスッ飛び、破顔してしまった。面白い!こんなに小さいのにもの凄く気持ち良く音が出る。真空管もぼんやり光るが更に下からLEDでライトアップされてインテリアとしても面白い作りをわざわざしている。それをぼんやり見ていると何だか懐かしい気持ちにもなる。
FX-AUDIO- TUBE-03J+ の注意点
真空管アンプという名前の由来通り、このアンプには真空管が付いている。真空管はガラス製なので取扱には注意が必要だ。誤って落としてしまうと「ポン!」という音と共に割れてしまう。子供の頃、友達とその辺に不法投棄されたテレビが一杯あったので(昔はね)、勝手に分解して真空管を取り出し石壁に投げつけて「ポン!」という小気味よい音を楽しんだ覚えがある(今思えば何てことをしていたのだろうと思う…ゴメンなさい)。真空管は指紋や手の脂が付かないように手袋をして扱う様にと言われるが、反って滑りやすくなるので落とすくらいなら素手で扱った方がいい。
真空管は「6K4」が付属するが、小さいので製造工程の段階で電極の脚(7本)が真っ直ぐでなく曲がっていたりする。そのままでは差し込めないので無理して力任せに差し込もうとせずに、真下から見たら綺麗に円周上に並ぶよう、ちょいちょいと真っ直ぐになるよう直してから差し込むようにしよう。
ボリュームダイヤルは柔らかく、本体のサイズ上どうしてもダイヤル自体も小さいのでボリューム調整が若干難しい。もう少し硬めが良かったが、この価格でさらなる贅沢は言えないので許容範囲だろう。
電源投入は上流から下流へが鉄則
お遊び感覚で手軽に手に入る真空管アンプはいいが、オーディオを全くしたことがない人はひとつ注意が必要になる。プリメインアンプはもちろん、セパレートでも今やデジタルのプリアンプやパワーアンプ、どっちから電源を入れてもたいして問題にならないが、真空管などの古い形式のオーディオ機器を使う場合はボリュームを全絞りにして「電源は上流から」が鉄則。つまり電源を入れるときは…
プレーヤー → プリアンプ(TUBE-03J+) → パワーアンプ
の順で。逆に電源を切るときは…
パワーアンプ → プリアンプ(TUBE-03J+) → プレーヤー
の順で電源を切る。これがオーディオの基本のキ。
特にプリアンプとパワーアンプの順番を守らないと一瞬爆音で「ボッ!」というポップノイズが起こり(経験者)、最悪の場合スピーカーが壊れてしまう。これはもちろんFX-AUDIO-が安いせいではなく扱う人間が悪い。必ずしも壊れてしまう訳ではないが、余計な電流がスピーカーに流れ込みスピーカーには良くない。大切なスピーカーなら尚更、電源の入れ方を守るべきだ。ちなみにマランツのAVアンプであるSR8012は電源投入時に限り電源スイッチを入れてから10秒程後に「カチッ」っとリレースイッチの音がするので、電源投入時の順番ミスによるポップノイズを回避できる仕様になっているようだ。但し、切る時は既に通電しているので回避できない。
ボリューム付きデジタルパワーアンプを使うならボリューム調整は真空管プリアンプ側で
真空管プリアンプの音を楽しむのならパワーアンプ(デジタル)側のボリュームは最大にしてプリアンプ側のボリュームで調整する。ボリュームはいわゆる「抵抗」なので電流・電圧を押さえている役割。なのでパワーアンプ(デジタル)側のボリュームを絞るということはパワーアンプ(デジタル)の電気抵抗を使って電流を調整することになる。そこには必ずデジタル臭が存在する。AVアンプなら「ピュア・ダイレクト・モード」にしてボリューム最大(くれぐれも電源のON/OFFの順番には気をつけよう)で真空管プリアンプのボリューム調整が1番真空管プリアンプによる音の効果が期待できる。
OPPO UDP-203やiPhoneから鳴らしても効果あり
プレーヤーであるOPPO UDP-203やiPhoneからデジタル音源を出力しても真空管プリアンプの効果はある。OPPO UDP-203をプレーヤーとしてマランツSR8012から通常に出力するのと比較すると、「FX-AUDIO- TUBE-03J+」を間に咬ますとちゃんと柔らかく、かつチカラ強い真空管っぽい音が出る。音の伸びが心地良く、そして眠くなる。これはいい。
正直に言うとこのプリアンプの真空管がどれほど影響し、結果としてデジタルアンプであるマランツのSR8012から出る音なので真空管独特の歪み(偶数次高調波歪み)を発生させているかは不明だし、今更真空管なんて使うメリットがどこにあるのかと思うが、人間は不思議なもので、ほのかに光る真空管を眺めながら音楽を聴くと少しノスタルジックな気持ちが音に加味されて聞こえる様になる。なので今の私には“ノスタルジックという味付け”がどうしても気持ちに乗っかってしまっているので、正しい音の判断が出来ていないかもしれない。昔聴いた「ディス・イズ・真空管!」には少し遠いと思うが音の雰囲気はかなりソレっぽいのは確か。少なくとも音は確実に変わっているので、もうしばらく聴き込んでみることにしよう。
しかし、値段を考えたら十分どころか十二分。真空管に興味があってちょっと試してみたい人にとってはいい商品だ。本格的に真空管を始めるきっかけになるかも知れない。同サイズの真空管を別途購入すれば(玉転がし)で音の違いを聴き比べることもできる。
ホームシアターで使うなら、これを通してステレオ(2ch)の映画見たらどうだろうか。特に音楽メインの映画ならけっこう面白いかもしれない。ただ、リップシンクが合うかどうか…。
カラーはブラックとシルバーの2種類あるので、部屋のインテリアや他の機器に合わせて選べる。
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