2019年のマイケル・ドハティ(Michael Dougherty)監督によるSF怪獣映画。2014年公開の「ゴジラ(原題:Godzilla)」の続編となっている。「キングコング:髑髏島の巨神」を製作したレジェンダリー・ピクチャーズのクロスオーバー作品としてることもあり、「キングコング:髑髏島の巨神」の劇中で少しだけだがそれと分かるようになっていた。2021年には「ゴジラvsコング」が公開予定となっている。ゴジラ対キングコングと言えば1962年に公開された高島忠夫が主演を務めた映画「キングコング対ゴジラ」を真っ先に思い浮かべる人はそれなりの年齢のかた。かく言う私もこちらを思い浮かべる。ただしリアルタイムではない…いやいや、少しでも若ぶりたいから言っているのではない。
Blu-ray仕様:本編122分 アスペクト比:1.78:1(ビスタサイズ)
英語:ドルビーアトモス 日本語:5.1ch ドルビーTrueHD
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「キングコング対ゴジラ」は1977年にも東宝チャンピオンまつり(懐かしい)で短縮版が上映されているが映画館では見ていないので、多分ずっと後にテレビ放送されたものか、友人宅でビデオを見たのを記憶しているが、内容はほとんど覚えていない。子供向けにしたためか、なんか悪ふざけした映画だったような気がする。
Contents
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」あらすじ
モナークの前進基地に住むエマと娘のマディソンは、突如傭兵部隊に襲われ、巨大生物とコミュニケーションをとることのできる音響装置“オルカ”とともに連れ去られてしまった。モナークの幹部・芹沢博士は、エマの元夫でオルカの共同開発者であるマークに協力を要請。マークは娘を助けるために2人を探すことを承諾するが、いく先々でキングギドラ、ラドン、モスラが次々と復活し、さらにそこにゴジラが現れて怒涛の死闘が展開されていく…。果たして怪獣たちと人類の運命はどうなっていくのか?
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出演は、カイル・チャンドラー(Kyle Chandler)、ヴェラ・ファーミガ(Vera Farmiga)、ミリー・ボビー・ブラウン(Millie Bobby Brown)、渡辺 謙、チャン・ツィイー(章子怡)、ブラッドリー・ウィットフォード(Bradley Whitford)、サリー・ホーキンス(Sally Hawkins)、トーマス・ミドルディッチ(Thomas Middleditch)、チャールズ・ダンス(Charles Dance)、デヴィッド・ストラザーン(David Strathairn)など。
エンドロールでは怪獣達も出演者として渡辺 謙など他の役者達と同じ並びでクレジットされている。演者が「HIMSELF」となっているのに少しクスッとした。本作では劇中でモスラを「怪獣の女王」と呼ぶシーンがあるのでモスラだけ「HERSELF」となっているのも芸が細かい。
子供向けゴジラ映画?大人向けゴジラ映画?
本作は笑える、笑えないを含めてツッコミどころ満載のゴジラ映画になっている。特別ゴジラ映画に対して大ファンなわけではないが、子供の頃から親しんだ怪獣映画だ。かつてのゴジラ映画は元々子供向けとして作られていたこともあり観ていてそれなりに映像が粗くても、設定がめちゃくちゃでも面白かったが、ここまでリアリティのある映像で映画を作られてしまうと、かえって細かい設定なども気になってくる。イラストや絵画と同じで詳細にリアルに描けば描くほど多少の粗でも気になってしまうものだ。それは2014年公開の「ゴジラ」も同じ。この辺りはまだ「んなアホな!」と楽しく笑えるツッコミどころなのでアリなのだが…。
笑えないツッコミどころもある。そもそもゴジラは原子爆弾実験などの放射能により生まれた怪獣であり、原爆や水爆など核問題をテーマにしている映画でもあった。作品を重ねるごとにゴジラというキャラクターが人気になり、一人歩きし始めた。それはキャラクターとして悪いことではないし当然の流れと言える。核問題とは分けて考えて、純粋に怪獣映画として楽しむのはいいことだと思う。しかし…少々ネタバレになって申し訳ないが、本作は核爆弾がゴジラを救うという、核爆弾を肯定するかのように描かれている部分がある。アメリカ都合の映画になるとこうなってしまうのだな。本来のテーマが頭に入っている者としては本作は有り得ないストーリーや設定になっているのだ。観る人はそこそこ寛大な心を持って観てもらいたい。ストーリーや設定などは置いておき、怪獣同士の熾烈な戦いを単に楽しんでもらいたい映画。
大人の事情、ハリウッド映画の中国忖度が酷い
日本のモスラ映画で登場する「小美人」(演:ザ・ビーナッツ)として双子の妖精の姉妹役は、中国人俳優のチャン・ツィイー扮する考古人類学者姉妹(双子)のアイリーン・チェン博士とリン・チェン博士がそれに変わり登場する。直接的な「小美人」の表現こそしていないもののモスラに対して双子姉妹となると完全に「小美人」を彷彿させる演出だ。それにちなんでか同じくゴジラ界の守護神的怪獣で怪獣ヒロイン役であるモスラが中国(雲南省)の怪獣の設定になっている。本来は確か太平洋の赤道付近の島だったはず(調べたら「インファント島」という架空の島だった。場所は太平洋の南洋諸島)。例のごとくハリウッド映画における中国忖度(印象操作)がこんなところにも。
中国の視聴人口で興行収入を考えると無視できない事は理解できる。だがしかし、中国人俳優の起用だけでは飽き足らずとうとう日本創作の怪獣までもが…そういう風に偏屈な見方で映画を観てしまう。そして極め付けは唯一日本人俳優の渡辺謙の扱いだ。渡辺謙よ、そこは台本を読んだ時点で「ノー」と言え。アメリカ発祥のアメリカ映画なら文句はないが、日本発祥のシンボル的キャラクター映画でアメリカ都合の政治的な匂いがする事を含ませると何かモヤモヤする。そんなことなら、いっそのことゴジラや渡辺謙をインド映画に登場させていきなり陽気な音楽で踊り始める方がよほど振り切っていて笑える。
壮絶な怪獣バトル映画
なんだかマイナス面だけを書いているので「なんだ、つまらない映画か」と思われそうだが、そんなことはない。怪獣同士のバトル映画としてみればなかなかの壮絶っぷりで面白い。大きく括ればゴジラ対キングギドラの映画。補佐役でヒドラやモスラが登場するイメージだ。ヒドラの“スネ夫”っぷりが笑える。主役クラスの人物が逃げる方向に怪獣の取っ組み合いが追いかけるように巻き込んでいく様子は笑いながら「トランスフォーマーか!」とツッコミたくなった。
怪獣とのコミュニケーションツールとなっている音響装置“オルカ”がメチャクチャに壊れても雨の中、ハンダ付けだけで2分以内で修理してしまう技術力の高さは、F1のピットクルーよりもはるかに高い有能っぷりを発揮する。やはりゴジラ映画は理屈や映画界における大人の事情など関係なく楽しい子供向け映画なので、裏事情を考えたり変に疑ったり深く考えず単純に観ると怪獣同士が大迫力で闘う楽しい映画なのだ。子供向けにも作られているので、血が大量に出るなどグロテスクな表現や、エロな表現はないのでそこは安心して観られる。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」のドルビーアトモス
映像で観る怪獣同士の迫力バトルもさることながら音も凄い迫力で、ひと言で言えば強烈。特に重低音がふんだんに含まれた音響はゴジラ映画において相性抜群だ。冒頭の配給会社や制作会社のロゴが表示される時点からズシンッと強烈な重低音を響かせる。腹に響くどころか部屋が揺れるかと思った。雷鳴が轟く音や怪獣が地面を踏み鳴らす音、戦闘機のジェット音や爆発音はもちろんのこと、怪獣の心音までありとあらゆるシーンで重低音が鳴り響く。マンションの我が家はリフォームによりある程度防音されているが、さすがに深夜の視聴にこの重低音の大音量は出せないので日中に楽しんだ。
本作はBlu-ray版でもドルビーアトモス収録になっている。上空を飛行するオスプレイや戦闘機の音がトップスピーカーをふんだんに使って飛び交う。カメラが人間視点の時は怪獣達の鳴き声も頭上から聞こえるので怪獣の巨大感の演出に一役買っている。とにかく本作のクライマックスでは、トップスピーカーを含めた全てのスピーカーがお祭り騒ぎのドンチャン騒ぎで、そりゃもうウルせ〜し楽しい。音に包まれるというか、音に圧迫される。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は2020年9月6日時点でU-NEXTなら550ポイントで視聴可能。Amazonプライムビデオでは有料(レンタルもしくは購入)になる。Netflixは登録なし。
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初期投資を安く、手軽に配信動画を観るならやはりAmazonのFire TVがおすすめ! 自宅にWi-Fiネットワーク環境がない場合や、安定した動画配信を楽しみたいならイーサーネットアダプタも併せて購入するほうが◎。
(注:Fire TV 4Kを使用の場合は、Netflixのドルビーアトモスに未対応)
待ちに待ったレビュー、楽しく何度も読ませて頂きました。相変わらず作品分析というか、コメントが秀逸で素晴らしいです。
そう、作品自体は正直突っ込みどころ満載でしたが、怪獣バトルが子供時代に夢見ていた「ぼくのかんがえたかいじゅうどうしのたたかい」にほぼ近かったこと、そしてとあるブログで、「怪獣の世界では人間は愚かな存在」とか「昔の怪獣映画も突っ込みどころ満載」というコメントを読んでそれほど気にならなくなりました。でも、人間がまともで、へんな突っ込みどころもない、そしてバトルもリアルで大迫力なんていう怪獣映画を観たいですよね。来年のvsキングコングが楽しみでなりません。
話は変わりますが、今年の夏は同じサブウーファーを追加しました。2台体制でますますバランスがとれて、音の移動感も増した気がします。間違いなく言えるのは音場が広くなったこと。空間が広くなった感じです。あとさらに音量を下げても満足がいく音になりました。このゴジラ・キング・オブ・モンスターズもますます、音が楽しくなりました。アマゾンプライムもHDMIを最上位クラスに変えたことも有り、音の薄さがさほど気にならなくなりました。
コロナや台風など大変ですが、家キネマさま、ご自愛下さいませ。
いえいえ、私の拙い文章でどこまで伝わっているのやら。甚だ恐縮です。
でも、お褒め頂けるとやはり嬉しいですし、励みになります。ありがとうございます!
大人目線で見るとツッコミ処満載の映画なのですよね。確かにツッコミ処は昔も今もなので細かいところは楽しく笑って飛ばせるのですが、本作は政治的な印象操作も入っているので笑えないところも個人的にはありました。子供の頃ってそんなこと考えもせず純粋に怪獣映画やテレビ番組を楽しめていたのに、いつの間に私はこんなにひねくれてしまったのでしょう。
矛盾が一切無い映画やドラマなんてほぼ無理ですよね。人が考える創作で、しかも映画時間内に納めるのですから、どこか都合良く(悪く)はなるのは仕方の無いことだと思います。私の場合は矛盾やツッコミどころが上手くごまかせていたらそれでOKなので、そういう映画いつか観たいですよね。
サブウーファー2台体制、メッチャうらやましいです!
サブウーファーの重低音は指向性が低いといってもゼロではないので、映画を観ていても「明らかにこちら側から鳴っている」という事はないものの、ナンとなぁ〜く、音が左側に重いのですよね(我が家は向かって左側にあるので)。初見の人は全く分からないようです…私の気の問題でしょうか。そういうことを解消するためにも本当はセンターに置くのが良いのかも知れませんけど、我が家の様にリビングシアターでは現実的ではありません。なので複数台が理想なのですよね。私は対角線上(右後方)にもう1台置きたいのですが、我が家では2台目の置く場所が中途半端になりそうなので、無理矢理置くと大バッシングを喰らうのは確実ですから実現は厳しそうです。今より小型ならいけるかもと思いましたが、今より小型のサブウーファーを置くとこんどは全体のバランスが変わりそうで、なかなか踏み込めないでいます。でも、いつかは…。
お心遣いありがとうございます!コロナ影響や台風も心配ですが、とにかく自分の身体が一番心配。(次の仕事の事を考えずに映画観てー!A/V機器いじくり倒してー!とにくかく休みてー!)
うめ吉さんもご自愛下さいませ。