現在(2018年5月23日)、続々と発売されているテレビやプロジェクターなどはほとんどが4K HDR対応だ。「家キネマ。」でも早く4K環境に移行したいのはヤマヤマなのだが、特にテレビの4K移行にはどうしても二の足を踏んでしまう。「お金が無いから」と言ってしまえば、それはそうなのだが…。
家電量販店で4Kテレビなどに映されているデモ映像を見ても凄く映像が綺麗だし、最近は各メーカーから有機ELパネル搭載のテレビも出てきてコントラストの素晴らしさに息を呑む。相変わらず何事も発売するのが早すぎるシャープなどは8Kテレビまで販売している。
我が家の映像視聴環境は相変わらず2Kだ。プロジェクターはEPSON EH-TW6600と、テレビはTOSHIBA REGZA Z1 42インチがいまだに現役。テレビに至っては液晶画面に何やら変なシワの様にシミが表示されるようになっているが…。私個人としてはプロジェクターを4Kにしたいが、当然まずは液晶画面に変なシワが表示されているテレビの買い換えが先になるだろう。
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パネルの寿命とテレビとしての寿命
今、現行品を買うことは恐らく4K対応テレビに買い替えることになる。買い替えるテレビの候補は、機種やメーカーよりもまず、有機ELにするか、従来通りの液晶パネルにするか。パネルの平均寿命が通常の液晶パネルで6万時間なのに対し、有機ELディスプレイは3万時間。休日を含む一日平均視聴時間を8時間と仮定しても(実際はもっと短いが)…あくまでも使用環境にもよるが、液晶パネルで約20年、有機ELパネルで約10年となる。
現在使用しているTOSHIBA REGZA Z1で2010年発売されてから8年。液晶にシワが発生したのが昨年の2017年だから、たった7年で液晶パネルに問題が発生している。映される映像自体に問題はないので、このパネルの不具合を寿命と言わないのなら、このままシワを表示しながら20年ほど持つのかも知れない。購入した液晶パネルの当たりが悪かったと言えばそうかも知れないが、スペックとして見たパネル自体の寿命と、“テレビとして”の寿命は違うものだと改めて思う。今後は「不具合率」もスペック表に記載してもらいたいくらいだ。
恐らく画面のシワは液晶パネルに発生しているものだろうから、パネル自体を交換しないとダメなのだろうが保証期間なんてとっくに切れている。今更パネル交換する修理代を出すくらいなら新しく買い替えた方がいいだろうという結論には達したのだが…。有機ELパネルは寿命が通常の液晶パネルの半分と言われている。それなら尚のこと有機ELパネルのテレビを購入することに躊躇してしまう。
4K有機ELパネルは美しいが4K液晶でも十分
4K有機ELパネル搭載のテレビで表示されているデモ画面は有機ELの優位性を引き出すためのデモ映像ばかりだ。一番見る機会が多いであろう現行の地上波放送なんてほとんど流していない。売り手側のショップとしては4K HDRの素晴らしさをデモンストレーションするのには映像ソースが美しくないため相応しくないと思っているのだろうか。しかし、購入して自宅でデモ画面なんて見ない。一般的に一番映し出される時間が長いのは地上波放送だろう。さらには有機ELパネルのテレビと液晶パネルのテレビを比較できるように横並びにし、液晶パネル側のコントラストを明らかに甘くしたショップのデモ画面は悪意があるとしか思えない。
紹介のLG社製4K有機ELテレビは比較的かなり安い方だが、他社なら4K有機ELパネル搭載のテレビはまだまだ高価だ。美しい映像が見られるのはいいが高価な割に寿命が短い分、尚更購入に踏み切れない。しかし負け惜しみでは無いが家電量販店でズラーっと並んだテレビの中で液晶と有機ELを比較すれば確かに美しさの違いは分かるが、通常の液晶パネル搭載のテレビ単体で見るとそこまで悪いとは思わない。2Kから4Kに解像度がアップするだけでも充分映像は綺麗だ。通常の液晶パネルは4K HDR対応でも市場価格はずいぶん下がっている。故障は別として寿命を考えれば、今買い替えるにしても価格的には問題にならない。
4K HDR「対応」テレビの罠 & HDRとは。
有機ELパネル搭載テレビも含め、4K液晶テレビの多くは「4K HDR対応」と謳(うた)っているが、現在は4K UHDディスクやVODなどでは4K映像があるものの、一般電波放送レベルでのコンテンツがない。
スカパー!などでは2016年に4K HDR放送を開始しているようだが、他はやっと2018年の12月からBS放送でスタートするくらいで、解像度こそ4KではあるがHDRかどうかは分からない。いまだに普段多くの人が見ているであろう地上波デジタル放送は一部の地方局を除き、わずかだがフルハイビジョンに満たないまま(フルHDは1920×1080iに対して、地デジは1440×1080i)。
そして現行の多くの4K HDRを謳っているテレビは「対応」としている。これは「美しい4K HDRの表示ができます」、「精細な4K解像度の表示能力はあります」と言っているだけだ。言い方を変えれば「4K HDRの“放送電波”に対応」とは言っていない。パネルに4K表示能力があるだけで、「4K放送の受信に必要なチューナーは搭載されていない」のがほとんどだ。多くのテレビが「表示が対応」できるだけで4K放送電波を本体では受信できない。4K放送受信には別途外付けのチューナーを必要とする。最近ではBSの4Kチューナーを内蔵したテレビも発売されているものの、では普段BS放送をどれだけ見るか…と言えば私はほとんど見ていない。
「HDR」とはHigh Dynamic Range(ハイ・ダイナミック・レンジ)の略。従来に比べてより広い明暗の幅を表現できる(合成)表示技術。対して、従来のは「SDR」。Standard Dynamic Range(スタンダードダイナミックレンジ)。
4Kの全放送を視聴するには受信アンテナも必要
BSで4K放送を観るにしても4K放送を受信できるBSアンテナも必要になる。現在のBSのアンテナのままでも一部の4K放送(NHK、ビーエス朝日、BSジャパン、BS-TBS、BS日本、ビーエスフジ)は現在と同様の「右旋円偏波」なので受信できる可能性はあるものの、「左旋円偏波」である8Kを含むその他の4K BS放送と110度CS放送は見ることができない。
総務省ホームページより/© 2009 Ministry of Internal Affairs and Communications All Rights Reserved.
これ…勘違いしている人もいるのではないだろうか。この「家キネマ。」ブログを見るようなAV機器関連に少しでも興味のある人達にはいないと思うが、4Kテレビを買った人は今後4K放送が始まったら何することも無く、当然4K放送を受信できると思っているかも知れない。「そのために買い替えた」という人もいるかも知れない。もしかしたら、テレビ側で4Kアップコンバートされた地デジ放送の画面を見てそれを「4K放送」と思っている人も中にはいるかも知れない。ショップの人は購入者全員にちゃんと説明しているのだろうか。
今が4K HDR対応テレビの買い時なのか…買い替えるべきか…
今現在4K HDR対応テレビは価格も下がり、かつての地デジ放送対応の液晶テレビが出始めた頃の価格よりも安いくらいになっている。しかし4Kチューナーは内蔵されていない。4Kでの一般放送が開始されていないので4K映像を家庭で観られるのは一部のユーザーだけだ。一般放送もアップコンバートで4K解像度で表示するが、本来の4K画質ではない。4K放送が始まってもおらず、地デジ放送に移行してそれほど年月が経っていないこともあり、4K UHDプレーヤーで映画を観たいなどの理由がなければ、今急いで4Kテレビに買い替える必要はない。
2018年の12月にBSで4K放送が開始される前には「BS 4Kチューナー内蔵」テレビを各メーカーが販売するはずなので、夏頃から年末にかけて現行品の「4K対応(チューナーなし)」テレビが一番安くなるだろうと予測している。なので、現行品を買うなら夏の終わり頃から年末にかけてのモデルチェンジ前か。価格の差にもよるがチューナーを必要とせず4K UHDディスクやVODなどを楽しむだけなら、4K「対応」テレビを安く購入するほうがいいのではと思ってしまう。
本当は4Kテレビよりも4Kプロジェクターの方が欲しいのだが、その前に。
我が家では4Kコンテンツも充実してきている映画ソフトはテレビでは観ない。4KコンテンツのあるVODでもドラマ以外はほとんどプロジェクターでの視聴だ。プロジェクターは以前に気になる4Kプロジェクターとして紹介した「BenQ HT2550」が手の届きそうな範囲にあるが、今4K対応していないが大きな問題もないプロジェクターを買い替えるわけにもいかない。3D映画も結局は2Kだ。それにAVアンプも4K対応していないため、プロジェクターを対応させる前にまずは4K対応のAVアンプを購入する方が先になる。プロジェクター側を4Kに対応させようとするとセレクターやHDMIケーブルも見直す必要があるので、トータルでかなりの出費になってしまう。
これらを考えるとテレビのシワも気になるが、やはり今4K HDR環境へ移行することに、二の足を踏んでしまうのだ。
5月29日追記:今の接続ならAVアンプが4K対応していなくても大丈夫な事に後で気がついた。(接続の略図は過去記事参照)
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