以前から気にはなっていたウェアラブル・ネックスピーカー。随分以前の話になるがネックスピーカーが発売され、各音響メーカーから出揃い始めた頃にJBLからも1万円台で販売され、手が届きそうな金額になってきたなと思った頃、ブログでも興味のあるモノとして紹介した。ステレオ再生にはなってしまうがホームシアター用途として深夜の映画視聴にも使えるかも知れないと、自身でも家電量販店に赴き実際に試聴もしてみた。
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ウェアラブル・ネックスピーカーは個人的に向いていないガジェット
だがしかし、その試聴の際に決定的に私には向いていない事に気づいたのだ。あまりにも理由がバカらしくてブログネタにもしなかったのだが、この際なのでその時の気づきを話すと、ネックスピーカーを装着して音を出した時の低音の振動が「ン“ン”ゥ〜」とバイブレーションのごとく首に襲いかかる…。
低音が響くたびに…ゾゾゾゾゾゾぞぞzozo
その瞬間、両肩と首で押さえつけバイブレーションを止めようと自己防衛本能が働いてしまうのだろうか、背中を丸めて首をすくめ、口を開いて天をあおぎ、全ての頭髪が逆立ってしまうような感覚に。オッサンの私でも思わず「あ♡」と公共の場では相応しくない声が漏れてしまいそうだった。「無理無理無理無理無理ムーリ!これは私には絶対に使えないガジェットだ!」と、その時にすっかり断念してしまったのだ。
低音を強調するためか臨場感を増すためか、バイブレーションをわざわざ追加していないかこれ? ネックスピーカーが微妙に振動するので余計にタチが悪い。しかし、これが多くの人に受け入れられているのは現実なのだな。
この安さなら試せる!3COINSのワイヤレス・ネック・スピーカー
そういった理由もあり、しばらくネックスピーカーからは足を遠ざけていたのだが、先日たまたま妻が「3COINS」(スリーコインズ。300円均一のショップ。多くの商品が300円というだけで、それ以上の価格の商品も売っている)のワイヤレスイヤホンが欲しいということで買い物に付き合ったのだが、そこで目にしたのがネックスピーカー。なんと、3COINSでも販売されていたのだ。
妻に「へぇ、3COINSってネックスピーカーも売ってるんやね」と話しかけつつ、パッケージを手に取って見たらなんと2,000円+税!「え!ネックスピーカーが2,200円!?」と驚きながらも、気持ちは既に買う気満々。そのままレジに直行して購入してしまった。1万円以上も出してダメなら使わないとか、そんなもったい無いことをする勇気はないが、2,000円ならダメ元でもブログのネタになるなら小遣いで買える。もちろん先日話した10万円給付金とは別のおサイフから。
店が開く時間に出かけたので人は少なかったが、その他の用事の買い物を済ませた頃には昼になり、街に人も増えてきたので新型コロナウィルス感染リスクを避けるため、そそくさと持ち帰った。
3COINSのネックスピーカーは軽い!
箱を開けると本体はビニールやその他緩衝材などに包まれることなくそのまま裸の状態で入っている。う〜ん、簡素にも程があるが…まぁ2,000円ならこの程度は予想範囲内だ。本体の他に、簡単な説明書(B5サイズ程度)が1枚と充電用のUSBケーブルが付属する。その他の付属品はないようだ。
本体は仕様書通りだと約221gと非常に軽く、実際に手に取っても軽い。ネックスピーカーが重いと長時間の使用には辛いので、軽いに越したことはないものの、値段が値段なだけに「大丈夫か?本当にちゃんと鳴るのか?」と、この軽さが反って不安になる。
仕様は以下の通り。
Bluetooth | ver. 5.0 |
接続距離 | 約10m |
対応フォーマット | MP3(USB、SDカード利用時の対応音声フォーマット) |
バッテリー | リチウム電池1200mAh |
充電時間 | 約3時間 |
使用時間 | 約4時間 |
サイズ | 約230×195×30mm |
重量 | 約221g |
素材 | ABS |
対応コーデックはSBCのみ。音楽を聴く分にはaptX LL等のローレイテンシーに未対応でも問題ないが、シビアにみれば動画を観る際は音声が若干遅れるので口の動きと音声が合っていない(リップシンクがズレる)。しかし、Bluetoothバージョンが5.0なので遅延は思っていたほど大きくなかった。映像と音声をフレーム単位で合わせる様な、いわゆる“リズム系ゲーム”などには向かない。
左上から、micro SD(TF)カードスロット、下にUSBコネクタ、給電用micro USBコネクタ、インジケーターランプ(縦に並ぶ二つの小さな)、AUXコネクタ、電源ON/OFFスイッチが並ぶ。外部入力にUSBとAUX、それとmicro SDカードスロットがある。AUXは外部入力端子として使用できる。MP3音楽データをUSBメモリや、micro SDカード(TSカード)に入れておくとそこから再生できるようになっている。USBを外部プレーヤーからの入力端子としての使用は不可だった。あくまでも音楽データ(MP3)の再生のみ。micro SDカードも同様。いずれもMP3以外のフォーマットには未対応。
ちなみに本製品はマイクも内蔵されているので電話をかけた(かかってきた)時に通話もできるようになっている。
3COINSのネックスピーカーのセットアップはBluetoothで接続するだけ
充電を終わらせ、電源を入れるとペアリングモードに。iPhoneの設定画面でBluetoothを開きペアリングを行う。「RISE MUSIC」という名前のデバイスが候補に表示されたらそれをタップして接続。「ピンポン!」と本体から音が鳴れば接続完了となる。以後は自動で接続される様になるが毎回起動する度に接続するので「ピンポン!」と鳴る。「ピンポン」の音、デカめ。深夜の視聴で家族に対して静かに聴こうとしたらこの音はデカ過ぎる。そして、何かどこかで聞いたことがあるような音。家のチャイムやクイズの正解音ではない…なんだろう。
3COINSのネックスピーカーの装着感
装着は首の後ろから前にスライドさせるように装着する。ABS樹脂はプラスチックより柔軟性があるとはいえ広がりはしないので頭から被るようには装着できない。本当に握り拳の様な非常に小顔の人はどうか分からないが、世界中の殆どの人は頭からすっぽりとは入らないので首の後ろから装着する。肌にあたる部分がファブリック部分ではなくABS樹脂の部分なので少しヒンヤリするが装着感は悪くない。人によるだろうが、軽いのでいかにも「肩に乗っている」という重みは私はあまり感じなかった。これなら長時間装着してもあまり苦にならないだろう。
3COINSのネックスピーカーで音楽を再生してみる
接続したiPhoneからSpotifyを起動し再生してみる。初期設定でどれほどのボリュームが出力されるのか分からないのでボリュームを最小に下げてから徐々にボリュームを上げていく。Spotifyで聴いたのは、普段から聴いているものの中から適当に目に付いた楽曲。リズ・ライト(Lizz Wright)のアルバム「GRACE」から、「Seems I’m Never Tired Lovin’ You」を再生してみた。この曲はニーナ・シモン(Nina Simone)がピアノの弾き語りで歌う方が有名だが、リズ・ライトの歌う少し低い声とアレンジされた曲のマッチングがすばらしく、ちょっと歌詞内容にしては壮大過ぎる感じがしないでもないが、とても美しい曲に仕上がっている。
・・・・・・・・。
うん、そうか…やっぱりそうなるか。
価格的に予想はしていたが予想を遙かに超えて音が軽く、スッカスカだ。ある程度の高音域と、中音域は出ているようだが、何はともあれ低域が全くと言っていいほど出ていない。何やら頑張って鳴ってはいるようだが音楽としての音にはなっておらず高音にも伸びが全く無い。音楽として聴くには少し無理がある。例えるならヘッドホンで、ある程度のボリュームを出しながら音楽を流し、そのままハウジングを耳から少し離した音と言えば分かり易いだろうか。シャカシャカと音漏れしている音とまではいかないが、それに近いモノがある。ヘッドホンのハウジングを離して聴いた方がドライバー口径が大きい分、まだ低音は聴こえる方だ。首に振動するほどの低音はもちろん要らないが、もう少し何とかならなかったのだろうか。
3COINSのネックスピーカーで映画を再生してみる
音楽でこういう感じなら確認するまでもなく絶望的だが、あえて映画をNetflixで再生。「ダークナイト」からジョーカーが病院を爆破するシーン。
あははははwww!アカン!やはり無理だな! ビルが崩壊するほどの大爆発が音的には爆竹レベルに。「ドン」という感じの音がほぼ聞こえてこない。セリフは割とよく聞こえるが、リップシンクに関して言えばやはり遅延はあるのでほんの僅かだがズレている。シビアに気にしない人は気づかない程度。
3COINSのネックスピーカーでYoutubeを再生してみる
音楽・映画では満足に使えないのでYoutubeを適当に観てみる。
あぁ…うん。これなら少し使えるかもしれない。人のしゃべる声はよく聞こえる。やはり低域は出ていないので人の声だけがやたら耳に届くといった感じだ。Netflixで映画を観た時と同様に音の遅延があるのでほんの僅かにリップシンクがズレるが、気になる程ではなく観るに耐えられないほどはズレない。
本体の操作ボタンは画像左から、再生・停止ボタン(電話では応答・通話終了)、曲送り(長押しで音量アップ)、曲戻し(長押しで音量ダウン)、入力切替(Bluetooth/SD/USB)が並ぶ。大きめで押しやすいが装着すると全く見えないので、どれが何のボタンか慣れるまでは分かりにくい。これはネックスピーカーの性質上、どのメーカーでも言えることだろう。
3COINSのネックスピーカーの用途を考える
色々試してみたが、僅かに期待したホームシアター用途としては残念ながらまず使えない。結局は人の話し声が1番聞こえやすく、小さな音でも耳元で聞こえるのでテレビに接続できれば、ニュースやバラエティ番組限定になるが深夜に家族が起きないようにテレビ視聴できるかも知れないが、Bluetooth対応のテレビは多くない。トランスミッターをつけると結局は有線と同じ様な格好になってしまう。それでも少し耳の遠くなったオジイちゃん、オバアちゃんの耳元で音声が聞こえるようにするのには使える。その他、人との会話には使えそうなのでリモートワークに使えるかも知れない(ネックスピーカーは相手に丸見えだが)。
それ以外は…何かあるかなぁ。
追記:ネックスピーカーは首を傾げるとメチャクチャ音のバランスが偏り気持ち悪い。そうか…意外な盲点だった。あくまでも首は真っ直ぐに保たないと左右の音量バランスが崩れるのでリラックスして首を傾げる、または首を傾ける癖のある人は要注意。
ある程度ちゃんとした音で聴きたかったら下の様な商品を「多少はお金をかけて買え」という事だな。
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