以前に、Bluetooth(ブルートゥース)対応機器から、ワイヤレスで音楽などを楽しむことができるポータブルアンプ、オーディオテクニカの「AT-PHA55BT」を紹介した。普段から聴き慣れた好きなイヤホンやヘッドホンを接続して無線にできるので非常に都合が良く、iPhoneをプレーヤーとしていると携帯を取り出すときにケーブルが邪魔になることも無い。しかし、もう一台別の小型のプレーヤーを持っているのと同じ感覚で、使っていると外出時はやはりイヤホンコードが邪魔になるし、仕方ないとは思いつつも服とケーブルが擦れて僅かな擦り音がノイズとして音楽に乗ってくるが気になる。当時でもBluetooth対応の小型ワイヤレスヘッドホンアンプから、さらに進化したイヤホン本体でBluetoothを受信できるようになっているものも発売されていたが、当時はメーカーも種類も少なく、好きなメーカーはもちろん、色や形も選択肢があまりなかったので、個人的にはスルーしていた。
Contents
- イヤホンの試聴は躊躇(ちゅうちょ)する
- シャレにならない不衛生さで試聴を諦める
- 「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」を購入した
- ワイヤレスとしては可も無く不可も無く。予想よりは良い音
- イヤホン本体バッテリーの持ちは悪い方らしい…充電ケースのバッテリーは長期間持ち歩くには不便仕様
- 片耳外すと一時停止する便利さ
- ノイズキャンセリングはないが遮音性は高い。「トランスパレントヒアリング」機能は生活音が苦手
- その他の機能や使い心地
- 「aptX Low Latency」なら映画視聴でもリップシンクが合うようだが…
- 音は良いが、万人にお勧めできないワイヤレスイヤホン
- ワイヤレスの快適さは想像以上
- 今頃になってナゼ、「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」のネタなのか
イヤホンの試聴は躊躇(ちゅうちょ)する
しかし、ここ数年で爆発的に各メーカーがBluetooth対応のイヤホンを次々と発売したので今では色や形、音質も多くから選べるようになった。そこで1年程前の話になるがやっと私も食指が動きモノは試しと量販店に試聴しに出かけたのが昨年(2019年)の春。しかし、イヤホンの試聴には少し二の足を踏んでしまう。私は決して「潔癖症」ではないのだが、不特定多数、様々な見知らぬ人の耳にブッ刺さったであろうイヤホンを自分の耳に挿入するのは確実に“ためらう”。漢字で書くと「躊躇う」だ。「ちゅうちょ(う)」ではない。画数が多すぎて手で書くのを、それこそ“ためらう”漢字の言葉。そんなためらいを少しでも緩和しようと量販店ではイヤホン試聴コーナーに「ウェットティッシュ」が置かれている事が多い。しかし…どうしたらこうなるのか不思議なくらいそのウェットティッシュのボトルというのか筒状のプラスチックケース自体が既に汚れている。…なぜケース自体が黒ずむのか。当然中身のウェットティッシュは綺麗なのだと思いたいが……何だろう。これがイヤホンを試聴する際の「ためらい」の原因なのか。(現在はワイヤレスホン専用試聴コーナーが出来ていて店員さんが常に管理をしている状態なので衛生面では少し安心)
シャレにならない不衛生さで試聴を諦める
SHURE(シュア)のSE215を購入した時は完全に指名買いの状態だったので試聴せずに購入したが私にとっては大きく「ハズレた」感はなく、価格は1万程だったがあの超メジャーなSHURE製で1万円程なら少し好みの音から外れても大きく失敗することはないだろうという完全に信頼をもとに購入したのだ。SE215の時はたまたま良かっただけで、今回も同じ様に上手くいくとは限らない。音質を落としてまでワイヤレス化するのは本意ではないので、ある程度の音質を確保するためにも決して安くはないBluetoothイヤホンを購入することになる。それを試聴しないで購入するほど博打的な買い方をするワケにはいかないのでウェットティッシュを持参することにした。しかし、それでもAppleのAirPodsの様な「インナーイヤー型」ならまだしも、SHUREのような「カナル型」はイヤーピースの穴に何やら有機的な物質が…。うっ…これは、かなり勇気がいる。朝一番に行けば事前に店員さんが綺麗にしているのだろうが、私の行った時間帯が悪かった。さんざん色んな人が試聴した後だ。今現在(2020年3月22日)の様に新型コロナウィルスが流行している時だったら絶対に試聴などしないが、この時はコロナの「コ」の字も聞いていない時だったので試聴しようと思えばできる。しかし、これはウィルスの問題ではない。悩んだあげく試聴をあきらめ、自分の直感で購入することを決めた。結果「バクチ買い」。これも金銭面でかなり勇気がいるがそれとは勇気の方向がまったく違う。(※くれぐれも当時の話であって、現在はワイヤレスホンの専用試聴コーナーが出来ていて店員さんが常に管理をしている。当時からあったかどうかが思い出せない)
SHUREで完全ワイヤレスイヤホンがあれば当然そちらを第一候補として購入を検討しただろうが現在は販売されておらず、今後の発売の予定も見えない。いずれは登場するかもしれないがその時はその時だ。
「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」を購入した
そういった理由で試聴もせず、購入したのが2018年12月に発売されたSennheiser(ゼンハイザー)の「MOMENTUM True Wireless」。少々お値段は高いのだが、以前に本ブログでも紹介したヘッドホン「HD650」が自分の中での音の評価が高かったので、同社製を選んだのが理由の1つ。後は本体での再生・停止などの操作はタッチセンサーになっており、壊れそうな物理的なボタンがない事だ。一応通話もできる様だがそれに関しては余り期待をしていないし、特に必要と思っていない。何故なら私自身が外で「手ぶら」状態で通話をするのがいまだに恥ずかしいからだ。独り言を喋っている様でいまだに慣れない。
以前に向かいから人が来ていて、すれ違うタイミングでその人が喋り出したことがあり、急に自分に喋りかけられたのかと思って「ビクッ」としたことがある。その人は有線のイヤホンをしていたがマイク付きだったらしく、その時たまたま通話をしていたようだ。手でマイク付近を持ちながらだったら喋っているのが遠目からでも判るが、さすがに両手が降りたまま喋っていると今は違和感しかない。そんなこと言っている間にもに世の中はそんな人ばかりになるのだろうか。
…話を戻そう。
ワイヤレスとしては可も無く不可も無く。予想よりは良い音
結局試聴しないまま購入に踏み切ったワイヤレスイヤホン「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」だが、初めての試し聴きでは、予想していたよりもいい音で鳴った。流石に今まで使っていたAT-PHA55BT+SE215を超えることや、「完全ワイヤレスイヤホンでココまでの音が!」と驚くまではいかなかったが、Bluetooth内蔵のイヤホンと考えれば十分な鳴りだ。音の広がりも感じる。他の同系イヤホンと比較できていないので中でも良い方なのか悪い方なのかも判断できない。それはそれで他が気にならないこともないが、知らないということはある意味「幸せ」でもある。
まずは装着感だが、少しハウジングが大きく感じ、長時間で使用すると耳(ココと言う場所が分からなかったので調べた部位名称で言うと「対輪(たいりん)」)が痛くなりそうだ。耳からも丸い形状のハウジングが飛び出す形になるので、装着すると昔懐かしいオモチャのロボットの様な格好にも見える。
音質に関しては、先ほど申し上げたとおり。他と比較していないのでなんとも言えないが、完全ワイヤレスにしては良い方だと感じる。外出時に聴くモノなので究極まで音にこだわっていないし、所詮プレーヤーとなるのがハイレゾプレーヤーではなく、最近では外出時にiPhoneでSpotifyを聴くことが多いので音質に関してあまり言えたものではない。私としては試聴せず購入したが「ハズレではなかった」という事くらいだろうか。AT-PHA55BT+SE215の組み合わせと比べると、若干音に1枚薄いベールをかけた様な何か少しスッキリしない感じがしないでもない印象。
音のチューニング傾向に関してはゼンハイザーの素直な鳴りがそのままワイヤレスになったイメージ。低音が強調されるや高音がキンキン鳴るやザラつくということもなく音域バランスはいい。HD650と比較すると中音を若干持ち上げたチューニングに感じるため、ボーカルが聴きやすいと言えば聴きやすい。ただし、カナル型のイヤホンなので装着の仕方による。耳にしっかりフィットさせ、密閉するとバランスは良いが、軽く装着してしまい、きちんと耳にフィットさせないと当然低音が弱く感じる。さらに装着が弱すぎると音がスカスカに。イヤホン全てに共通するがこの辺りはイヤーピースの交換により随分と印象が変わるはずだ。
私の場合は付属のイヤーピースのままだと音が今ひとつ好みではないので、イヤーピースを別途購入した。私が別途購入し使用しているイヤーピースはComply(コンプライ)製 TrueGrip TG-200を使用。選んだ理由はウレタンフォーム系で本機に装着できるイヤーピースの選択肢がなかったという理由だけ。Comply TrueGrip TG-200はシリコンの30倍柔らかい素材の体熱活性化メモリーフォームという人の体熱により活性化され、外耳道に密着し密封するシールに変化するポリウレタン素材らしい。確かにイヤーピースが外耳と密着することで遮音性も向上し低域が心地よく持ち上がるため、多少装着が雑でもそれなりに聴こえる。ポリウレタンフォームの短所なのかイヤーピースが長めで内側に何の加工もされていないと音が吸収されるのか、こもり気味になる傾向がある。購入したイヤーピースは長さが短いためかどうかは分からないが変に音がこもることはなかったのが幸い。
私が購入したのは下のイヤーピース。装着感も悪くなく、遮音性も高く、本体から外れることもなく使用していたが先日、先端が少し裂けた。本来イヤーピースを押しつぶしてから耳に挿入するのが正しい装着方法なのだが、面倒くさくなりついグリグリとねじ込むように装着したので柔らかめのポリウレタンが裂けてしまった。現在リピート購入するか別のモノがあれば試して見ようか検討中。
イヤホン本体バッテリーの持ちは悪い方らしい…充電ケースのバッテリーは長期間持ち歩くには不便仕様
イヤホン本体のバッテリーの持ちは連続使用4時間でケースのバッテリーと併せてトータル12時間となっているが、私は連続4時間もイヤホンで聴くことはまずないので問題ない。それより使っていて少しどうなのかと思ったのが、充電ケースのバッテリー持ち。本体はケースに入れると接続が切れてスリープ状態になり充電を行う。あくまでもスリープなのでイヤホン本体は微量にバッテリーを消費し、一旦100%の満充電になってもケースから少しづつ充電される仕様のようで、数日間ケースに入れっぱなしにしておくと、ケースのバッテリーも消耗し尽くしてしまう。感覚的には5〜6日。バッテリーが劣化するともっと短くなるだろう。なので、数日ぶりにケースから取り出すとケースもイヤホン本体共に完全にバッテリー切れを起こしている状態になるのだ。この仕様に気づいてからは、2日〜3日おきにケースを充電するように習慣づけた。これに気づく前はイヤホンの電源が入らなくなったのかと焦ったが、どうやらそういう仕様らしい。1週間ほどの旅行で使用するなら確実にバッテリー切れになるのでモバイルバッテリーが必要になる。これは人によってはかなり不便を感じるかも知れない。
片耳外すと一時停止する便利さ
便利な機能としては、片側のイヤホンを耳から取り外すと一時停止されること。再び装着すると続きが自動で再生される。使用中に人から話かけられた時や、コンビニの買い物などで精算する時など、片耳側だけを外せば曲再生が一時停止され、わざわざ停止ボタンを押す必要がないのがこれほど便利だとは思わなかった。
ノイズキャンセリングはないが遮音性は高い。「トランスパレントヒアリング」機能は生活音が苦手
ノイズキャンセリング機能は持ち合わせていないが、しかっりしたフィット感があり、別途購入したイヤーピースのおかげか遮音性は高い。特にノイズキャンセリングがなくても十分な気がする。このイヤホンには「トランスパレントヒアリング」という機能が備わっており、イヤホンに内蔵されているマイクから外音を取り込むことができる。デフォルトでは装着した右側のイヤホンを2連続タップすると音楽が停止し、外の音が聞こえるようになる。これは専用アプリ「Smart Control」で設定を行うことで音楽を再生しながらでも外音を取り込むことが出来るようになる。車通りの多いところでの遮音性の高いイヤホンは危険なのでそういったときに使用したり、電車の車内アナウンスを聞き逃さないようにするには便利な機能だ。小音量だと音楽を停止することなく普通に会話が出来る。ただ、どこか高音の周波数だけがやたらと大きく聞こえ(例えば食器のカチャカチャした音とか、金属質の音)、耳に付くように聞こえるので生活音が多いところでは使用していない。
その他の機能や使い心地
上記で少し触れた専用アプリ「Smart Control」をスマホにインストールすることによりファームウェアのバージョンアップにも対応する。アプリでトーンコントロールもできるが、ユーザーインターフェースが感覚的な操作のため使いにくいので私は使っていない。トーンコントロールする場合は基本プレーヤー側で行い、これはオマケ程度と思っておいた方がいい。また、私はiPhoneでの使用だが右側イヤホンの1回タップでSiri(音声アシスタント)の呼び出しが可能。そのまま音声でSiriに話しかけることが出来る。私はこれも使っていないので誤操作で立ち上がるのを防ぐため機能をOFFにした。その他、Bluetooth 5.0 に準拠。対応コーデックはSBC、aptX、aptX Low Latency、AACに対応。重量はメーカー仕様書で、イヤホン本体:左約6g/右約7g、充電機能付きケース:約57gとなっている。実際カバンに入れたり使っていて重いと感じることはない。ケースのデザインもファブリック仕様で手で持った感じも良い。通信状態は街中で途切れたこともなく、様々なノイズ電波が飛んでいそうな家電量販店内でも途切れることはなかった。ただ、何故かエレベーターを降りる際に左耳側の音が途切れる時がある。そして何故か乗るときは問題なし。サイズは大きめと述べたがフィット感はあり、少々の運動程度で外れることはなさそうだ。頭痛がしそうなほど超ノリノリのヘッドバンギングに対してはどうかわからない。
「aptX Low Latency」なら映画視聴でもリップシンクが合うようだが…
対応しているコーデックの1つである「aptX Low Latency」は、音の遅延が極僅かに押さえられ、テレビやゲームなどでも使えるということらしい。実際、これに対応したBluetoothで音声を飛ばせるテレビやアンプ、スマホなら映像とリップシンクが合うということだろう。対応していれば自動で通信するのだろうか?複数のコーデックに対応している場合はユーザーがどのコーデックで通信するか選択出来るモノなのか?試してみたいが、私はこの辺りが正直あまり明るくないので現在どのコーデックでBluetooth通信を行っているのか何かモード切替えが必要なのか正直分からないので、確かに遅れがないとはここで言い切れない。その辺り、どなたか詳しい方ご教示願いたい。
音は良いが、万人にお勧めできないワイヤレスイヤホン
音は悪くないが、バッテリー持ちの悪さやが1番のネックになりそうだ。また、これを使って通話はしていないので声の聞こえや声の届きは分からないが構造上マイクが口元近くにないので不安が残る。私の場合は移動中の時間(長くても延べ2時間程)だけの利用と限られているのでバッテリーの持ちには問題が無いし、音質に関しても街の雑多な音が溢れている中で聴くモノに超高音質を求めていない。そこそこの音質を完全ワイヤレスで歩きながら音楽を楽しみたい目的だったので「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」は良かったと思えるが、利用の仕方によるので万人にはお勧めできないワイヤレスイヤホンだ。何度も言うがこういったモバイル系でこのバッテリー持ちは厳しいと言わざるを得ない。
ワイヤレスの快適さは想像以上
それにしても、本機に限った話ではないがイヤホンケーブルから完全解放されると、なんて楽なのだろうと実感する。イヤホンケーブルが服と擦れて音が耳に伝わるのを今までは仕方ないと諦めていたが、結構ストレスになっていたようだ。いくら「SHURE掛け」して装着していても、「糸電話」の要領で振動が伝わり、音楽に乗ってノイズとして聞こえる擦り音がずっと気になっていたのがスッキリと解消された。どれだけ首や体を動かしても擦り音がしない快適さ。移動時に聴くには最適なガジェットだ。
今頃になってナゼ、「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」のネタなのか
最後に何故このタイミングで書いたかと言うと…購入1ヶ月後くらいの2019年5月31日にFOSTEXから画期的なワイヤレスイヤホン「TM2」が発売されて椅子から転げ落ちそうになったので、いつかネタとしてブログに書いてやろうと思っていた。リケーブルできるドライバーユニットなら差替が自由に出来るので「SHUREのSE215がそのまま使えたがな…」と。まぁ、デザインも「黒い補聴器」みたいで今一つだし、こっちのSennheiser MOMENTUM True Wirelessで良かったかと思っていたら、こんどは先日この「Sennheiser MOMENTUM True Wireless」の後継機で連続使用時間が飛躍的に伸びて、さらにノイズキャンセリング機能が付いた「Sennheiser MOMENTUM True Wireless 2」の発売(2020年4月頃予定)がアナウンスされ膝から崩れ落ちそうになったからだ。もういいんだけどね…そんなに長時間聴かないし、ノイズキャンセリングはいらないし…。以前、「AT-PHA55BT」を購入した直後に、SHUREから「RMCE-BT2」という「AT-PHA55BT」と同系のBluetoothヘッドホンアンプが発売されたので「またかい!」と思った次第。購入タイミングの悪さで言えば、私はそういう星の下に生まれたのだろうかとさえ思ってしまう。
ゼンハイザー Bluetooth 完全ワイヤレスイヤフォン
MOMENTUM True Wireless (M3IETW BLACK)【国内正規品】
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