マランツが海外で先日8K UHDに対応したA/Vアンプ、SR5015 DAB、SR6015、SR7015、およびSR8015を発表した(日本では未発表)。当然のことながらHDMI入力ポートはHDMI2.1に対応。我が家で使用している同ブランドのA/Vアンプ「SR8012」の後継機となる「SR8015」は11chアンプ搭載、プリアウトは13.2ch対応で「DTS:X Pro」にも対応する(SR8015以外は未対応)。新たにBluetoothトランスミッターも備わり、常に同時出力されるのでメインスピーカーを切れば深夜の視聴スタイルにも幅を持たせることができるし、接続スピーカーと同時にBluetoothヘッドホンやイヤホンにも飛ばすので、聴覚に障害を持った人と同時に映画視聴する場合なら全体のボリュームを上げずに一緒に楽しむ用途にも使える。
現行のSR8012と外観の見た目やサイズはそのままで電源トランスも変わっておらず、重量も未定となっているが、内部パーツは多少増えるはずなので僅かな差はあっても、およそSR8012(17.4kg)と同じくらいとみていいだろう。その他、現時点で公開されている機種別仕様一覧を下に記しておく。
New 2020 8K-Models | SR5015 DAB | SR6015 | SR7015 | SR8015 |
価格 | $1,099 | $1,599 | $2,299 | $3,199 |
搭載パワーアンプ数 | 7 channel | 9 channel | 9 channel | 11 channel |
プリアンプ出力 | 7.2 channel | 11.2 channel | 11.2 channel | 13.2 channel |
定格出力
|
100 W per channel (8 Ω,20Hz-20kHz, THD:0.08%, 2ch driven) |
110 W per channel (8 Ω,20Hz-20kHz, THD:0.08%, 2ch driven) |
125 W per channel (8 Ω,20Hz-20kHz, THD:0.08%, 2ch driven) |
140 W per channel (8 Ω,20Hz-20kHz, THD:0.08%, 2ch driven) |
実用最大出力 |
180 W (6 Ω, 1-channel, 1%) | 185 W (6 Ω, 1-channel, 1%) | 200 W (6 Ω, 1-channel, 1%) | 205 W (6 Ω, 1-channel, 1%) |
8K/60 & 4K/120 HDMI パススルー | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
8K アップスケーリング | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
HDMI端子 | 6 入力 / 2 出力 | 7 入力 / 3 出力 | 8 入力 / 3 出力 | 8 入力 / 3 出力 |
Dual Sub Out | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
IMAX Enhanced | Yes | Yes | Yes | |
Auro-3D | Yes | Yes | ||
DTS:X Pro | ✓ | |||
All Zone TV Audio | ✓ | Yes | Yes | Yes |
HDAM回路 Phono入力 | ✓ | Yes | Yes | Yes |
Room EQ |
Audyssey MultEQ XT | Audyssey MultEQ XT32 | Audyssey MultEQ XT32 | Audyssey MultEQ XT32 |
Audyssey MultEQ XT, Dynamic Volume, Dynamic EQ | ✓ | Yes | Yes | Yes |
LFC, Sub EQ HT | ✓ | ✓ | ✓ |
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SR8015ではプリアンプ出力が13.2chに対応している。外部アンプを使えば、最大13.2ch出力ができるということだ。それよりなにより本機にはプリアンプモードが備わった。本機をプリアンプとしてのみ使用し、外部パワーアンプと組み合わせて完全セパレートで使用出来るモードがあるようだ。これは後のアップグレードに非常にありがたい機能なのだが、しかし、これだけのために買い換えるのは…難しいか。私の耳では全く分からないだろうが、SR8012と比較してTHD(全高調波歪)、いわゆる歪みが0.03%上昇してるのも数値としては気になる。
…で。8K UHDって今要る?
写す出すモニター側が少しずつではあるが8K UHDに対応していく中、A/Vアンプも対応せざるを得ないのだろう。しかし、8K UHD視聴環境を実際に自宅に導入するのはいつの事になるのやら。4K UHDすら標準的と言われるほど普及しているとは言いがたい。8K UHDは技術的に素晴らしいこととは思うが、一般家庭に普及するには相当の年月がかかるのではないだろうか。その頃にはさらに新しい機種も出ているだろう。新しく発表されたSR8015は、現時点で非常に興味はあるものの、生活する上でも購入したいと思う気持ちは全くない。ただ、Bluetoothトランスミッターは便利機能として欲しい。
8K UHDは単純に4K UHDの倍の解像度をもつ。確かに、80インチ以上の映像を映し出すプロジェクター視聴にとっては8K UHDは非常に魅力的だ。4K UHD映像といえども画面が大きくなる分、映像密度は実際には下がるが、8K UHDにもなると画面が大きくなっても映像の密度はかなり保たれる。それでも大きくなりすぎると、やはり明らかに密度は下がる。かつてパブリックビューイングで8K UHD映像を5〜6メートル付近から見た際は描写力の素晴らしさは感じたものの、画面が330インチとかなり大きかったので8K UHDといえども驚くような高精細さは全く感じず、イメージ的にはフルハイビジョン映像を引き延ばしによる劣化がないまま、330インチで見ている様な感覚になる。逆に比較的小さな(密度が高い)画面の静止画で見ると、まるで写真の様だ。それが動くので3Dメガネをかけて立体視しなくても適切なコントラストが確保できていれば奥行き感がリアルに描写される。視差はないので片目でモノや風景を見るような感覚に近い「錯覚」を起こす。
しかし、それもこれも撮影状態による。撮影機材が8Kで行っていなければ当然8Kの解像度はない。まずは8Kカメラでの撮影や編集環境が整わなければ真の8K映像は発揮されない。8K解像度をもつカメラで撮影してそれを8K環境で編集し、8K解像度のまま放送電波で飛ばすやメディアに書き込む作業が必要になるが、それまでは結局の所2Kや4Kをアップスケールさせた映像を見ることになる。
実際に8K UHDがこの先、テレビなどで一般家庭に普及するかどうかも分からない。パソコンを使ったグラフィックスのクリエーターやそれを使ったゲームなどが先行するだろう。テレビやプロジェクターなどは一部の人が喜んでも、ニッチな需要のために企業が生産を続けるとは考えにくい。少ない需要での販売は価格も高価なままになるため尚更普及しにくい。しかも、A/Vアンプを対応させても、さらに今4K UHD視聴で使用しているHDMIケーブルからスプリッター、セレクター、プロジェクター(もしくはテレビ)まで全てを8K UHD対応(HDMI ver.2.1)に変更する必要がある。いったい総額いくらになるのだろう。
8K UHDが見えてくるのは4K UHDが「標準的」と言われるくらい普及してからか。SD(DVD)やFull HD(Blu-ray)映像でさえ現役の今、もしかすると4K UHDがすっ飛ばされて8K UHDが一般的に普及する可能性もあるだろうか…?
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