雨に唄えば,ホームシアター,映画,感想

雨に唄えば(原題:Singin’ in the Rain)

1952年公開の言わずと知れたミュージカル映画の名作。日本での公開は1953年。主役のドン・ロックウッド役でもあるジーン・ケリー(Gene Kelly)とスタンリー・ドーネン(Stanley Donen)が監督を務めた。私も生まれていない年の映画だが、タイトルは幾度となく耳にしているので、いずれ見たいと思っていた映画。これまでツタヤディスカスでレンタルしていると月に借りられる枚数が決まっているので、この辺りの古いが名作と言われるDVDやBlu-rayは借りるのがどうしても後回しになっていた。

Blu-ray仕様:本編103分、1.33:1
英語:5.1ch DTS-HD Master Audio、日本語:なし(日本語字幕はあり)
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テレビなどでシーンをブツ切りでちょくちょく目にしていたので全く目にしたことが無いわけではなく、タイトルにもなっている「雨に唄えば」を歌って踊っているシーンなどは幾度となく見た事がある。ただ全体を通して見た事がなく、映画内容はサッパリ知らなかった。ここ最近Amazonプライムビデオに加入したり、NetflixやU-NEXTのお試し期間で、こうした古い名作を気軽に見られるようになったことは本当に有り難い。本作はAmazonではプライムビデオとして登録されておらず有料レンタルだったため、今回は現在10月まで ”お試し” で加入している「U-NEXT」での無料鑑賞となった。U-NEXTでの鑑賞は何とか普通に見られるクオリティだったが、欲を言えばもう少しキレイな映像で楽しみたい。上記で紹介しているBlu-rayは2013年に発売された60周年記念リマスター版を元に記載。名作であり実際に見ても楽しく面白い映画だったので是非手に入れておきたい映画ソフト。やはり古い映画なので映像のアスペクト比は当時の映画標準サイズ、1.33:1のスタンダード・サイズ。かつてのブラウン管テレビ(4:3)と同じ。今見ると正方形に近く見えてしまう。音源はオリジナルがモノラルなので、Blu-rayは編集で5.1ch化したものだと思われる。U-NEXTでの鑑賞時はAVアンプでモノラルにして鑑賞。





「雨に唄えば」あらすじ

ハリウッドの人気スター、ドンとリーナは10本以上の作品で共演する名コンビ。世間も彼らの結婚は間近だと噂している。そんなある夜、ドンはコーラスガールのキャシーと知り合い忽ち恋に落ちる。やがてドンとリーナの新作の撮影が始まるが、時代はサイレント映画からトーキーへと転換期を迎える。彼らの作品も途中トーキーに変更。ミュージカル化され、なんとリーナの吹き替えをキャシーが務めることになり……。

「雨に唄えば」公式サイトより引用。© 2017 Warner Bros. Japan LLC All rights reserved.

「♪アイム、シ〜ング、インザレイ〜ン…」と、歌は多くの人が聴いたことがあるだろう。この「雨に唄えば」の歌自体はこの映画よりも以前の1931年にアーサー・フリード(Arthur Freed)作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン(Nacio Herb Brown)作曲によるアメリカのポピュラーソングだ。本作で一気に日本でも知られることになった。この映画はミュージカル映画のカテゴリーだが、よくミュージカル映画でありがちな、いきなり何の脈略も無く感情に任せて急に歌い出すことが無いのがいい。基本的に普通のセリフがある映画として見せ、その中で自然に歌と踊りに移行する意味あっての歌と踊りだ。だから見る側を置き去りにしない。しかもコメディ要素も多分に含まれておりエンターテインメント性の高い明るく面白い映画になっている。

圧巻のタップダンスに魅了される

監督及び主役のドン役を務めるジーン・ケリーが元々ブロードウェイのダンサーだったこともあり、ダンスが抜群に上手い。劇中、親友でピアノ奏者でもあるコスモ・ブラウン役のドナルド・オコナー(Donald O’Connor)も1歳の頃から舞台を踏むベテランのコメディアン。ドンが恋に落ちるヒロインのキャシー役は女優デビー・レイノルズ(Debbie Reynolds)でこれまた歌手でもあるので歌が抜群に上手い。これらが組み合わさったミュージカル映画が面白くないわけが無い。特に劇中随所に見られるタップダンスは圧巻。よく芸能人が隠し芸的にやるタップダンスと比べるのはナンセンスだが、それらはなんか昔見たタップダンスと違うと思っていた。あれは ”タップ” して靴底で音を鳴らしているだけであってタップ ”ダンス” では無いと思っていた。この映画のタップダンスは正に子供の頃に見たタップダンスそのものだ。恐らく当時は音を全て拾えないだろうから後で足しているのだろうが、それにしても少なくともタップした時の音と、足が床を蹴る映像が合っているのだ。実際にタップダンスを踊っていることは違いない。この役者達は本当に芸の能力が優れている。正に言葉通り ”芸能人” とよばれるに相応しい方々だと思える。

知られざるデビー・レイノルズの素顔

本作ヒロインのキャシー役であるデビー・レイノルズは、あの「スター・ウォーズ」のヒロイン、レイア姫役だったキャリー・フィッシャー(Carrie Frances Fisher)の母親である。残念ながら娘であるキャリー・フィッシャーが亡くなった2016年12月27日の翌日(同年12月28日)に、デビー・レイノルズも脳梗塞で亡くなっている。昨年話題になったのでご存じの方も多いだろう。デビー・レイノルズにとって本作が2本目となる映画だ。映画デビューしてから2年目でこの役に抜擢されている。しかもダンスは未経験らしく、たった3ヵ月の特訓だけで撮影に臨み、あの劇中にある ”Good Morning” の歌と共にタップダンスを披露している。ダンスシーンの撮影が終わると足から血が流れ立てなくなったらしい。このことはデビー・レイノルズが亡くなった翌日にイギリスの新聞「デイリー・テレグラフ」は本作を振り返った記事を掲載している。劇中笑顔で楽しそうにタップダンスを踊る彼女の裏には、それこそ「血の滲むような努力」どころかあのタップダンスは実際に血を流してまで努力した結果だ。ブロードウェイのダンサーだったジーン・ケリーと大ベテランのドナルド・オコナーの間に立ち歌い踊る、それだけ要求されるレベルも高く、相当のプレッシャーとも戦ったはず。タップダンスという芸を身につける為の何という凄まじいプロ根性だろうか。

映画の歴史をちょっと知ることが出来る映画

この映画ストーリーの背景にあるのは、あらすじにもある「サイレント映画」から「トーキー(発声映画)」への転換期時代。「サイレント映画」と「トーキー」を簡単に説明すると、「サイレント映画」は、有名どころで言えば今の時代でも多くの人が知っているであろうチャールズ・チャップリン(Sir Charles Spencer “Charlie” Chaplin)などの無声映画。今はBlu-rayやDVDなどで映画を見ると音声と音楽が映像と共に流れるが、その当時の映画館では映像に伴う音楽は生演奏であり、音声は無く字幕のみであった。一方で「トーキー」は、正確には少し違うが現代と同じように映像と音声が同期して入っている映画を言う。「雨に唄えば」の時代背景は劇中にセリフとして出てくる、世界初の長編トーキー「ジャズ・シンガー」が大ヒットしていることから1927年頃のハリウッドを題材にしていると思われる。現在はわざわざ「トーキー」とは言わず、当たり前に映像と音が「同期」し映画として鑑賞できるが、この頃の映画は芸術性を重んじており当時の映画にとって新しい技術を取り入れた「トーキー」は、当初「お偉いさん」や「評論家」達の間ではかなり懐疑的で芸術性が失われると言われていた。本作の劇中でもそれらのやり取りが分かり易く織り交ぜてあり、見ていて興味深く面白い。以前紹介した映画「トロン:レガシー」の記事でも書いたが、新しい技術を取り入れた映画は「お偉いさん」や「評論家」達にまずは拒絶される。そんな人たちも一般大衆にウケると途端に手のひらを返したように絶賛するのは、いつの時代も変わらないんだなと思う。

フォルクス・ワーゲン「Golf」のテレビCMが秀逸だった

2005年にフォルクス・ワーゲンの車「Golf」のテレビCMで、本作で主役のジーン・ケリーが劇中でタイトルにもなっている「雨に唄えば」を歌うシーンを元にして作られた1分ほどのCMがあった。ダンスがブレイクダンスになり、音楽もリミックス。踊るダンサー(デイビット・バーナル / David Elsewhere)にジーン・ケリーの顔を合成したものだ。フォルクス・ワーゲン公式で「今回のゴルフ(新型GOLF GTI)は初代から数えて5代目にあたり、古典的な良さを踏襲しつつ現代的な新しさを加えたというメッセージを、ジーン・ケリーのブレイクダンスに込めた」と同社は説明していた。残念ながらイギリスで流されたCMで日本では流れておらず、しかも現在では古い車種になるので当然現地でも今は流れていないと思うが、当時のCMをYouTube等で探せば見ることができる。現在アップされている動画は他のユーザーが保存していたものをアップしたもので、恐らくフォルクス・ワーゲン公式では無いためこのブログに直接リンクして掲載することは避けるが、機会があれば「Singin’ in the Rain VW CM」で探して見て欲しい。感動しつつも笑える。

 



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