プロジェクターのLCDとかLCOSとかDLPって何?
ホームシアター,暗幕,暗幕作り,シアタールーム

プロジェクターのLCDとかLCOSとかDLPって何?

現在、プロジェクターは大きく分けて「透過型液晶方式(LCD)」と「反射型液晶方式(LCOS)」と「DLP方式」の3つに分かれている。全くの初心者には何がどう違うのかよく分からないかもしれないし、プロジェクターを購入しようとした時に初めて違いがあることに気づくかもしれない。映像に小うるさ…失礼、こだわる人や、マニアでなければ本来それほど気にしなくて良いのだが、違いがあることを知ってしまうと気になるのも確か。

このブログも「家キネマ。」と自宅で映画を観ることを目的としたホームシアター用途の機器なども話題にしているブログなので、冒頭にあげた3つの方式を無視するわけにもいかない。初心者向けの記事なので極力簡単に述べるように心がけるつもりだが、どうしても専門用語が出てきてしまうかもしれないので予めご容赦願いたい。

プロジェクターには切っても切れない「光の三原色」

まずここで「ナントカ方式とは…」の前に「光の三原色」という言葉は聞いたことがあると思う。パソコンやテレビで触れることの多い「アール・ジー・ビー」という言葉は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色を指している。この光の3色を組み合わせて色を構成する。真っ白な光は「赤」「緑」「青」の3色が同じ光の強さで重なって光ると「白」になる。また、光の強さで色の強さを表現する。プロジェクターがカラーで画作りをするための基本中の基本。

光の三原色

それを踏まえた上で、各プロジェクターの方式を示した概略図に「コレは何だ?」というモノが存在する。プロジェクターには欠かせない「ダイクロイックミラー」と「クロスダイクロイックプリズム」という光学部品。

「ダイクロイックミラー」は先ほど説明した「光の三原色」の色ごとに光を分離する光学部品。光に含まれる色の波長の違いを利用して分離させる面白い光学部品だ。「クロスダイクロイックプリズム」はその逆で光の色を合成するための光学部品。もちろん、逆から光を入れると「赤(R)」「緑(G)」「青(B)」の3つの色に分離する。それぞれそのまま名前を画像検索すると分かり易い画像が沢山でてくる。

ちなみに、2014年にノーベル賞を受賞した、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の日本人3人で青色発光ダイオード(青色LED)を発明・実用化したのは記憶に新しいが、それまでは青色がなかったためにLEDではこの光の三原色を使ってフルカラー表現ができなかった。だから青色LEDの発明は凄いことなのだ。

透過型液晶方式プロジェクター(LCD)

LCDとは

Liquid Crystal Displayの頭文字をとった略称。カタカナ英語で言うと「リキッド・クリスタル・ディスプレイ」と読む。略称は「エル・シー・ディー」とアルファベットそのままで呼んでいる。液晶ディスプレイの事。価格もプロジェクターにしてはお手頃な「透過型液晶方式」のプロジェクター。

LCD方式の概略図

透過型液晶方式プロジェクター概略図

「液晶に光を透過させる」という特質上どうしても若干の黒浮きと、画面を構成する点と点の間に影ができる。これは液晶に画を映し出すための液晶1つ1つを駆動するための液晶駆動回路あるため。その配線が集合体となり格子状に展開している。その回路もろとも透過させるのでどうしても格子状の影となって出てきてしまう。ただ、プロジェクターを普通の距離で映画を見ている時に格子状の影が気になることはない。同じ透過型液晶方式を採用している一般的な液晶テレビも近くで見れば格子状の影はある。それが気にならないのと同じ。それが気になる人は液晶テレビも気になっているはず。透過型という性質からコントラストは中でも一番低い。あと、長期使用による経年劣化で液晶に色ムラが出る。

こんなふうに光をわざわざ3色に分解しなくても、透過型液晶なのだから光を直接1枚の液晶にテレビのバックライトのように当てて表示すれば済みそうなものだが、1枚の液晶パネルでフルカラーを表示しようとすると明るさが犠牲になる。かつては透過型液晶方式で単板もあったが今はほとんどど見ない。

私が所有して日々映画等楽しんでいるプロジェクター「EPSON EH-TW6600」もこの方式。画質的には他の2方式と比較してコレと言ったメリットはないが、それでも他を見比べなければ十分に映画は楽しめる。価値として考えたら50インチテレビ程度の価格で100インチ以上の大画面が手に入ると思えばお得に感じる。白ピークがかなり明るいのでリビングの暗めのダウンライトが付いている位なら割と普通に映画が観られる。ホームシアター入門機としても、普通に家族でワイワイとホームシアター用途として使用するにもお薦めできる。現在は更に明るさを増した後継機の「EPSON EH-TW6700」が販売されている。

EPSON dreamio ホームプロジェクター
(70000:1 3000lm) 3D・Bluetooth対応
EH-TW6700

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EPSON dreamio ホームプロジェクター
(1000000:1 2500lm) 4K/HDR/3D対応
EH-TW8300

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反射型液晶方式プロジェクター(LCOS)

LCOSとは

Liquid Crystal On Siliconの略称。カタカナ英語で言うと「リキッド・クリスタル・オン・シリコン」と読むが、そんな風に言っている人を見たことがない。皆普通に「エルコス」と極めて日本人的な略称で呼んでいる。直訳すると「シリコンに乗った(付いた)液晶」ということになる。数十万以上などのハイエンド機に採用されている。シリコン(Silicon)はシリコン樹脂のシリコンではなく、ケイ素(元素記号[Si])の方のシリコンでパソコンのCPUなどに使われる鏡の様な素材。この「鏡の様な」がこのLCOS方式では重要なポイントになる。

LCOS方式の概略図

反射型液晶方式プロジェクター概略図

概略図に描き起こすだけでも面倒だった程、「透過型液晶方式」と比べてコストがかかっている感じが分かる。否応なしに光学系の部品も多くなり実際にコストも本体サイズも大きくなる。液晶パネルとなっている映像チップ自体が光を反射する仕組みを持っているため「液晶」といいながらも方式的にはDLPに近い。ただハイエンド機に採用される分、コストを掛けないと皆が納得しない節もなきにしもあらず。実は単板(反射型液晶1枚)でもプロジェクターとして成り立つが液晶自体の反応がやはり遅いので、後に記述するDLPの様にはいかない。そのため3板(反射型液晶3枚)がほとんど。

「PBS」というまた新たな光学部品が登場しているが、これはちょっと説明するのがややこしい。これを説明しだすと「p偏光」とか「s偏光」というまた新たな「ちんぷんかんぷんワード」が出てきてしまう。「偏光ビームスプリッター」という色ではなく特定の光だけ透過させたり反射させたりする光学部品とだけに留めておく。私も丁寧に説明できない程度の知識なのでどうしても気になって眠れない人はGoogleで。

先の「透過型液晶方式」とは違い、液晶面に光を反射させて投影しているので近くで観察しても格子状の影がほぼ見えない。開口率90%以上は伊達じゃなく、コントラストも高く、黒はしっかりと暗く沈み、光のピークも明るい。ただ先にも述べたように構造が複雑になる分コストも掛かり、本体のサイズも大きく重くなる。液晶なので透過型と同じく基本的に反応は遅いが倍速駆動やMEMC機能(動き予測・動き補正[Motion Estimation/Motion Compensation])などを備えているものもあるのでほぼ気にならない。経年劣化による液晶の色ムラは避けられないが、さすがハイエンド機が多いので中には色ムラを自動補正する機能を持ったプロジェクターも存在する。

日本市場ではJVCやSONYあたりがLCOS方式のプロジェクターを多く採用している。ただ、やはり価格がそれなりに高い。

ソニー 4K/3D対応 ビデオプロジェクター(ブラック)
SONY VPL-VW555-B

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JVCケンウッド DLA-V7-B(ブラック)
D-ILAホームシアタープロジェクター

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DLP方式プロジェクター(DLP)

DLPとは

Digital Light Processingの略称。カタカナ英語で言うと「デジタル・ライト・プロセッシング」と読む。略称はアルファベットのまま「ディー・エル・ピー」と呼んでいる。けっして「ドルプ」などとそれっぽくは呼ばない。直訳すると「デジタルで光を加工する」になるだろうか。この言葉の通りで、それを実現するためにDLP方式には切っても切り離せない、もう1つ覚えておかなければならない略称のデバイスが存在する。それが「DMD」だ。

DMDとは

Digital Mirror Deviceの略称。これまたカタカナ英語で言うと「デジタル・ミラー・デバイス」と読む。略称は「ディー・エム・ディー」。アメリカのテキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments Inc.)が開発した。これが先の液晶と同様映像を作り出すパネルに当たるのだが、これが凄いデバイスなのだ。先の2つの液晶方式の「液晶」という言葉自体はよく聞くし、実際にテレビでも使われているし、何となく身近な言葉や存在だと思う。「DLP」って言葉は映画をよく見る人は一般的なシネコンに導入されているデジタルシネマやIMAXデジタルでも採用されている方式なのでロゴくらいは見た事はあるだろう。その方式に欠かせないのが「DMD」。カタカナ英語で「デジタル・ミラー」って言うとおり正に「鏡」を使ったデバイス。朝に身支度する時に自分を見るアレ。

鏡は光を反射するのは誰でも知っていることだろう。子供の頃、手鏡などを使って光を壁に反射させて遊んだこともあると思う。それが丸い形の鏡だと丸い形で反射し、四角い形だと四角く、正確にその形に光ることを覚えている。そんな四角い鏡の反射を液晶でいう1画素(ピクセル)に見立てて極小レベル(約10μm)に小さくした鏡の集合体がDMDチップ。さらにそれが物理的に可動し、光の反射角度を瞬時に変えて光のON/OFFを作り出すという…理屈は思いついてもまさか作ろうとは思わないであろう、トンでもデバイスなのだ。例えばフルHDの映像なら…1,920×1,080で2,073,600個のミラーが映像形成するために超高速にワラワラとうごめく。最近搭載され始めているUHD 4K用DMDデバイス(DLP660TE)なら2,716×1,528で4,150,048個のミラーがうごめく。さらにON/OFFの切替が10μs(0.01ミリ秒)の速さ。…といってももはやピンとこないほど速い。

DLP方式の概略図

DLP方式プロジェクター概略図

そのDMDの反応速度の速さによって他の方式では現実的では無いことが可能になっている。液晶方式が3板式(3枚の液晶パネル)が主流なのに対しDLP方式の場合、ホームシアター向けプロジェクターでは単板式(1 DMDチップ)がほとんど。鏡なのでカラー映像は他の2方式同様に光に色を付けるしかないが、同じ反射式のLCOS方式同様にRGBの各色にそれぞれのDMDチップ使用するとDMDデバイスが液晶に比べてとても高価なのでプロジェクターの価格がとんでもなく跳ね上がる。そこで、DMDチップ1枚でなんとかカラーを実現しようと高速スイッチングを利点に時分割でRGBの色を照射するという手法を用いている。実際はスクリーンにRGBの各単色で映し出されているが人の目には各色が残像として残るのでフルカラーとして見える。

その構造はとてもシンプルだ。だから価格も安く小型化も可能になっている。しかしその分DMDの動きは凄まじい。カラーホイールと呼ばれる透過型カラーフィルターに光を透過させてそれをDMDが受け取り、画面を構成する各ミラー(1ピクセル単位)だけが投影レンズ向かって照射し、それ以外は光吸収板に照射して光を消滅させる。それをRGBの各色を透過するカラーホイールと同期して、超高速にスイッチングを繰り返し、しかも輝度(明るさ)は照射する時間で調整しているという結構な力業(ちからわざ)で映像を作り出している。かつては光量が落ちやすく暗くなりがちだったが最近はランプの光量アップやカラーホイールの改善などで随分明るさが確保されている。

またDLP方式は人によって個人差はあるがカラーブレーキング(切替る色の残像)が気になる場合があるようだが、幸い私は全く気にならない。意図的に視線を、それこそ高速スイッチングするように動かせば見えるし、そんなことするよりもスクリーンの前で手を振ればカラーブレーキングは見える。普通に映画を観ているときにそれをわざわざする人もいないだろう。格闘ゲームやアクションゲームなどで視線を頻繁に動かす場合は用途として向いていないかも知れない。

そんなカラーブレーキングの原因になるカラーホイールがない3板式(DMD3チップ使用)は、IMAXデジタルや劇場など業務用がほとんど。ホームユースでは海外製品でRunco(日本市場では販売されていない)あたりが有名だが普通に100万円以上と、とんでもなく価格が跳ね上がる。しかし、現在はLCOS方式でも100万以上はする商品もある。ホームユースで3チップDLP方式も日本の市場に出てきても良さそうなものだが…。また、単板だが3色のLEDやレーザー光源を使用し、カラーホイールを撤廃した機種もあるが価格もそれなりに高価となる。日本の市場ではBenQやOptomaが単板DLPプロジェクターとしては有名。


BenQ
ホームプロジェクター HT2550
(DLP/4K/2200lm/HDR対応/映画鑑賞/ホームシアター)

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Optoma
HDR対応4K UHD DLPプロジェクター
UHD60

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構造的に違いはあるが結局は金額と好みの問題でもある

プロジェクターも最新技術がどんどん投入されてより高価になっていく一方で、メーカーもかつての新技術が安く導入でき機器そのもののコストダウンを図っていく。最新技術を導入したプロジェクターは素直に感心するが全てのお金をそれに注ぎ込むことはできるはずもなく、どこか妥協点を見つけなければこの世界はキリがない。映像を並べて比較する、または、重箱の隅をつつくようなマニアックなこだわりさえしなければ、一定レベル以上のプロジェクターはどれも映画を観るには問題のないレベルで楽しめる。もしかすると人によっては方式の違いに金額ほどの差が無いように感じるかもしれない。量販店などのプロジェクターコーナーで写しているのは暗室エリアに並べて同時に投影して比較させ「高額だけどやっぱりこっちの方が綺麗」と思わせる戦略でもある。別々の部屋で正しい視聴位置から観たら違いがそれほど分からないかもしれない。

初めてプロジェクターを導入した人ならまずその大画面の迫力にテンションMAXで驚くはず。普段見慣れていない自宅での大画面は想像を絶する。私も初めて自宅にプロジェクターを導入して映し出した時は終始ニヤケ顔だった。

プロジェクターの大画面に慣れると徐々に自分なりのこだわりや不満が出てくるのも確かで、そこを妥協するか理想を追い求めるか。そんな私も個人的には液晶の映像よりもDLP映像の方が好みなのだが、ホームシアター用にプロジェクターを購入する当時、価格も含めて私の条件を全て満たすDLP方式のプロジェクターがなかった。なので「透過型液晶方式プロジェクター」で“妥協”したのだ。これから私がDLP方式を購入するなら4Kと3D対応は外せない。DLP方式でレーザー光源2,000ルーメン以上の3D対応4Kプロジェクターが出ないだろうか…たぶん飛びつく。

 


 


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