Blu-ray仕様:本編時間 110分 画面比率 1.78:1
英語:2.0ch ドルビーTrueHD 日本語:2.0ch ドルビーTrueHD
商品詳細を見る ▶
2.0ch(ステレオ)音声。この映画に5.1chサラウンドなど必要無いのかも知れないが、音での空気感も味わいたかったので5.1chにして欲しかった。
主演はヴィンセント・ギャロとクリスティーナ・リッチ(Christina Ricci)の2人。ビリー(ヴィンセント・ギャロ)の両親である父ジミー(ベン・ギャザラ / Ben Gazzara)、母ジャン(アンジェリカ・ヒューストン / Anjelica Huston)や関係者など他の登場人物も出演するが、それは2人の滑稽な関係を際立たせるために存在するようなもので、より一層独特の雰囲気が増す。
「バッファロー’66」あらすじ
5年の刑期を終え、釈放されたビリー(ヴィンセント・ギャロ)は、母親との電話でいくつもの嘘をついてしまう。いもしない妻を連れて帰らなくてはならなくなったビリーは、通りがかりのレイラ(クリスティナ・リッチ)を拉致し、妻のふりをするようにを強要する。初めは渋々従っていたレイラであったが、ビリーの孤独な心、純粋さ、優しさを理解し、次第に好意を持つようになる。
一方、ビリーは5年前に彼を陥れたスコットに復讐するために・・・。
ギャガ公式サイト Blu-rayソフト「バッファロー’66」より引用。
©1998 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved. Copyright © GAGA CORPORATION. All Rights Reserved.
「5年の刑期」、「嘘」、「拉致」、「復讐」、とあらすじのキーワードだけ並べると何だか穏やかではない雰囲気だが、これを「プライドだけが高い“稚拙な男”が虚勢を張って生きている」と言ったら少し見方が変わらないだろうか。ビリーは“受刑”していたといえ、これにはアホみたいな理由があり“復讐”につながる。“拉致”も本当のことにしようとする“嘘”の為。行動や発想、言い訳が幼稚なのだ。そして自分よりも弱いと思っているレイラだけには強気の発言をし、命令口調で上からモノを言う。これがこの映画の大きな構成。
ビリーというクズ男なのだが・・・
一見腹立たしい“クズ男”が主役の内容に見えるが、観る方は映画冒頭で如何にビリーが幼稚でダメ男かを察して理解すると思う。話が進むとその稚拙な言動を独特の空気感でやるから「どうなるの?」と観てしまうが結局“どうにもならない”から変な空気になる。その空気感をそのまま映像にするとこうなる。といった感じの面白い映画。
この映画の2人の不思議な関係性
「プライドだけが高い稚拙な男が虚勢を張って生きている」と言ったが実際ビリーはそういう思春期の子供のような男なのだ。そんなビリーという男をレイラは理由がどうであれ自分を必要とするビリーを許容し好意を持つようになる。最初は哀れみをもって接しているのかと思ったがそうでもない。
レイラとビリーはどこか似ている。レイラはレイラで思うところがあり、自分の居場所を探しているかの様。冒頭のダンスレッスンで皆がダンス用のウェアを着ているのにレイラ一人だけが浮いた衣裳(私服?)を着ているのも、派手なアイシャドウのメイクもそれを物語っているようだ。そこで偶然(流れ上)ビリーに拉致された。レイラにとっても自分を必要とする人がいることが“拉致”という理不尽な形であったが嬉しかったのかも知れない。だから拉致された後、逃げるチャンスはいくらでもあるのに逃げないでいるのはそれを表している。レイラはレイラで孤独な心を持った寂しい女性なのだ。
母親の愛に飢えているビリー
母親からの愛情を全く感じることができないビリーは母に近い愛を求めていたのかも知れない。女性であるレイラに対してきつく当たるが、裏を返せば自分に構って欲しい愛情に飢えた“男の子”のやり方と同じだ。そう思えば言動も行動も納得はできないが理解でき、可愛く見え愛おしいとさえ感じる。
レイラもそんなビリーに対し怒ってはいるが声を荒らげる事も無く従う(ビリーの“クソ女”に対して“クソ男”ってひとことは言うけど)。まるで母親の愛情のようだ。関係ないかも知れないが当時のレイラ役だったクリスティーナ・リッチが少し“ぽっちゃり”している。この“ぽっちゃり”感が余計に“母的な包容力”を感じさせるのだろうか。これがモデルのようにほっそりとしていたら、ちょっと違ったかもしれない。
いくら偉そうに虚勢を張ろうが男のくだらないプライドや弱さ、稚拙さを物語る映画でもある。心当たりがある人もいるかも知れない。そんなビリーを「可愛い」と見るか、「男だな」と見るか、「情けない」と見るかは観る人次第。クリスティーナ・リッチの“かわいらしさ”も“ぽっちゃり度”もこの映画の頃がピーク。
この記事へのコメントはありません。