JBL S3100,バイワイヤリング接続,ホームシアター,オーディオ

JBL S3100をバイワイヤリング接続

JBL S3100を入手してから丸2ヶ月間、日々毎日のように映画を観たり、音楽を聞いたりして音出ししている。交換したばかりだったと思われるウーファーのエッジもすっかり馴染んだようで、低域がズシンとしっかり鳴るようになった。音を聴いていてとても気持ちが良い。自分にとって心地いい音はストレス解消にもなり、心を満たしてくれる。

現状のシステムでさらなる“いい音”を求めて

いい音になったことでもう一つ気づいた事がある。音の内容にもよるだろうが基本的に音が大きくても“うるさくない”のだ。音量測定器で測ればきっと以前よりも随分大きな音であっても耳を塞ぎたくなるような、うるささを全く感じない。さらにスピーカーに近づいてもうるさく感じない。これは私が「JBL S3100にスピーカーを替えてから聴き疲れしない」と思っていることと関連していることなのだろう。不思議な感覚だと思いつつも身体に音の振動を感じ、ご近所に迷惑になるといけないので普段はぐっとボリュームは下げている。

自分にとっては高級なアンプも使わず、AVアンプを使った音なんかでも十分いい音だと満足しているつもり…だった。しかし人間の欲望とは果てしないもの。「今のシステムで少しでも音が良くなる方法が何か“簡単”かつ“安く”できないものか」と。





スピーカーによって可能な「バイワイヤリング接続」

そこで思い出したのが“バイワイヤリング接続”。スピーカーの裏面などにある接続端子が高域と低域に別れていて「+」端子と「ー」端子の合計4つの端子が付いていれば接続可能だ。JBL S3100も高域と低域で別れて端子が付いている。普段、アンプからは片側チャンネル(右 or 左)スピーカー1台につき1本のスピーカーケーブルで接続し、スピーカー側の端子で附属のジャンパープレートを使い高域と低域の端子を繋いでいる。(下の「バイワイヤリングの接続方法」で図解説明)

安価なスピーカーでは接続端子が増える分コストも掛かるので、私が知らないだけなのかほぼ“バイワイヤリング接続”に対応していない。誤解されてはいけないので補足しておくが「バイワイヤリング接続対応スピーカー = 高級スピーカー」ではないということ。ペア40万円以上するスピーカーでも敢えてシングル・ワイヤリング接続専用というのも存在する。

本来ジャンパープレート(バスバーとも呼ばれる)も余り音にはよろしくないという。附属のジャンパープレートを使うくらいならスピーカーケーブルを10センチくらいに短く切って繋げた方が音は良くなる…と言われているが、私はただ面倒なだけで試していない。材質が真鍮から銅になるので電気信号の具合でも変わるのだろうか。

検証していないので体感的に分からないがJBL S3100の場合で言えば接続端子が元々が真鍮っぽいし、端子間同士のあの短い距離が銅線に変わったからといって私には多分それほど音に変化は感じないと思う。それよりも新たにスピーカーケーブルを剥くことによって錆のない綺麗な銅線が現れ、それと接続することによる恩恵があるのではないだろうか。(あくまでも推測による持論)

もう1つの接続方法「バイアンプ接続」

ちなみに、もう1つの接続方法で“バイアンプ接続”という方法がある。アンプ側で高域出力端子と低域出力端子が別れてる、もしくは高域用と低域用の2台のアンプ(モノラルアンプなら4台)を使い、それぞれの出力端子にケーブルを繋いでスピーカー側の高域と低域の端子に接続する。最低でも4チャンネル出力可能なアンプ、もしくは高域用と低域用とで2台のアンプが必要になるが、AVアンプなら元々複数チャンネルあるのでこれが可能となっているものもある。

私の所有する古いYAMAHAのAVアンプも一応バイアンプ接続可能となっているが…これを使用すると切替式になっておりプレゼンス・スピーカー・チャンネル(フロント・ハイト)が使用出来なくなる。私にとってはこちらの方が大事なので今回バイアンプ接続はあきらめた。

バイワイヤリング接続と期待できる効果

バイワイヤリング接続はスピーカーに附属のジャンパープレートを取り外し、スピーカー1台につき2本のスピーカーケーブルを使ってそれぞれスピーカーの高域用端子と低域用端子に繋ぐ。アンプ側の出力端子には片側チャンネルで2本分のケーブルを接続する。スピーカーケーブルを高域と低域に分けるだけで音が良くなると言われている。理系にそれほど明るくないので詳しくは分からないがどうやら“逆起電力”を減衰させる効果があるらしい。逆起電力とは主にウーファーユニットが音で振動する時に発生するボイスコイルの振動による発電。ツイーターからもボイスコイルがあれば発生する。

確かに小学校の頃にモーターを手動で回転させると微弱ながら電力を発電し豆電球が点いたのを思い出した。その原理と同じでウーファーによって微弱に発生した電気がジャンパープレートを通して高域のツイーターの音に悪影響を及ぼすということらしい。ジャンパープレートは短く電気抵抗も弱い。なので高域用にスピーカーケーブルを別にしたバイワイヤリング接続をすれば、低域用のスピーカーケーブルと合わせて実質スピーカーケーブルが2倍の長さになり、さらにアンプ側でも微弱の電気信号を吸収させ、ウーファーから発生した微弱な電気はそれらの抵抗で減衰されて高域側がクリアになるというもの。なるほど…分かるような気がしてきた。

では、ジャンパープレートを長いケーブルに変えて抵抗値を増やせばいいのでは…と一瞬考えたが、それではウーファーからの逆起電力は減衰するものの、ツイーター(低域のウーファー側にアンプからのスピーカーケーブルを接続していた場合)にはアンプからの音の信号も減衰するのだと気づいて一人で恥ずかしくなった。

バイワイヤリングの接続方法

スピーカーケーブルを追加するだけだし、もともとメートルあたりウン千円〜ウン万円するような高級スピーカーケーブルなんて使っていない。お金もそれほど掛けずに「少しでも音が良くなる“可能性”があるなら」とバイワイヤリング接続にするために追加ケーブルを購入する前に試験的に片チャンネルで実行してみた。


 

まずはシングル・ワイヤリング接続の時に付けているジャンパープレートを取り外し(これを忘れてはならない)、ついでにスピーカー2台の内、片方1台(左右どちらでもいい)のスピーカーケーブルをアンプから完全に取り外す。取り外したスピーカーケーブルをもう片側のスピーカーの高域か低域どちらかジャンパープレートを外して空いた方に接続。

両チャンネルの音が1台のスピーカーに入力されることがないよう(注:両チャンネル同時に1台のスピーカーに接続して音を出さないように。アンプ側の保護回路が働いて電源が落ちるか、最悪の場合はトランジスタが破損する。)アンプ側も片チャンネルにスピーカケーブルを繋ぎ直す。これで“実験的(お試し)”にバイワイヤリング接続できる。ケーブルも同じモノだし都合がいい。そして音出し。

通常のシングル・ワイヤリングの接続。ジャンパープレートで高域(もしくは低域)に音声信号を配分する。

通常のシングル・ワイヤリング接続なら上記の様になっているはず。人によって違うかもしれないが、ジャンパープレートで高域用の端子へ音声信号を送っている。

ジャンパープレートを取り外す。形状はスピーカーによってさまざま。

バイワイヤリング接続やバイアンプ接続の場合は、ジャンパープレートは必要ない…いや、あると“逆起電力”を減衰させるという意味ではバイワイヤリング接続する意味がない。


バイワイヤリング接続時のケーブル配線イメージ。実写は配線がごちゃついて見えづらい(見るに堪えない)ので作図で。

作図でならスッキリ見える配線も、実際はアンプ側の配線がもの凄いことになっている。私の場合はAVアンプに接続なのでスピーカーケーブル用の端子がただでさえ多い。その上でバイワイヤリング接続でフロントチャンネルに2本分のスピーカーケーブルを接続すると“ケーブル地獄絵図”のようだ。それでも配線がうまい人はスッキリさせるから凄い。

バイワイヤリング接続するにはスピーカー1台あたり2本のスピーカーケーブルを必要とするが、バイワイヤリング用のスピーカーケーブルも販売されている。ケーブル2本分が1本になるので必然的にケーブル外径は太くなる。普段、好んで細めのスピーカーケーブルを使っている人は、その辺りも考慮する必要がある。

バイワイヤリング用4芯スピーカーケーブルを探してみる ▶

バイワイヤリング接続した結果

うゎ…微妙。確かに少しはS3100のホーンから出る中高域の解像度は上がりクリアになった。しかしホント、同じ曲の同じフレーズを交互に聞き比べないと分からない程度。音を聴く時はウーファーからも当然同時に音がでているので、ちゃんとした機器を使い音の特性を調べないと正確なことは分からないが、私の耳では期待したより明確な変化はなかった。

交互に聞き比べてみた限りでは良くなっているので結果“バイワイヤリング接続”で使うことにしたが、普段からそれほどまでに音に神経を集中させて聴いていない。今ならこっそりシングル・ワイヤリング接続に戻されても多分気づかないだろう。

これは使用するスピーカーケーブルによっては明確に違いがでるかもしれないし、もともと私程度の環境ではJBL S3100の性能が十分発揮されずにそれほど変化が感じられないのかもしれない。個人の主観にもよるだろうが使用するスピーカーによっては良くも悪くも劇的に変化する場合があるという。あとは音に対する好みの問題。

解像度が上がりクリアと言う人もいれば、それをザラついた音という人もいる。逆に音がこもったという意見は聴いたことがないので、解像度が上がるという方向は間違いないようだ。私も微妙ながらそう感じた。しかし、解像度が上がるということは悪く言えば音のソースによっては粗が目立つようになる(私の場合は微妙な変化なので音に集中すればの話)。いずれにせよ、あれこれ自分なりにいじりながら検証するのもオーディオ・ビジュアルの楽しみ方の1つと捉えて今回は満足しておこう。

 

 






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