映画音響ではとても重要な要素になる重低音。それを担うサブウーファーは映画視聴において欠かせないスピーカーだ。サブウーファーが有るのと無いのとでは雲泥の差がある。ちょっと大袈裟にいうと映画音響が「聴く」から「体感する」に変わる。さらにウーファーが大きいほどその体感の度合いが変わってくる。ホント…変わる。
そろそろ再計測しなければ
そんなサブウーファーを新調して3年目を迎えた。現在使用しているサブウーファーは「DALI SUB-E12F」。直径12インチ(30センチ)の大口径ウーファーでロングストロークタイプのユニットを持つサブウーファーだ。ロングストロークタイプのユニットはエッジがゴム質なので購入当初はエッジが硬い。たくさん鳴らして使い込むうちに少しエッジが柔らかくなり特性が変わってくる。オーディオ用語として「エイジング」と言えば聞こえが良いが、普通に言えばまぁアレだ…「劣化」だ。
3年前の購入当初より随分時間が経つのでエイジングという名の“劣化”が進み、サブウーファーの特性も若干変わっているはず。面倒だがそろそろ再測定&調整をしなければ。iPadにインストールした「Audyssey」アプリに当時の特性が保存されているのでこういう時、以前の特性と比較するのに役立つ。
過去のスピーカー特性と現在のスピーカー特性
アプリを立ち上げて、過去のデータを確認してみる。購入当初のサブウーファーのルーム特性が下のグラフ。
以前は高音域側に不要な音が出ているがこれは当時の部屋の反響音が影響しているものと思われる。そして、今回計測したのが下のグラフ。
比較すると一番の違いが高音域側の残響音が消えている事と、30Hz辺りの音圧が以前より上がってより重低音が出るようになっている。あとは全体的に中〜低音域に凝縮したような…高音が抑えられたようなグラフに変わっている。これは何が影響しているのだろうか?エイジングが進んだから高音域が抑えられるというのはちょっと考えにくい。こういう自動測定や自動補正ってあまり信用できないし、アプリのバージョンによっても変わりそうだが、サブウーファーの特性を考えると今の方が理想に近いのでヨシとしておこうか。
アコースティックな調整
高音域の残響音に関しては、部屋のレイアウトを少し変えたこと。サブウーファーにゴム脚を足したこと。床にラグを敷いたこと。スピーカーの後の壁と角に吸音材を貼ったこと等、機器的な補正ではなくアコースティックな調整をした複合的な要素があると思う。当初に比べて低音のダブつきがなくなって締まりが良くなり、低音域の「静と動」がしっかりした。
床に無駄な振動が伝わるのを低減するため、サブウーファーの脚にハネナイト(制振ゴム)とゴム脚を設置している。インシュレーターとゴム脚の間にハネナイトをサンドイッチ状態して設置。色々やってみて今のところこれが一番しっくりきている。ゴム脚はホームセンターや東急ハンズなどに売っているような簡易のモノでも十分だが、ハネナイトなどの共振を防ぐ効果のある制振ゴムは必須。
私は山本音響工芸の木製インシュレーターをスパイク受けにしてその下にハネナイト、さらにその下に防振ゴムという構成。ハネナイトは3ミリ厚を使用している。ハネナイトはちょっと値が張るので、見た目を気にしなければ代用品として「シリコンマット」でも良いと思う。シリコンマットを使うときはあまり厚すぎるとグラつくので程よい薄さのモノを選ぶ方が良さそう。
部屋の音響に関して1番の課題である「定在波」。サブウーファーなどの低音は特に定在波が出やすいというか気になる。不快な低音域がやたら大きく聞こえたり、ボアボアしたり、遅れて聞こえたりするのは定在波が発生している場合がほとんど。これらをなるべく解消したいが本格的にするにはサブウーファーの設置位置の再検討から始めて、部屋の天井四隅のコーナーに吸音材を敷き詰めないと根本的な解消にならない。リビングシアターでは流石に全部は無理なので少しでも定在波を解消すべくメインスピーカー後ろの壁の角だけは吸音材を貼り、ないよりはマシ状態にしている。
出過ぎる重低域を少し抑えて完了
アコースティックなルーム調整は以前に済ませているので今回は特に変更していないが、以前の測定より重低音域が目立つようになっていたので少し抑えるようにA/Vアンプで調整し、サブウーファーとA/Vアンプを繋いでいるピンプラグにコンタクトオイルを塗布して終了。
サブウーファーに限らずスピーカーは必ずエッジが劣化していく。数年かけて徐々に劣化するから音の変化にも気付きにくい。購入時に測定&調整してからは買い換えるまで放っておく人も多い。ある程度年数が経ったら再測定して、スピーカーの調整&メンテナンスはした方がいいぞ。
現在、SUB-E12Fは生産終了となり後継機のSUB-E12Nが販売されている(2022年2月)。
ありがとうございます!
「インシュレーター 4枚1組 ウルトラハード 厚み10mm」みたいなのを買って貼り付けてみようかと思います。
NS-F500の底には四隅に小さなゴム足(5mm高)みたいなのが付いてますが、ソコを避けてSP底面に直接貼るか
もしくは買ったオーディオボードは足が外せて一枚板になるのでボードの四隅に貼ってソコにSPを乗せるか・・・
そんな感じで良いと思います!
ゴム脚をインシュレーターに直接乗せて聴いてみて…、元のゴム脚を外して底面直接貼って聴いてみて…、オーディオボードに貼って乗せて聴いてみて…。スピーカーってあえて神経質に聴くとちょっと変えただけでメチャクチャ印象変わりますからね。何でも試してみてご自身がベストと思えるを採用するのが一番です。
>聞こえが良いが、普通に言えばまぁアレだ…「劣化」
コーヒー吹きました。
すみません、別件でご相談なんですが、前からなんですけど特にライブなんかをいつもの音量で視聴するとフロントSPからの振動が床から足に伝わります。
これを軽減するために足付きの安価なオーディオボードを買って乗せたらたしかに床からの振動はだいぶ改善されたんですが、音がイマイチに感じて結局地べた置きに戻してそのままです。何かの記事でみたんですが「極端な話分厚い座布団にSPをのせれば床への振動は抑えられるが、そうすると床に振動が逃げない分音がこもって音質は悪くなる」とありました。なるほど・・・って思ったんですが、床に振動を与えずかつ音質を保つ方法ってあるんでしょうか?
実行できるかどうかは別として、低音の振動対策は色々あると思います。ただし、スピーカーのサイズや視聴環境(床の硬さ)によってベストな対策方法は多少変わると思います。
>極端な話分厚い座布団にSPをのせれば床への振動は抑えられるが、そうすると床に振動が逃げない分音がこもって音質は悪くなる
上記は確かに極端な例ですが、確かにそうですね。ただ、床に振動が逃げないからこもるというのは、ちょっと違って正しくは「スピーカーのユニット(コーン)やキャビネットの必要な振動や振幅運動までが座布団に吸収されてしまっている」からでしょうね。それはいいとして…実際に床への振動対策として一番効果的で手っ取り早いのは3cm厚以上のスレート(石)を敷くことでしょうか。そのままスレートを敷くと細かい振動が床に伝わるのでスレートの下に薄いゴムシートを敷いてその上にスレートを置くのが良いと思います。私もそれをしたいのですが、3cm厚以上のスレートを敷くとただでさえ巨大なJBL S3100ではさらにでかくなってしまい、プロジェクターからの映像を妨げてしまうので諦めています。
というわけでして、私は代わりにインシュレーターとハネナイトを組み合わせてスピーカーの脚にしています。インシュレーターの受け皿の下、床との間にハネナイトを挟んでいます。それでコーンの振幅を殺さずに、且つスピーカーの直置きを避けて床鳴りを防いでいる感じですね。もともとJBL S3100はスピーカー自体がかなり重量があるので(1本約57kg)キャビネットの振動が少なく、そこまで床への振動はありませんのでそれくらいで済んでいます。
ハネナイトはある程度の厚みがあればいけると思いますが、あまり厚みのあるものも見た目が悪いですし、床鳴りがどの周波数で共鳴するのか分からないので、なるべく薄くするなら何種類かテストするしかないですね。
実験的ですが安くするなら100均などでも売っている地震対策用(転倒防止)のシリコンジェルマットを小さく切ってスピーカーの四隅に配して使うのも1つの方法です。大きすぎるとユニットの振幅に合わせてキャビネットも同時に動いてしまうので先の「座布団効果」と同じになってしまいます。