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「ポリコレ」という、ちょっとデリケートな話するよ。

今回の話はちょっとデリケートな話になる。最近映画において目に余ってきた「ポリコレ」についてだ。観た映画だとスターウォーズの新3部作辺りからちょっと気にはなってはいたが、先日紹介したマーベル映画「エターナルズ」で少しやり過ぎ感が出てきたので改めて「ポリコレ」と映画やその他などについて考えてみる。個人的な線引きで語ったり自論も入るので不快に感じる人や興味のない人はブラウザバックを。

ポリコレとは…

そもそも「ポリコレって何ぞ?」てところだが…

ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC、ポリコレ)とは、社会の特定のグループのメンバーに 不快感や不利益を与えないように意図された言語、政策、対策を表す言葉であり、人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない中立的な表現や用語を用いることを指す。政治的妥当性とも言われる。
Wikipediaより引用)

ということが本来の意味なのだが、私はどちらかというとイヤミな意味を含めて使っている。意味は理解しているつもりなので「ポリコレ映画やな」とか「ポリコレをふんだんに含んだ(意識した)ゲームやな」とか「ポリコレってるなぁ」とか、それらを意識しすぎてやり過ぎていると感じた時にそんな風に言っている。本来正しくはどう使うのか知らんけど。

時代に合わせた(?)映画の傾向

映画とか最近のゲームとかって映像が一層美しくなり、CGで描かれるキャラクターもリアルになっている。映像がリアルになればなるほど現実世界との境界が曖昧になってくるものなのか、フィクション(非現実)が広がる世界にリアリティを求めるようになるんだよね。

リアルの世界である地球上には様々な人種の人間が存在しているので、性別の違いをはじめ、瞳や肌の色の違いや体格の違いなど元から人種としての違いがある上に生まれつき身体に特徴を持った人、いわゆる“障がい者”と呼ばれる人もいる。人格まで話を広げると性やカップルに対する考えなども含まれてくる。そうそう、障がい者の「がい」を「害」と表記しなくなったのもポリコレの1つだ。

映画やゲームなど全世界をマーケットにする以上、より多くの人に楽しんでもらうため万人に対する配慮は確かに必要になる。そこで先に述べた全世界の様々な人種、人格の人に対して平等に扱うよう映画でもゲームでも考慮されるようになってきている。でもそれは多分だが、クリエイターが自らそうしたいと思って作っているのではない気がする。

確かに配慮が無いまま映画やゲームを一般公開すると、クリエイターにそんなつもりはなくても特定の人種や人格の人を傷つけてしまう可能性があるので、そこはしっかり考えて作らなければならない。でも、映画やゲームで「ポリコレ」を意識するのはそこまでで良いと思うんだよね。

マーケットを意識したまま配慮するから中途半端に

先に紹介したマーベルのヒーロー映画「エターナルズ」が何故、私の中で喉に骨が引っかかったように飲み込めなかったのか。そこには製作陣が「ポリコレ」を意識して盛り込み過ぎている割には全てを網羅できず(できるはずもなく)、結局は肌の色違いだけで人種を絞ってキャスティングし、特定の団体からクレームがつかないように配慮した映画になっている。「ポリコレ=八方美人」と揶揄されることも多いが、中国マーケットだけはしっかり考慮していることで八方美人にもなりきれていない。

日本人がキャスティングされていないどころか広島の原爆シーンを無配慮に再現しても、おとなしい日本人からわざわざクレームがくることもないし、何より映画マーケットが狭いので売上高も期待できない。だからヒーローの中に日本人は必要ないし、日本に配慮する必要もない。映画スクリーンの数が世界一多いマーケットの広い中国だけはしっかり配慮しなければならないので、日清戦争はもちろん天安門事件なんて映像で再現しないし、監督に中国人のクロエ・ジャオ、主役ヒーローに中国系イギリス人のジェンマ・チャンを採用しているのかもしれないなと、“へそ曲がり”な見方をしてしまう。

そして、「エターナルズ」は何故か不自然なほど均等に人種がバラけているヒーロー団体であり、ゲイのヒーローも入れとけみたいな状態。障がい者への配慮として聴覚障害のヒーロー、身体的に小さい子供もヒーローとして入れて設定上大人にはなれないことに…この流れからみるともはや「小人症」のヒーロー像を代役しているのかとも疑ってしまう。そういった特定の人達からは「エターナルズ」は称賛される映画だと思う。「世界的に見ればマイノリティな私たちでもヒーローになれるのだ」と。

「平等」がもたらす娯楽への弊害

とある団体から声を上げられ訴訟に発展してしまったり、後々話がややこしくなるケースがあるからと必要以上に「ポリコレ」を過剰に意識する必要はないと思う。むしろ過剰にしたためにその作品をダメにして「クソ」がつくほど“つまらん”ものにしてしまうこともある。映画にゲームに漫画など、私たちの身近にある娯楽は全てが「フィクション」だ。「フィクション」であり「非現実の世界」だ。フィクションだから面白いのだ。大事なことなので3回も同じようなことを言った。

しかし、面白さと共存するのは難しい。身体的・性的なマジョリティにしてもマイノリティにしても非現実を求めて映画を見ているし、ゲームをしている。マイノリティな人からすると普段できないことが映画やゲームの世界ではできる。と…そこまでは良いと思うんだよね。でも、そこに差別的な表現があると現実からある意味逃避したはずの世界でも疎外感を持ってしまうことになるのだ。

それが過剰になったり過激な人達によって、マイノリティな自分達はその世界に存在しない(登場しない)ことに不満をいだくようになり、あえて存在させようとする行動にでる。映画業界に訴えかけたり、ゲーム会社に懇願したりするようになり、無下に拒否すれば「差別だ」と更に声が大きくなる。製作側もそういったことが起きないよう配慮し過ぎると無理が生じて話がおかしくなったり矛盾が生まれたり、純粋に娯楽として楽しめなくなったりする。「全てが平等」というのは人間にとって平和ではあるが、娯楽としてはつまらないものになりがちなのだ。

フェミニストが目をつける映画やゲームの世界

最近こういったポリコレの話題の時にはよくあがる「フェミニスト」に関する事例もそうだ。ポリコレでいう「性的偏見や差別を含めない」ためにも女性軽視はダメだというのはもちろん理解できるが映画やゲームなどの娯楽、さらには御伽噺(おとぎばなし)など創作物まで首を突っ込んできて女性差別や女性軽視だと文句を言い出すのはやり過ぎな気がする。

かつて御伽噺で多かった姫を助ける王子さま。その時代の女性(少女)達はその物語にときめいてキュンとした人も多かったはず。そんな御伽噺を聞いて「女性を弱い者扱いしやがって」と感情を抱く女性はほぼいなかったのではないかと。それから時代が進み、現代ではディズニー映画の「ラプンツェル」や「アナと雪の女王」などに見られる強い女性像と影の薄い男性キャラクター。面白い映画だと思うし、これでいいのではないかと思う。しかし、ここ最近では過剰に反応し過ぎて映画は全て男女平等もしくは女性優位でないと気が済まなくなってきていないか?大丈夫か?

その目はゲームの世界にも向けられている。昔、PCを含めたビデオ(テレビ)ゲームで遊ぶのは圧倒的に男性が多かったが、最近は男女問わず多くの人がゲームに興じているので余計に問題視されてきているのだろう。プレーヤーが操作するキャラクターは男性が多いし、RPGの世界で女性はヒーラー(治癒や癒し)に回されることが多かった。ゲームはフィクションというのなら、なおさら巨大モンスターを腕力で倒すほどの腕っ節の強い女性戦士がいても良いではないかと。最近では少しずつ女性中心のゲームも登場しだしたがやはりまだまだ少ないし、それも結局は男性に向けたゲームでもあることが多い。

ゲームに多くの女性が登場するようになったらなったで、そうなると今度は女性キャラクターが身にまとっている服装に目をつけられ始めた。「性的だ」と抗議を受けるようになるので、体のラインや肌の露出を抑えるようにしなければならない。昔のゲームならキャラクターが小さく、ドット絵の頃は全身がモザイクみたいなものだったのでここまで話が大きくならなかったのだろうが、現代ではよりクリアで高精細になり、リアルになったことによってこういう抗議の声が大きくなってきている気もする。

え?あの「ドンキーコング」も?

さすがにゲームの「ドンキーコング」も一部のフェミニスト達によって女性軽視の対象になったのは呆れて笑ってしまった。ドンキーコングを知らない人は少ないと思うけど一応説明すると「ドンキーコングがさらったピーチ姫をマリオが助け出す」というゲーム。キャラクターの固有名詞をはずして言えば「巨大なゴリラがさらった女性を配管工のオッサンが助け出す」ゲームということになる。公式ではドンキーコングにさらわれる女性キャラクターはピーチ姫ではなく「レディ」という名前らしいが今回の話題ではややこしくなるので、あえて馴染みのある「ピーチ姫」と呼ばせてもらう。

ここで問題になってくるのは、ドンキーコングにさらわれたピーチ姫が「女性」ということ。そして助けるマリオは「男性」ということ。助けられる側の女性は「弱く」、助ける側の男性は「強く」描かれているので女性軽視につながるというのだ。ゲームの世界にこういった思想を持ち込むともう娯楽ではなくなる。かつてゲームをする人口は圧倒的に男性が多かった。だから自分が主人公(男)のヒーローになって姫(女性)を助けるというのは男性目線で作られていることが多いゲームの世界では当然の流れでもあった。

こういった思想に合わせていたらキリがない上に、娯楽として全く面白くないものができあがるのは目に見えている。
仮に「よし!わかった、逆にしよう!マリオがさらわれてピーチ姫が助けるゲームに変えよう!あ!ドンキーコングを倒すというのも動物愛護団体から訴えられそうだから、マリオがさらったドンキーコングをピーチ姫が助ける形の方がええか。設定もポリコレ考慮して、ピーチ姫はトランスジェンダーでオーバーオールを着たポリネシア人。体型がスマートなのも摂食障害を助長するかもしれないから太らせよう。マリオはゲイで、3頭身程の体なのも小人症だからということに。中国のマーケットは大きいからマリオは中国人という設定でいこか!だから2人の目の色も変えといて!」って、そんなゲームでええか?どう?売れる?

娯楽を娯楽として楽しみたいだけ

もうホント放っておいてほしい。娯楽を娯楽として楽しみたいだけなんだ。夢を見ていたいだけなんだ。そういう思想の映画はそういう映画として作ったらいいし、そういうゲームはそういうゲームで作ったらいいんでない?何もかも全てがポリコレ的になると娯楽は全くつまらないモノになってしまう。映画やゲーム上で性別や人種や人格による差を無くして究極の平等を目指すなら善悪に分けられなくなり誰も殺すわけにもいかないので結果エイリアンをひたすら倒すことしかできなくなるぞ。運動会の徒競走をみんなで手を繋いで一緒にゴールと同じようなもので、見ている方は何を見せられているのかわからなくなる。そもそも「競争」とは?

極めて個人的で勝手なことを言うと、本当はステレオタイプ…いや…あえて偏見や差別をふんだんに含めて作られた映画の方が面白いんだよね。ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」なんて日本がメチャクチャ偏見で描かれていて「アホか!日本こんなんちゃうわ!www」って思うけど映画は面白い。カーストや差別は時に勉強になったり、そんな逆境を乗り越えて成功する爽快感や勇気をもらえたりする。だから「ドリーム」や「グリーンブック」は面白いんだ。



コメント

    • もみじ
    • 2022年 1月 30日 12:54pm

    なるほどなるほど・・・、ゲームはやらないですが映画ではたしかにそう感じる事があります。
    >だから「ドリーム」や「グリーンブック」は面白いんだ。←ごもっとも。観ていてスッキリします。

    >「アホか!日本こんなんちゃうわ!www」って思うけど映画は面白い。
    「A/エンドゲーム」でローニンが日本のヤクザを成敗してる東京のシーンもそうでした(笑
    「エンド・オブ・キングダム」ではロンドンの葬儀会場に向かう日本の首相は護衛の無いただの運転手付きの車に乗っていて橋の上で渋滞にハマり、テロの橋爆破でサヨナラでした←面白いにも程があるぞっ!・・・いや、バカにするのもほどほどにせいっ!(爆

      • ウチキネマー@管理人
      • 2022年 1月 30日 5:13pm

      偏見や差別を含めた映画って結構微妙なものも含めると多くありますよね。それが本当に製作側の偏見なのか、ただ単に文化を知らないだけなのかってのもあります。日本なんて欧米人から見れば中国も韓国も日本も違いがわからないですから文化や様式はゴッチャになりがちですよね。逆に、私も欧米文化を見た時にそれがどこの国と特定するのは余程特徴がない限り難しいので微妙な様式の違いは分からないですもんね。少なくとも映画を作る側は他国の様式を映画に登場させるなら中途半端にせずしっかりと勉強してほしいもんですよね。

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