JBL S3100,スピーカー,オーディオ,ホームシアター

音を言葉で表現。これ、わかる?

S/N比が高く、正確で快活なテンポ感と伸びの快適さが、耳の快感として雄大な空間に迫力を持ちつつストレスなく拡がり、きめ細かな余韻も聴き応えがあり、そして漂うように消えていく。太く、力強く、粘りと剛性があり、クリアー。圧倒的な解像度と精気のある歌声は、精細にして、艶やか。リズムの進行感がとても快適で、なめらかにして、しなやかな剛性感が耳に心地好い。バランスの取れたチューニングで熱を帯びた、浸透力のあるピュアリティな声には目を見張るものがあり、その帯域バランスはどこまでもリニアリティでフラット。囁きのようなヒューマンな優しさで、心に深く染みる。開放感に富んだ声、演奏が沸き上がるように拡がる様子は、情緒的表現が自然で、違和感がない。力強さとなめらかな肌合いのよさを併せ持つ魅惑的なサウンド。

おフランスでワインの話かな?……分かるような…分からないような。

関係ないが、アイキャッチ画像は「家キネマ。」のメインスピーカー、JBL S3100のウーファーのアップ画像。今改めて見てもやはり15インチ(38cm)のウーファーユニットは迫力がありカッコイイ。

音を言葉で表現する難しさ

冒頭の文章はオーディオ系(特に高級な)機器などの紹介によく使われている音の表現ワードを文脈など考えず、つらつらと適当に並べたらこうなったという文。なんだかそれっぽくなった。よく分からないが凄く良さげに聞こえる様な気がする魔法のワード。音を表現するのに雑誌などでもみる詩人のような表現力には脱帽するが、これらは当然個人の感想であり、読む人の基準にゆだねた表現なので実は結果的に正確なことはほぼ何も伝ってこない。私もたまに似たようなことを書くことがあるので後で見直したとき「これでは伝わらない」と思うこともしばしば。音に関しての表現は確かに難しい。

音は目に見えないので「どういう音」かを相手に伝えるのが難しい。味もそう。「苦い・甘い・辛い」は誰でも分かるだろうが、その加減は個人差による。音も「うるさい・静か・耳障り」は表現として誰でもわかるが、その基準は?となると個人によって様々。味の「美味しい」を音でいうと「音が美しい」だろうか? では、「美しいの基準は?」となるとやはり個人差がある。

私もホームシアター用やオーディオ用に購入した機器を紹介するのに機能面は良いとして、音や映像を伝える表現が1番難しい。ウソでも冒頭のような表現ができればまだ格好も付くが、ウソは良くないし伝わらなければあまり意味がない。データで表せるものはなるべくデータで表したいし、個人的な感想ならその時に感じたまま表現するようにしたいが、まともな計測機器もないのにデータなど取りようもない。だから個人的な感想を文章にするだけで終わってしまう。しかも、全ては記憶できていないが経験上で過去に見た(聴いた)印象の中での比較で、解像度が高い/低い、クリアー/ノイジー、S/N比が高い/低い、濃密/希薄、美しい/汚いなどを表現するしかない。

音の正解?間違い?

冒頭のような個人の基準の違いでどうとでも取れる魔法のワードに「いいかも」と思って購入したら、自分の好む音とは違うことだってある。音に関して文字情報だけでは何も分からない。「それが良い音なのだ」と思い込むのもいいが、こればかりは自分の耳で聞くしかない。「それは間違い」と言われても「音」が鳴ればどんな音でも間違いではない。さすがに本来“ド”の音が勝手に“ファ”になってしまうスピーカーやアンプなら間違いだろうが、そんなスピーカーは商品として存在しない。映像だって「赤」が「青」になってしまうプロジェクターは間違いだが、「赤」が「赤」と表現できるなら間違いではない。制作者が捉えた「色」や「音」がそのまま映し出されたり、奏でるようになるのが「正解」なのかもしれないが、そういう意味での正解は意図する制作者しか知らない。その場に居合わせたスタッフでさえ何が正解かなんて知らない。恐らく後で聞いても「多分そんな感じだった」としか答えられないだろう。

色に関してはカラーマネジメントで、プロファイルを画像や映像に埋め込むことによりカラーの一貫性を持たせることができるようになった。ただし、そのプロファイルを正しく表示するにはカラーマネジメントに対応させ、さらにモニターやプロジェクターは「色校正」が必要になり、それらが実行されたものに限る。その基準を満たしたモニターやプロジェクターは映像にプロファイルさえ埋め込まれていれば“ほぼ”正しく色を表現できることになる。

しかし、音となるとそういったプロファイルや基準がなく個人によって好みが分かれる。その一番の要因が「音色」だ。「音」を構成する3つの要素である「大きさ」、「高低」、「音色」。その中で1番厄介なのが「音色」。音色とは主に「倍音」を表すことが多い。倍音は平たく言うと“音のクセ”みたいなもので、例えばバイオリンなど楽器が同じでも奏者によって音が変わったり、同じ奏者でもバイオリンが違うと音が変わったりする。その楽器や奏者による倍音の違いが音色となって表れる。

倍音(ばいおん)とは

全くの初心者に向けて倍音について少し説明しておこうと思う。普段気にしていないが1つの楽器から鳴らした音には、鳴らした1音のメインとなる周波数(基本音や基音という)の2倍や3倍や4倍、それ以上の高さ(またその逆の低さ)のオクターブ音(それ以外の音も含まれる)が同時に鳴っている。それらを「倍音」という。

奏者は心地良く倍音がなるように演奏し、楽器はその楽器固有の倍音が心地良く発生するように作られている。倍音はその楽器のアタック音(最初の出だし)に一番多く含まれ、言い換えればアタック時がその楽器固有の音が出やすい。音を伸ばすと他の楽器との違いが少なくなるが、それでも倍音は音の成分として含まれるので音の違いが出る(楽器によっては伸ばした音だけ聴くとほぼ同じに聞こえるモノもある)。

端的に言ってしまえば、楽器による倍音の含まれ方の違いがその楽器固有の音となり一番の違いとして表れ、奏者はその個性を最大限に引き出すために倍音をコントロールする(美しく鳴らそうとしているだけで、あえて「倍音をコントロールしている」という意識はないと思うが)。だから上手い奏者が演奏すると心地良い音が鳴り、全く同じ楽器でも素人が演奏すると心地良く音が鳴らない。

ちなみに、倍音を増幅させているのがエレキギターなどに使われる「ディストーション」など。「ギァァァーーーン…」って鳴るヤツ。増幅させ過ぎて音の波形が歪むので、アタック時(ピッキングの瞬間)には基音が何か分からなくなるほど倍音を増幅させている。

逆に倍音をとことん発生させにくくし、「基音」のみの音が鳴るようにしたのが「音叉(おんさ)」というU字型の金属製の器具。あのYAMAHAのロゴ(音叉3本がクロスするように重ねたマーク)にも使われているので何となく見覚えのある人もいるだろう。音叉も強く叩くと倍音を出したり、揺らいだりするが、すぐに収束して音叉の基音(ラの音)のみになる。音階は知らないがテレビの試験電波の「ピー」というような音。

中学時代に吹奏楽をしていたこともあり、この辺りまでは何となくでも知っていたが…倍音にも種類があり、科学的な背景もあるので、一度調べたことがあるが…チンプンカンプンで脳ミソ玉砕された。

スピーカーは音の好みが分かれやすい

スピーカーも同様に「倍音」成分が含まれるように様々な工夫が凝らされている。キャビネット(エンクロージャー)やユニット素材によってスピーカーの個性となる音色が違うのもそのひとつ。音に含まれる僅かな倍音でも正しく再生するスピーカーやオーディオ機器であるほど、音のソースに忠実ということになる。ただし、全ての音の倍音を正しく鳴らすのは不可能に近い。

ピアノがエレキギターやドラムの音色を鳴らせないのは当たり前で、ピアノはピアノでしかその独特の音色は表現できない。しかし、スピーカーにはそれを一手に引き受けさせて、全ての音を再現させようとする。しかも同時に。なかなか酷なことを強いる。マイクで音を拾う時点で音色(倍音)を構成する音の成分の一部(人間には聞こえないほどの音も含めて)は落ちてしまっているので、想像しただけでも真の忠実再生は不可能に近いほど困難だと分かる。どれだけ忠実再生を目指した高級なシステムを使っても生演奏と違って聞こえるのはそのためだ。

だから忠実よりもむしろスピーカーの作り手側が工夫を凝らし、心地良く聴けるようにチューニングしたスピーカーがそれぞれ存在する。スピーカーによって独自の音色と鳴り方(=音作り)になり、それが個人よって好みが分かれていくことになる。安いスピーカーはその辺りの設計思想が全く計算に入っていないが、高級スピーカーになってくるとそこに音色(倍音)の設計思想が加わり、それを実現するために素材の選定やユニットの開発が必要になる。

高級スピーカーが必ずしも良い音とは限らない

高級スピーカーと呼ばれるものにはメーカーや設計者が「正しい」もしくは「理想」と思う音色を追究するため金に糸目を付けず制作したものであり、収益のためにも価格が高くなる。しかし、それが聞き手の好みに合うかどうかは別問題。

音色に関係なく素材や仕上げだけを豪華にしているものもあるかもしれないが、それには理由もある。販売ターゲットが違うのだ。音が良い悪いより以前にインテリアとしても成立するかどうか。超豪華な部屋にいくら音が良いからと無骨なスピーカーを置いてもサマにならない。そういう暮らしの人には、それに見合ったデザイン性も重要になってくる。しかし、中には利益だけを追求し、低コストで制作して、さも良い音が鳴りそうなワードを並べてセールストークにしたスピーカーもあるかも知れない。やはり音に関しては最終的には自分の耳と感性だけが頼りになる。

いくら評論家と呼ばれるような方々が音を詩ように素敵な表現をしながら「この音は素晴らしい」と言っても自分にとっての好みとは限らない。しかし、評論家を「正」とするなら、それも個人の考え方だろう。少なくとも様々なメーカーからの引き合いもあり、一般の人よりは多くの音を経験し、知識として持ち合わせているはずなので正しく比較した意見を述べていればその評論家にとっての間違いではないだろう。但し、メーカー主導で広告としての意見を述べさせた場合を除いてだ。

その他、気をつけなければならないのが、その「素晴らしい」と絶賛するスピーカーを鳴らしたアンプは?プレーヤーは?リスニングルームは?と、その部屋や周辺機器も音に影響してくる。仮に同じものを購入しても部屋の造りや周辺機器とのバランスが違えば聞こえ方も変わることを頭に入れておきたい。

趣味に間違いなんてない

ホームシアターやオーディオに限らず趣味のものにアドバイスというテイで結果的に「かくあるべき」と絶対的な意見を他人に押しつける人がたまにいる。現に私の周りにもいた。私は不確定要素のあるものや、個人差があるものに対して「絶対的」に表現し、他人に押しつけるように言う人を信用していない。しかし、たいした根拠がなくてもそれを言い切れる「自信」は人を惹きつけるチカラを持っている。一種のカリスマ性というやつだ。

自分に自信がない人ほど「絶対的」なモノの言い方に魅了され、そのまま流されやすい。そう言う意見はあくまでも参考までに留め、まずは自分で思うようにやってみればいい。趣味に間違いなんて存在しない。

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