プロジェクター,アナモフィックレンズ,映画,ホームシアター

アナモフィックレンズを使ったシネスコ映画はこう見える

ちょっとしたことだが、見え方が大きく違うように感じるSLR Magic Anamorphot1.33x 50などのアナモフィックレンズを使ったプロジェクター投影によるシネスコ上映。映画でよく見る2.35:1等、横長のアスペクト比はテレビなどのアスペクト比である16:9で観ると上下に黒い帯が出ていわゆるレターボックス状になってしまう。テレビで見るとその黒帯により感覚的に画面が狭く見えてしまうのも気になる。

アイキャッチ画像のレンズ付近…レンズに反射した星々が映り込んでいるのだが、ホコリが蔓延している状態に見えるのがなんかイヤだな(まぁ、多少はホコリも混ざっているが…)。

アナモフィックレンズを使わない場合

元々、プロジェクターで投影した映像はテレビ画面のようにフレームが無い。2.35:1のシネスコでも普通に見ていて違和感がほとんどない。映画ソフトなどのメニュー画面から本編に入ると「上下に縮んで本編が始まるなぁ」と思うくらいだろうか。

しかし、実際にプロジェクターの映像チップ(LCOSやLCD、DLP)の多くはフル表示で16:9のアスペクト比が表示できるように造られている。最近のIMAX撮影された映画等を除き、多くの映画などのアスペクト比(2.35:1)では上下に黒帯が表示され、実際の映像はチップの75%しか使っていない事になる。実に25%(全体の1/4)は終始真っ黒の映像だ。せっかくの4K UHD(3,840×2,160 = 8,294,400画素)の映画でも結局映像が映っている部分は3,840×1,620[縦75%]=6,220,800画素になってしまっている。Blu-ray等のFull HD(1920×1080=2,073,600画素)なら、1920×810[縦75%]=1,555,200画素になってしまうのだ。おまけで、DVD(720×480=345,600画素)の場合なら720×360=259,200画素。

アナモフィックレンズを使う場合はVストレッチ機能が必要

これを映像チップで100%表示する方法が、映像をタテ方向に1.33倍伸張させるVストレッチ機能。高価なビデオプロセッサーやプロジェクターのハイエンド機、プレーヤーならOPPO UDP-203、205等に搭載されている。残念ながらUDP-203、205は現段階で4K UHD等で採用されている「ドルビービジョン」にはVストレッチ機能が働かない仕様になっている(HDR10には対応)。ドルビービジョン収録以外ならBlu-ray、DVD、HDMI INからの映像全てにVストレッチが機能する。

シネスコの黒帯部分を排除するかのようにVストレッチ(タテ方向に1.33倍)した映像にアナモフィックレンズを通して、光学的に今度は横方向に1.33倍して正しいアスペクト比に戻すというやり方。本来映画を撮影する際、2.35:1の画角を16:9のフィルムに横方向に縮めて収めるために造られたレンズだが、逆にプロジェクターではアナモフィックレンズを利用して横に引き延ばしてシネスコを実現するというもの。

2.35:1のノーマルとアナモフィックレンズ使った場合との比較

– ノーマル篇 –

実際の映像がこちら。画面のサイズ違いが分かり易いように部屋の明かりを少し点けて撮影している。そのため若干コントラストが落ちていることは目を瞑って欲しい。

アナモフィックレンズを使わず、16:9そのままの映像。メニュー画面などがその比率だ。


アナモフィックレンズを使わず、アスペクト比16:9での配給会社のロゴ表示。うん、普通。

テレビ等と同じ16:9なら元々映像チップを100%使用した映像なので特に問題なし。テレビ放送や映画ソフトのメニューなどは大体この状態のはず。

アナモフィックレンズを使用せずアスペクト比2.35:1の映像を映し出すと上下に黒帯が出現。テレビよりは画面が大きいけど…小っちゃ。

そのままアスペクト比2.35:1の映画本編が始まると上下に黒帯が表示されて、画面が小さく見える。これでは折角の迫力ある映像も今ひとつ。そこでプロジェクターのズームレンズを使って横サイズ一杯になるように拡大してみる。

そのままアナモフックレンズを使用せず、2.35:1をプロジェクターで拡大表示した映像。一時停止のマークが天井に…。

プロジェクターのズームレンズを使いここまで拡大表示をすると透過型液晶パネルを使ったプロジェクターの場合、視聴距離にもよるが近いと液晶グリルの格子模様が見えてしまう。

プロジェクターで拡大表示した映像のアップ。液晶の格子状のグリルが拡大した分大きく見えてしまう。

– Vストレッチ&アナモフィックレンズ篇 –

では改めて、プロジェクターでズームして拡大した映像を元に戻し…プレーヤーOPPO UDP-203のVストレッチ機能を使ってタテ方向に映像を伸ばす。

OPPO UDP-203でVストレッチを掛けた映像。この状態ではタテ方向に1.33倍ほど映像が伸びただけ。

Vストレッチをかけると映像が縦一杯に伸びる。プロジェクターの映像チップ100%表示状態。しかし横方向は既に一杯に表示されているので、ただ映像が1.33倍上下に伸びただけの状態。

そう言えばかつて、若い方は知らないかもしれないが、テレビで昔の映画の映像などで縦に伸びた映像がテレビに映っていたことを見た事があるだろうか。(ジャッキー・チェンの映画などのエンディングでも見たような…)あれは映画の2.35:1や2.4:1等のアスペクト比をテレビサイズ用(当時はさらに横に狭いアスペクト比4:3)に横方向に縮めて無理矢理押し込んだ状態。いわば、Vストレッチ機能とは「伸ばした」と「縮めた」の違いはあるもののそれと同じ状態になっている。

そのVストレッチをかけた状態でアナモフィックレンズを通すことにより横方向に光学的に1.33倍伸ばすことで元のアスペクト比2.35:1になる。これで2.35:1の映画でもプロジェクターの映像チップ100%を使った映像になる。映像も密度が高く美しい。

アナモフィックレンズを装着した映像。ピンクッション(レンズによる糸巻型収差)で若干弯曲するがそれがまた映画っぽい。

アナモフィックレンズでシネスコを観ると、解像度が違って見え、さらに液晶プロジェクターでは液晶グリルの見え方にも違いがでる

レンズを通さず、ノーマルをズームレンズ拡大した状態と、Vストレッチ機能&アナモフィックレンズを使用した映像では液晶グリルの見え方の違いがハッキリする。

先ほどと同じ、ノーマル状態をプロジェクターで拡大表示した映像のアップ。


Vストレッチをかけて、アナモフィックレンズを通した液晶のグリルの見え方。タテ方向の密度が上がり、液晶グリルが少し横長に伸びて(潰れて)いるのもわかる。

もう液晶グリルの見え方と言うよりも…、液晶のグリルのドットピッチをみれば解像度が違うのがハッキリわかる(色味の違いはiPhoneの適当撮影なのでご容赦願いたい。)。Blu-rayのFull HD(1920×1080=2,073,600画素)を正にフルに使ったシネスコ(2.35:1)映画上映になる。

アナモフィックレンズで16:9画面を観ると…

ちなみに16:9の画面(メニュー画面など)でこの機能を使うと上下が表示外に飛び出してしまうので16:9表示時に文字が下の方にある映像などは切れて読めなくなってしまう。プレーヤーOPPO UDP-203、205でディスク再生の場合は字幕はアスペクト比にかかわらず固定されるので特に問題にはならない。

16:9の映像にVストレッチをかけると画面からはみ出してしまう…。

ちなみに下の関連記事では16:9の映像を無理矢理シネスコ(2.35:1)で表示上映した「ウェストサイド物語」を記載している。

そこにお金をかけて“こだわる”かどうかは好きずき

映像全体の25%を占める黒帯をもったいないとも思わず、そこにこだわらない人にとってはそれだけのお金を掛けてすることでもないのかも知れないが、私はこのレンズを通した映像の方が何か感覚的に映画らしさを感じてしまう。しかも映像の密度が高まり、色もしっかりと乗り、黒帯表示された75%の映像を単純にズームで拡大して大きくした映像よりも映画の中の奥行き感や立体感をノーマルよりは感じることができる。さらに25%黒帯に取られていた分の明るさもアップする。付け加えて言えば、特にLCD(透過型液晶)タイプのプロジェクターは単純拡大すると透過型液晶特有の格子模様も一緒に拡大することになるので、実際の視聴位置からは見えないものの感覚的に気になる。しかし、これは言うまでもなく個人的な感覚で、他の人が見ても「ふ〜ん、何も変わらないけど?」と言われそうなくらい微妙なもの。プロジェクターを使ったホームシアターを趣味としている人全員に勧められるものではないとだけ申し添えておこう…っと。




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