BenQ HT3550 vs W1070+,ホームシアター,プロジェクター

BenQ HT3550とW1070+との比較 ─ Vol.1 ─

BenQさんより、『家キネマ。』で一度試して(HT3550と比較して)いただければと思うプロジェクターがあるという旨のご提案をいただき、お借りしていた機種がある。2014年10月中旬頃に発売された「BenQ W1070+(プラス)」だ。ホームシアターユースとしては当時10万円前後で手に入りハイコストパフォーマンスで人気が高かったDLP方式のFull HDプロジェクター。3D表示にも対応しており、手軽な面を持ち合わせながらも、アナモフィックレンズに対応できるVストレッチ機能など結構マニアックな機能も持ち合わせている。

というわけで今回はお借りしたW1070+とHT3550を比較検証してみる。同社のW1070+はFull HDながら設置性などの面では現在のHT3550にも「あったらいいのに」と思うような部分もあるので、その辺りも含めて比較していこう。

見た目とデザイン

まず、届いた箱から取り出した時のインパクトがサイズ感。…小っちゃ。HT3550を手にしたときも小さいと思ったが、W1070+はさらに二回りほど小さく見える。本体カラーは光沢のあるホワイトとフロントパネルがシルバー色で私のようなリビングシアター用途としては“機器然”としており、個人的にはリビングで普段見えるところに常設するには少し違和感を覚える。その辺りは現行のHT3550はインテリアにも馴染むようにカラーも含めてデザインされている。

見た目だけで言えばホームシアター用途のプロジェクターというよりもビジネス用途のデータプロジェクターのような佇まい。

W1070+は天面がツルっとした光沢のあるホワイトなのでリビングテーブルなどの前面に置くと投影した映像の光が本体に反射して目に入ってくる。HT3550も本体天面は同様に白だがザラザラとしたテクスチャが施されているので反射率が抑えられている。この辺りはやはりHT3550の方が後発なだけにリビングに置くことも、さらには視聴者の前面に置くことも考慮されたデザインになっている。

レンズ周りと光漏れ対策

W1070+のレンズ構成の資料がないので詳細が分からないが、レンズサイズはHT3550とほぼ同じ。HT3550ではレンズの下1/3ほどかかるようにブラックパネルが設けられている。これはテーブルなどにフロント置きした際、レンズからの光がテーブルに反射し迷光が発生するのを抑えるためにあるようだ。

W1070+のレンズ。レンズサイズはHT3550と同等。


HT3550のレンズ。この下まぶたのようなパネルが下方向への光漏れを防ぐ。


BenQ W1070+ではレンズ下にこのように光が漏れる。投影面近くのテーブル置きだとこの反射が迷光の原因になる。


BenQ HT3550はレンズ下にパネルを設け光が下方向に漏れない設計になっている。

同様にHT3550本体上部のスライドパネルは閉じることにより埃の侵入防止とピントリング付近からの光漏れを防ぐ役目もある。W1070+はピントリング付近からも光が漏れ、さらにシルバー色なので結構ピントリング付近が明るく光ってしまう。さらにはアイキャッチ画像を見ていただければ分かる通り、正面パネルについている排気ファン用のグリルからも盛大に光が漏れる。グリルのフィンは斜め方向に角度がついているもののシルバー色なので結局反射して明るく光る。

レンズ性能、ピント合わせ、ズームリング

W1070+のレンズがF値=2.59〜2.87で、HT3550のレンズがF値=1.9〜2.47。レンズの「F値」とは平たく言えば明るさを表す数値と思ってもらえればいい。数値が小さいほど明るい(光量が落ちない)レンズということになる。そういったことも含めてレンズ性能は後発のHT3550の方が上だろうと思っていたらレンズによる色収差に関しては意外な事にW1070+の方が抑えられていた。HT3350でもそれほど大きく発生しているわけではないので視聴距離からだと全く気にならない程度だが、W1070+では投影画面の端の方でもコマ収差や色収差が確認出来ない。隅々までパキッとした映像を映し出している。

レンズによる収差はSF映画などでよく見られる宇宙空間の星々を確認するとよくわかる。黒を背景に星が白く、小さく「点」で光るので、レンズの収差があると画面端の方の星々が規則的に色が滲んだり伸びたりする。多くは画面端の方で(レンズの中心からズレるほど)発生しやすい。

W1070+の投影画面の拡大。映像の端の星も収差によるボケがなく見えている。…四角いけど。


HT3550での投影画面の拡大撮影。向かって右側では右斜め上に向かって色収差ボケが発生している。同様に左側には左斜め上に、中央付近は上に向かってそれぞれ色収差が発生する。しかし、星の数は圧倒的に多く見え、しかも明るい。

W1070+は画面端の方でもきっちりと星が描写されているが解像度が低いせいで小さな星が四角い。昔の古いゲーム画面の星を見ている様だ。また本来その場所にあるはずのさらに小さい星は描写しきれず消滅。HT3550は視聴位置からは気付きにくいほどの色収差が発生しているが小さく暗めの星も描かれている。

ピント調整はW1070+の方がピントリングが少し堅く、微調整で少しだけ僅かに動かそうとすると緩いチカラでは動かなかった。動かすときは一度イッキに動かしてし、ピントが合う付近でチカラを緩めていく方法で何とか。しかし、これは貸し出し用として送っていただいたこの個体によるものかもしれない。HT3550は特にクセもなくスムーズにピントリングが回るので合わせやすい。

ズームに関してはHT3550とW1070+共に1.3倍まで可能。ただしW1070+ではピントを合わせた後に、ズームリングを回すと拡大率とピントの同期が取れず完全に映像がボケてしまう。ボケた映像から改めてピントを合わせ直すと結果的に画面サイズが変わって見える。そしてまたズームリングを回し…という繰り返しを余儀なくされる。その点、HT3550では大きく改善されている。HT3550はズームリングを回すと若干ピントがずれるものの、ある程度ピントは追従してくるので微調整だけで済む。シビアなサイズ調整でもそれほど苦労は強いられないはずだ。

設置性は横方向のキーストーン機能があるW1070+の方が上だが…

HT3550、W1070+共に投影距離約2.5メートルあれば100インチを実現できるが、W1070+は打ち込み角が約24度もあり、HT3550の約13度よりも上に向けて投影される。最初に並べて仮置き棚に設置した時、画面の高さが合わずに苦労した。工具(マイナスドライバー)を必要とするがレンズシフトを備えており、上下±5%ほどシフトすことが出来る。HT3550は工具不要でレンズシフト上下±10%まで可能。

W1070+本体上部のパネルを開くとレンズシフト用のダイヤル。回すにはマイナスドライバーが必要。


撮影がW1070+と上下逆さまになっているが、こちらはBenQ HT3550のレンズシフト用のダイヤル。スライド蓋で隠れそうな水平のダイヤルがそれ。当然工具は必要ない。


大きく違うのはW1070+にはヨコ方向のキーストーン(台形補正)がついていることだろう。この価格帯でヨコ方向のキーストーンがついているのは珍しい。HT3550は上下にしかキーストーン機能がないがW1070+はヨコ方向にも補正が効くので、当然設置性は向上する。ただし、せっかくDLPならではのシャープでパリッとした映像が劣化してしまうので、画質か設置性かのいずれかを優先することになる。W1070+の映像が切れの良い映像なので、劣化させてしまうのは少しもったいない気もする。また、台形補正の1ステップが結構大きいのでキーストーンだけでシビアに水平垂直を出そうとすると微調整がしにくい。本体位置の調整と合わせて行う必要がある。しかし、設置場所に制限がある家庭にとってはこのアドバンテージは大きい。

ヨコ方向のキーストーンができるW1070+はHT3550よりも設置性は高い。


キーストーンによりテストパターンのヨコ方向(補正あり)の線幅が、補正なしのタテ線の様に2ドットで済むところ、3ドット使用されて太くなっている。当然タテ方向も補正すると同様になる。これがキーストーンを使うと画像が劣化すると言われる要因。

美しい写真などの静止画ではなく、常に画面が動いている映画(動画)を鑑賞するだけなら意外とそれほど気にならないものなので、あまり神経質になる必要はないと思うが、「ドット・バイ・ドット」を気にする人はキーストーン厳禁だ。

静音性についての比較

このクラスのプロジェクターはテーブルなどに置いて手軽に映画などを大画面で観ることも想定しているので結構視聴者と本体の距離が近くなることが多い。なのでファンノイズなどは抑えられている方が当然良いはずだ。

お借りしたW1070+はファンノイズ音など動作音がよく抑えられている。一方、HT3550はファンの音と共に起動時に(映像が落ち着くと音は極小さくなる)あの内部から発生する独特の「ビーーー・・・」という音が少し耳につく。共に視聴位置から60センチ以内の場所での印象であり、映画を見始めて音声が出ると個人的には気にならなくなるが、人によってはこのノイズが気になる人もいるかもしれない。

HT3550とW1070+の我が家においての実測ノイズレベルは下記の通り。計測は視聴距離から2メートルの位置に両機とも同じ場所に横並びで置いた状態から、同じ映像を流してオープニングから10分間の動作音の平均値を測定。BenQ HT3550、W1070+の共に一番出力の高い(ランプが明るい)「通常モード」と、ランプが一番抑えられている「省電力モード」をそれぞれ測定してみた。

表にあるノイズレベルはあくまでも我が家においての数値であり、完全な無音室で機器の動作音だけを計測しているわけではないので、この数値は絶対的なものではなく各視聴環境によって数値が異なることを留意いただきたい。

騒音レベル(dBA) 省電力モード 通常モード
BenQ W1070+ 39.7 40.0
BenQ HT3550 41.0 42.2

やはり実際に数値で比べてみても分かる通りW1070+の方が騒音レベルは抑えられている。省エネモードと標準モードが誤差範囲内の騒音レベルでほとんど変化がない。HT3550の方が数値で見れば若干騒音レベルは高いが41〜42dBA程度(図書館レベル)なので映画の音を邪魔することはない。しかし、騒音に関して「うるさい」と感じる部分は音の周波数により個人差があるので一概に「静か」とは言いづらい。個人的にHT3550の動作音を起動時以外はうるさいと感じないので特に問題にはしていないが人によってはうるさいと感じるかもしれない。
 

次回は、HT3550とW1070+の映像比較。

〈BenQホームページ(日本サイト)〉 http://www.benq.co.jp/

 



BenQ DLP 4K(UHD) ホームシネマプロジェクター HT3550

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