Wi-Fiルーター[TP-Link Archer AX73]でネット通信をIPv6接続に変えたら…(学習篇)

自宅のネット環境によってAmazonプライムビデオやNetflix、Youtubeなど動画配信サービスを使った映像は出だしのスピードが全然違ってくる。映画を視聴する際は、Blu-rayなど物理メディアをプレーヤーにセットして読み込ませ、しばらくしてからメニュー画面が出て、そこから“本編再生”などを選択すると映画が始まるのが通常。

今やそれがインターネットを通じて動画配信される映画は、選んで再生するといきなり本編がスタートする。正に観たい映画が即時観られるという、時代と共になんともストレスフリーな環境へと変わっていった。そこで、問題になってくるのが自宅のネット環境。

今回は、そんな今となっては無視して通れない、インターネットの通信速度に関するお話。苦手な人にとってはチョット面倒臭いお話。

マンションのネット回線「VDSL」方式が遅い

今は多くが光回線であり、2024年に廃止予定の通信速度に力不足を感じるADSL回線は、現在はあまり使われていないと思うが(取り付けた当初から放ったらかしの人くらいだろうか)、光回線でも遅いという人は多い。私もその一人だ。我が家はマンションなので購入当時は“VDSL”という方式だった。

VDSL方式と呼ばれる回線はマンション建物までが光回線で繋がっているが、そこから各住戸にはメタル回線(電話線)で繋がっているので最大でもベストエフォートで100Mbpsが限界。“ベストエフォート”については後ほど。

そのVDSL回線当時は、他の人があまり利用していないであろう時間帯(深夜や早朝)は下り(ダウンロード)速度で有線接続でも最大50〜60Mbps程度だったと思う。4K UHD画質の映画を視聴するには問題ないレベルの通信速度は出ていた。しかし、皆が帰宅してきて各住戸がネットを使い出すと6Mbps〜10Mbpsとか、良くても25Mbps程度まで速度が下がっていたのを記憶している。25Mbpsという通信速度は配信動画サービスで4K UHD映画を快適に視聴するにはギリギリの速度。それこそADSL回線と大して変わらない。

これは自宅に設置するルーター(Wi-Fiルーター含む)をどれだけ高速な物に買い替えても同じ。通信の根本的な部分でスピードが出ていないのでルーターの問題ではない。

ベストエフォートとは

“ベストエフォート”を超簡単に言えば、「提供者側は1Gbpsを出すために最善(ベスト)の努力(エフォート)をしています」ってこと。言い換えれば、光回線事業者など提供者側は「最大1Gbps!(ベストエフォート型)」と、さもそのスピードが出そうな勢いで言っているが実測値でその速度が出なくても何ら保証もなく責任も取らないということ。「何だそれ」な免責ワードなのだが、提供側はもちろんその速度が出るように莫大な設備投資をしている。通信回線を利用者同士でシェアすることにより私たちは本来高額な高速通信を安く利用できているとも言える。

光回線で速くなったが時間帯によっては遅くなる

しかし、ネット回線を「ドコモ光」に変えたら住戸内まで光回線がダイレクトに繋がったのでその速度は一変。VDSL方式よりは格段にネット通信速度は速くなった。100Mbpsなど一気に超えて、有線接続では下り250Mbps近く、上りは550Mbps程度まで速度アップし、これまでと比較すれば相当速い。ただし、これも時間帯や周辺住戸の利用率によって速度はまちまちで40Mbpsほどに速度が落ちる事もしばしばあった。

Wi-Fi接続で比較的トラフィックが空いている時はスピード(これ最速くらい)は出るが…


同日、別の時間帯で計測すると、先ほどより半分以下のスピードに落ちている。さらに遅い時もある。このように時間帯や日によって激しく速度は変動する。これがベストエフォート型の特徴だから仕方ない。

この速度低下で違いが明らかになるのは、再生ボタンを押してから映像が映し出されるまでの時間。現状、自宅のWi-Fiで最速に近い通信速度が出ているときは即映像が出てくるが、通信速度が遅いと画面中央にクルクルと回るローディングマークが出て、映像が直ぐには出てこない。今までの物理メディアに比べれば視聴するまでの手間と時間はとても短いのだが、どうもこの“ただの待ち時間”というのはストレスを感じる。

マンションなので光回線といえども、建物に引き込んだ光回線を更に各住戸に分岐させているだけに戸建て用の回線より遅いのは仕方ない。しかし、ベストエフォートといえど理論値で1G(ギガ)bpsの通信速度が出る光回線で、さすがに40M(メガ)bpsは遅過ぎだろう。これでは宅内の他のWi-Fi等で同時通信すると更に遅くなる可能性もある。せめて、Wi-Fiは常時100Mbps以上は速度が出て欲しいところ。

普段、Fire TVで視聴する分には通信安定の目的で有線接続を利用している。Fire TVの有線接続は本体の仕様上100Mbpsが限界値だが、それでも常時90Mbps以上は通信速度が出ているので視聴には全く問題無い。Wi-Fi接続(5GHz帯)にすると有線接続より速度は出るがやはり時々引っかかりがあったり、タイミングによっては読み込みに時間が掛かったりと不安定になる。この辺りはFire TV StickでもFire TV cubeでも変わらなかった。

光回線なのにネットが遅くなる原因は何だ?

光回線なのにネットがたまに遅くなる原因を探るため少しだけ勉強してみたら、どうやら同じ光回線でも通信接続方法には2種類の接続方法があるようだ。1つは、必ずNTTの“網終端装置”を通ってインターネットに繋がる「IPv4(アイ・ピー・ブイ・フォー[よん])」(PPPoE)接続と、もう1つは“網終端装置”を通らずにインターネットに直接繋ぐことができる「IPv6(アイ・ピー・ブイ・シックス[ろく])」(IPoE)接続と呼ばれる2種類。

正確にはIPv4とIPv6は吐き出せるIPアドレスの多さの違いで通信速度の違いではなようだ。実際の通信速度の違いはPPPoEとIPoEでの通信ルートの違いらしいのだが、もうなんだか良く解らない。なので早い話、IPv6でIPoE接続でれば問題無いとだけ考えることにした。

ということで、いくら光回線で通信速度が速くなったとは言え、このIPv4のPPPoE接続では全ての光回線が“網終端装置”を通るせいで、ここがボトルネックになり、光回線が混み合うと“網終端装置”が処理しきれずインターネットに繋がるのが遅くなるようだ。上り(アップロード)も下り(ダウンロード)も同様の事が起こる。

これらのことは、日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)の説明図が分かり易かったので今回そちらを引用させていただいた。さらに詳しい仕組みについてはJPNEのホームページのリンクを貼っておくので、そちらを参照していただきたい。

JPNEホームページ / https://www.jpne.co.jp/

日本ネットワークイネイブラー株式会社より / Copyright (C) Japan Network Enabler Corporation. All Rights reserved.

変な例えだが、ジョッキ(光回線)に入った水(通信データ)を飲むのに細いストロー(網終端装置)を使うからクチ(インターネット)に入ってくる水は少なくなる。吸引力(プロバイダー側の処理能力)を増してもストローで飲む(網終端装置を使う)以上はたかだか知れている。といった感じ。

「じゃぁ、単純にストローを増やせば大量に飲めるようになる」と思うだろうが、正にその通り。でもそのストロー(網終端装置)を用意するのはNTT側。今となっては固定料金が当たり前の時代にNTTが身銭を切ってストローを増やすことはしない。

これを何とかしようと“網終端装置”を通さず直接インターネットに繋がる「IPv6」の「IPoE接続」と呼ばれる通信方法がでてきた。先ほどの例えで言えばストローを使わずジョッキに直接クチをつけて飲むイメージなる。

これで純粋に光回線の混み具合と、閲覧したいWEBサイトのサーバーの処理能力に左右されるだけで、“網終端装置”による通信速度低下を防ぐことができるようになる。そこにはもうプロバイダーすら直接介入していない。お客様にプランを提供するだけ。IPv4接続の場合のみ接続認証のために回線に関わることになるようだ。なのでIPv6に関して理屈的にはプロバイダーによる速度差もなくなる。

以降、面倒なので「PPPoE」と「IPoE」は省略し、単純に「IPv4」と「IPv6」とだけ表記する(IPv6のPPPoEもあるらしいが、ここでは割愛)。

IPv6という新たな接続方法に対応しているかどうか

IPv6接続に対応するかどうかは加入しているプロバイダーと、使用しているルーターによる。私が加入している「GMOとくとくBB」というプロバイダーでは「V6プラス」という「IPv4 over IPv6」接続を使った通信ができ、接続のための別料金も発生しない。自宅内にある通信用のルーターの設定を「IPv6接続」に変更するだけのようだ。

IPv6接続の設定をすると、通常は対応ルーターがIPv6接続にするか、IPv4接続にするか自動判断で通信するらしいが、IPv4接続になるとやはり“網終端装置”を通るので速度は落ちる。しかし、「IPv4 over IPv6」という接続に対応するプロバイダーならIPv4接続でもIPv6と同様に“網終端装置”を通さずにプロバイダーとの通信ができるらしいのでIPv4接続でも速くなるとのこと。使用するルーターも「IPv4 over IPv6」に対応している必要がある。

「だったら通信速度の速いとされる、IPv6接続だけでいいのではないか?」と思うが、どうやら接続先のWEBサイトも関係するようで、Amazonやツイッターなど多くのサイトではまだIPv4接続でしか閲覧できないらしい。なのでIPv4接続も当面は必要になるのだそうだ。NetflixやGoogle、フェスブックなどはIPv6接続に対応している。

さて、ドコモ光回線とプロバイダー「GMOとくとくBB」なら“IPv4 over IPv6”で接続できることは分かったので、我が家のWi-FiルーターをIPv6接続にするべく設定画面を開く。現時点で利用しているルーターは「BUFFALO WSR-2533DHP」。…案の定、少し古いルーターなので「IPv6」という文字すら見当たらない。うん。予想はしてたよ。

IPv6接続できるWi-Fiルーターを導入する

そこでIPv6接続に対応するべく新たなルーターを導入。それがTP-Linkの「Archer AX73」というWi-Fiルーター。次回既存のルーターをこれに交換して、どれほど通信速度が変わるのか検証してみる。…それにしても、このルーター…アンテナが6本もあり、「ハトよけ」等に見るトゲトゲのシートの様な、なかなかイカツイ見た目をしている。これで遅かったら笑う。



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