スパイダーマン:スパイダーバース,映画,プロジェクター,ホームシアター

スパイダーマン:スパイダーバース(原題:Spider-Man:Into the Spider-Verse)

2018年に公開のボブ・ペルシケッティ(Robert Persichetti, Jr.)、ピーター・ラムジー(Peter A. Ramsey)、ロドニー・ロスマン(Rodney Rothman)の3監督によるフルCGアニメーションのスパイダーマン映画。

これまでの実写版映画とは異なり全編CGアニメーション。アニメーションならではの動きも期待できると思い、劇場では観なかったが後に予告編を観てメディア購入を決めていた。このスパイダーマン、これまでのスパイダーマンとなっていた馴染みあるピーター・パーカーが主役ではなく、「マイルス・モラレス」という少年が主役のスパイダーマンになっている。「誰だ?」と思ったら2011年にブライアン・マイケル・ベンディスとサラ・ピチェリによって創作された新たなキャラクターだった。マーベルコミックが発行する月刊コミックシリーズ「Ultimate Comics:Fallout#4」で登場してるらしい。この本作アニメ版スパイダーマンには複数のスパイダーマンが登場する。スパイダーマンだらけ。

Blu-ray仕様:本編117分 アスペクト比:2.35:1
英語:5.1ch DTS-HD Master Audio 日本語:5.1ch ドルビーデジタル
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私が今回入手したのは下で紹介する4K UHD版の初回限定プレミアム・エディション。4K UHDのみ音声がドルビーアトモス仕様になっていて2Dと3D版Blu-rayが同梱され3枚組となっている。Blu-rayでもアトモス収録できるだろう…と思ってしまうが、容量的に本当に無理なのか、はたまた4K UHD版の付加価値を出すためなのか2D版Blu-rayは5.1ch DTS-HD Master Audio仕様になっている。4K UHD版プレミアム・エディションには3D版Blu-rayも同梱されているがこちらも5.1ch DTS-HD Master Audio。3D+2D版Blu-rayも販売されているので購入者にっとって選択肢があるのは嬉しい。

普段はあまり買わないプレミアム・エディション。アウターケースがカッコいい


色々ついて豪華、左上からアウターケース、ディスクレーベル、特典収納ケース、ディスク収納ケース、ブックレット(52P)、クリアカード、日本限定イラストカード。

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(※初回限定品のためリンク切れの場合があります)

「スパイダーマン:スパイダーバース」あらすじ

「スパイダーマン、死す」
スパイダーマンことピーター・パーカーの突然の訃報により、ニューヨーク市民は悲しみに包まれる。 13歳のマイルス・モラレスもその一人 ――そう、彼こそがピーターの後を継ぐ”新生スパイダーマン”だ。 ピーターの死は、闇社会に君臨するキングピンが時空を歪めたことでもたらされた。 しかし若きマイルスには彼の更なる野望を阻止するパワーはない。

「彼に替わって”守る”」
と誓ったものの、不安だらけのマイルス。 そんな彼の前に突如現れたのは ――死んだはずのピーターだった!ただ、彼の様子が少しおかしい。無精ひげ、少し出た下腹、そしてなんとも適当な性格。このやつれた中年ピーターは、キングピンが歪めた時空に吸い込まれ、全く別の次元=ユニバースからマイルスの住む世界に来たのだ。 マイルスは真のスパイダーマンになるため、ピーターを師とし、共に戦う決意をする。

「俺達しかいない ――世界を救えるのは」
二人のもとに、別のユニバースから導かれてきたスパイダーマン達が集結する。 スパイダー・グウェン、スパイダーマン・ノワール、スパイダー・ハム、そしてペニー・パーカーと彼女が操るパワードスーツSP//dr。 キングピンの計画を阻止し、すべてのユニバースを元に戻す戦いに、スパイダーマンたちが挑む――。

© 2018 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

出演(声)はシャメイク・ムーア(Shameik Moore)、ジェイク・ジョンソン(Jake Johnson)、ヘイリー・スタインフェルド(Hailee Steinfeld)、ニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)、キミコ・グレン(Kimiko Elizabeth Glenn)、ジョン・ムレイニー(ジョン・ムレイニー)、クリス・パイン(Chris Pine)など。

声が有名俳優、有名女優のオンパレード。ただ、日本と違い海外に「声優」という職業がないのでほとんど俳優や歌手などの芸能人。声優専門としての職業は日本の文化なのかもしれない。声優専門という職業は海外からみるとどういう風に見えるのだろう。日本のアニメは海外でも人気が高いから日本の声優が海外で「声優やってます」というと「ワォ!」だろうか、「オォゥ…」だろうか。私は日本人なので海外の英語が分からないが、「声優」としてのアテレコがやっぱり下手な芸能人がやると英語で何言ってるか分からなくてもやはり違和感を覚える。

私は基本的に吹き替えでは視聴しないのだが、アニメなので違和感はないだろう。そういえばこのCGアニメ版のスパイダーマン映画、公開前にテレビなどで紹介された記憶がない。芸能人が声をあてると必ず自分が声を当てたと映画の宣伝で各バラエティ番組や情報番組に出演しているはずだ、ということはテレビにでている芸能人や芸人は使われていないのだろうとパッケージを確認したら、やはり知らない名前ばかりだったので(失礼)、ちゃんと声優が本職の人達なのだろう。これは安心できる。

ちなみに、あらすじ文にあるペニー・パーカーが操るパワードスーツ「SP//dr」…公式サイトでまさかの文字化けかと思ったら文字化けではなかった。これで「スパイダー」と読むらしい。

合計6人のスパイダーマンが登場する。キャラクターとしてそれぞれの特徴はあるが、それほど映画では生きていないのが残念ポイント。

「スパイダーマン:スパイダーバース」はお腹いっぱいになる映画ソフト

アトラクション的に盛りだくさんの要素がある映画。アメリカのアニメならではなのか、カラフルでビビッドな色使いに輝度も高め。独特の世界観でスパイダーマンが目まぐるしく動き周り、動きも速く、ストーリー展開もテンポ良く、おまけにスパイダーマンが複数人出てくる。それを私は3D版で立体視しながら「字幕」まで追うものだから、もう脳が追いつかなくなってくる。それを2時間…。楽しい映画なのだが見終わった後はお腹いっぱいになりドっと疲れた。

冒頭の紹介ではこれまでの実写版のスパイダーマン・シリーズ(ソニーピクチャー時代の初代3部作)をなぞるようにこれまでの出来事を自ら紹介していく。評判の悪かった第3作目は自身でも皮肉っている。

元々コミックスから「スパイダーマン」が好きな人にとっては実写で自分が想像もしていなかった俳優が演じるよりも、マンガからCGアニメになった方が実写版より“現実味”は減るが、親和性があり違和感なく観ることができるだろう。その辺も含めて今のところ本作は「スパイダーマン」の決定番といっても良いかもしれない。

「スパイダーマン:スパイダーバース」の独特なビジュアルの世界観

まずは映像そのものの世界観が独特。私はけっしてアニメが嫌いなわけではないが、あまり積極的には観ていないのでアニメの手法として新しいのか使い古されたモノなのか分からないが、主役にピントが来ているときなどの背景のボケにあたるフォーカスずれや映像のブレを「色ずれ」(印刷業界で言う「版ずれ」ってやつ)で表現されている。デザインポスターとかCMのコピー等に、グランジ処理などと同様よく使われている手法なのだが、これがこのアニメの独特な世界観を作っている感じだ。背景にもピントは合っているのに色ずれが起こっている状態。陰影には通常の陰影に加えて漫画でも使用されているような斜めラインのスクリーントーンも施されている。アニメなのだがたまに効果音が漫画のように文字で表現されることもある。

主人公のマイルス。背景の本棚など色ずれをさせて背景をボカしている。

慣れてしまえば全く違和感なく観ることができるが、脳が慣れるまでちょっと不思議な感覚だ。一見“サイケデリック”な世界に見えなくもないが、それとはまた違うなんとも不思議な感覚。観疲れしそうな映像なので、冒頭から慣れるまで「目が2時間保つかな…」と思ったが、結構直ぐに見慣れた。見慣れてしまえばこっちのモノ、存分にそのビジュアルを楽しむだけだ。しかも、1カット毎がひとつのグラフィックデザイン画の様に最先端で洒落た映像に見える。素晴らしいビジュアル。

CGアニメーションならではの3D効果は抜群

やはりCGと3Dは相性がいいので全編フルCGの「スパイダーマン:スパイダース」は実写よりもより立体感が生まれる。フルCG制作なので視差効果をコントロールしやすいのもその要因のひとつだろう。だからアバターやトランスフォーマー等、CGがふんだんに使われた映画や、全編フルCG制作映画は3D版が面白いのだ。逆に生身の人間がメインになっている映画は3Dだと相性が少し悪くなる。最近は3Dカメラを撮影に使用せず、ノーマルの2Dカメラで撮影後ポストプロダクション(撮影後の編集)で3D効果を付けている。

立体感、奥行き感申し分なし。3Dが生きるアニメーション映画だ。

ポストプロダクションによる3D映像は登場する俳優達が通常の2Dカメラで撮影されているのだが、一人ひとり本人に合わせた細かい高低差の立体処理はされていない。だからVFX効果などCG処理されていても2D撮影された人物に合わせるように作られるので、例えばマーベル映画の「アベンジャーズ」などではオブジェクト単位は立体視(奥行き)ができても、造形そのものの立体視が微妙に(俳優の顔や身体などが2Dで観ているのと差があまり無く)なってくる。そのためよく“カキワリ”に見えてしまうのだが最近はポストプロダクションやモデリングの技術もあがり、それほど違和感なく観られるようになった。かといってオブジェクト単位での違和感はなくなったものの俳優も立体に見えるかというといまだに微妙。以前に3Dカメラを使用して撮影していた頃の方がよほど俳優も立体視できていた。その点、本作のスパイダーマンはキャラクター含め全編フルCG制作なので全く違和感なく全てを立体視できるので3D効果は抜群によく安心して観ることが出来る。ただし、私は大丈夫だったが、この独特の色ずれボカシ処理などのビジュアルが3D視聴する際に最初若干頭が混乱する人もいるかもしれない。

大胆なドルビーアトモスの使い方!「スパイダーマン:スパイダーバース」のアトモス再生

これが本作で1番驚いた。SEや声が動く動く。ドルビーアトモス収録の映画ソフトを数枚(気づけば)所有しているが、ここまでドルビーアトモスをフル活用する音声収録はなかったと記憶している。「スパイダーマン:スパイダース」のドルビーアトモスはメインの音声が、状況によってサラウンドスピーカー、サラウンドバックやトップスピーカーからも聞こえる。「それのどこが大胆?」かと思うかも知れないが、基本的に映画のセリフはセンタースピーカー(ファントム再生ならフロントスピーカーの中央付近)から聞こえるのが通常だ。メインでセリフをしゃべっている人物が少々画面外になろうがセンターチャンネルが使われ、画面中心から聞こえるのがほとんど。本来そのほうが画面を真正面から観ている視聴者からすれば違和感がない。しかし、本作に関しては基本的に他と同じくセンターチャンネルだが、シーンによってはメインのセリフまでもがオブジェクト扱いのように声が左右や奥に移動していく。だからシーンやカットの画面状況に応じて声がサラウンドやトップスピーカーまでも使われ、キャラクターと共に移動するのだ。これは今までにない大胆かつ斬新な手法だと感じた。

校内のザワつきから戦闘シーンの音まで、あらゆる方向から音声とSEが飛び交う「スパイダーマン:スパイダーバース」のドルビーアトモス音声。


4K UHD版の方が2D、3D Blu-rayよりもあきらかに音圧が高い。さらに聴き比べると4K UHDの方が音の明瞭感もあるが、聴き比べてわかる程度。いずれもサラウンド感はいい。

普段聞き慣れているセンタースピーカーからだけのセリフではないので、別の言い方をすれば映画において“据わりが悪い”音像定位で落ち着かないとも言える。ただ、これが慣れるとまるで視聴者が主人公になったように周りの声が聞こえるような感覚になり、それが視聴者に没入感を覚えさせる、まさにイマーシブサウンドとも言える。なお、本作は4K UHD版のみドルビーアトモス音声になっている。残念ながら3D版は2D版同様5.1ch DTS-HD Master Audioでドルビーアトモスには未対応だが、声の移動感はドルビーアトモスに限らずサラウンドシステムを組んでいる視聴環境なら十分楽しめるだろう。

おまけ:マイルスの顔面に落ちてくる雑誌は、マーベルコミックのスパイダーマンが初登場する「アメージング・ファンタジー」っぽいのだが…「TRUE LIFE TALES OF SPIDER-MAN」になっている。


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4K UHD版はこちら。音声収録はドルビーアトモス仕様。4K UHD版だが初回限定プレミアム・エディションではないので3D版は同梱されていない。3D版も入手目的の場合はご注意。4K UDHは必要無く、3D版を入手したい場合は下の3D版Blu-rayが販売されている。

ドルビーアトモス音声はアトモス音声のプレゼンやデモンストレーションかと思うほど活躍している。私が所有している映画ソフトのドルビーアトモス仕様としてはこれまでにないくらい、音声があちこちに飛び回る。多くの映画は、本来メインとなるセリフは多少映像位置とズレていても、そのほとんどがセンタースピーカーから出力されている。しかし、この「スパイダーマン:スパイダーバース」に関しては大胆にもサラウンドスピーカーやトップスピーカーまでも使われ、セリフが移動しつつ正に全方位から聞こえてくるのには驚く。あくまでも主人公の位置に視聴者がいて、その周りの人物からの声は主人公と同じ立ち位置で各方向から聞こえてくるイメージだ。一種のアトラクションのようでかなり楽しい。これが3D版でも実現できていたら、もっと楽しかったに違いない。


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3D版Blu-rayはこちら。全編CGアニメなので3D効果は抜群に良い出来だが、アニメならではの少しこれまでにない独特な表現の手法でもあるので慣れるまで脳がパニックになるかも知れないうえに、そのせいで酔う人もいるかもしれない。ただ、実写のフォーカスでは得られない立体感が味わえるのは全編CGアニメならでは。実写版のスパイダーマンシリーズは歴代いずれも3Dに関して個人的にいまいち感があったので、やっとスッキリと3Dのスパイダーマンが楽しめた。スパイダーマンのアクション自体が派手で、かつ、動きも速く、アクションも大きいので実写ではどうしても2D、3Dに関わらず映像がブレてしまう。そのおかげで立体感や奥行き感が失われてしまい、2Dで観ている時と差が無くなってしまう。本作はその辺りが解消されてアクションはアニメーションらしく大げさでもキチンとピントが来ているので立体感を失うことがない。スパイーダーマンが好きで3D好きにはオススメできる。

「スパイダーマン:スパイダーバース」はAmazonビデオで有料レンタル版のみ。U-NEXTは550ポイント(2019年10月6日時点)で視聴可能。NETFLIXは登録なし。

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コメント

    • うめ吉
    • 2019年 10月 15日 10:17pm

    コメントに対する返信まで、お役立ち情報をありがとうございます。
    新素材、楽しみです。

    あとドルビーシネマは、場内がほんと真っ暗で途中でトイレに行くのは厳しいだろうなあと思いました。
    明るいシーンになって迷光が出ないと足下、階段が見えないと思うんですが。
    今度ドルビーシネマに行ったときに「上映中にトイレに行く」に挑戦してみます(笑)

    サブウーファーはエントリーレベルのもらい物から、ホームシアターの迫力を出すと評判の
    yamaha NS-SW300を購入しました。
    私もIMAXファンなので、場面によっては振動するぐらい迫力が出る物、ということでこれを選びました。
    音の遅れもなく、音の厚みが生まれ、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになったのは
    予想通りだったのですが、サラウンドやアトモスの音の移動感がわかりやすくなったような気が。
    これってプラセボなのでしょうか?

      • ウチキネマー@管理人
      • 2019年 10月 16日 10:49pm

      うめ吉さん。こんばんは。

      え〜っと…うめ吉さんの「フリ」にまんまと乗ってしまい、超長文になったのでお暇なときにどうぞ。

      サブウーファーで音の移動感が分かり易くなったのは、多分プラセボ(ラテン系で言えばプラケーボ、英語で発音するとプラシーボ。…どうでもいいですね)ではありません。そもそもサブウーファーを設置して、クロスオーバー設定が正しければ中音域から高音域にかけてサラウンドスピーカーの負担が確実に減るので中音域から高音域の音がクリアになり、低音域を担わない分若干音圧が上がるのはご承知だと思います。では、なぜ移動感がわりやすくなったのか…これもご承知のことと思いますが、中音域から高音域になればなるほど音の指向性が高まり、音の出所が明確になってきます。…ということは…もうお分かりですよね。今までのサブウーファーでもしっかりとクロスオーバーが合っていれば多分移動感は分かりやすくなっていたと思いますが、ご購入なさったNS-SW300は低域もクリアな音質なので尚更なのかも知れません。

      理屈的にはそういうことなのですが、実際にはどんなサブウーファーを使おうと低音との音圧バランスやクロスオーバーのキチンとした設定が重要です。結構クロスオーバーを適当にしていたり、A/Vアンプが自動測定したクロスオーバーをそのまま使っていたり、迫力が増すかもとフロントスピーカーの設定を何も考えずにアンプのスピーカー設定で「大(=低音域も担う)」に設定してたりする方もいらっしゃいます。勿論、人それぞれの好みなのでそれでも全然構わないのですが、フロントスピーカーをはじめサラウンドスピーカーの特性を測定した結果を踏まえて正しくクロスオーバーを設定すると見違える(聴き違える)ほどに映画の音は良くなります。クロスオーバー設定を各スピーカー毎に設定ができないA/Vアンプの場合、最低の周波数に合わせると音域に谷(ある特定の周波数音だけが聞こえにくくなる、または音圧がさがったように聞こえる)ができるので周波数が一番高い(低域が出ないスピーカーの)数値に合わせることになると思います。“超適当”な目安としてはカタログスペックで120Hzまで出せるサラウンドスピーカーなら150〜160Hz辺りに合わせるなど、あくまでもフラットで出力できる周波数内で合わせるようにプラス20〜30Hzでクロスオーバーを設定することをおすすめします。カタログや仕様書で120Hzまで出せるからとそのまま120Hzで合わせてしまうとそれも大抵は音域に谷ができます。だからといってあまり高い周波数に合わせてしまうと今度はサブウーファーの存在感が増してしまい、低域音の指向性が高くなり音の移動感や音像定位がボケてしまいます。なのでサラウンドスピーカーもある程度低音(100Hz付近)まではフラットに出力できるスピーカーが望ましいのですが、ちょっとデカくなってしまうのでサラウンドスピーカーは設置も考えて150Hzまでは自力(バスレフ利用せず)でフラットに出力できるものを妥協点と私はしています。

      ご利用のサブウーファー「NS-SW300」は特に濁りの少ないクリアな低音を出すと評判のサブウーファーですよね。いいですね。しかもバスレフで20Hzまで出力できるようですのでほぼ聞こえないほどですが、身体で感じることのできる迫力の重低音が楽しめると思います。20Hzほどになってくると自身の耳で聞こえなくても大きく出力された重低音はマンションでしたらコンクリートを貫通して2軒隣くらいまで届いて最悪の場合は共振します。聞こえないと思ってもボリュームをあまり上げないように深夜などは十分ご注意くださいね。私も休日など明るい内から映画を観ているときはつい夜になっている事に気づかずそのままの音量で鑑賞していて「いかんいかん」と慌ててボリューム下げることもしばしば。2軒隣の家の人形が深夜、音も聞こえないのに震えだしたら、住んでる人からすればそれはそれは正にホラー体験です。

      私が使っているサブウーファー「DALI SUB-E12F」はバスレフ仕様で低域がスペック上28Hzまでです。しかし、ユニットが直径30cmあり、ロングストロークユニットなので聞こえる範囲の周波数帯域で小音量であっても空気の押し出しが強く、大音量になるとロングストロークらしい目に見えてユニットが前後に大きく動くので「ワシ、働いてるで!」と必死にアピールしているのが分かります。重低音が鳴るとお腹にも当然ズンときますが産毛がビリビリと震え、あのIMAXの感覚になるので気に入ってます。

      設置の際のサブウーファーの向きですが部屋に対して正面(水平・垂直)より斜めの方が聞こえるという事があります。これはサブウーファーを正面に設置すると、対面の壁に音が反射して特定の周波数を打ち消してしまうからなのですが、これはそれほど気にしなくても良いと個人的には思っています。フラットな部屋ならまだしも部屋には様々なモノがあるので、実際には音がきれいに反射することは殆どありません。それでも1台のサブウーファーを小出力で効果を出すなら真正面よりもずらして設置してみることも検討してみて下さい。音は水面の波と同じなので低音域は波(波長)が大きいですから必ず僅かに大きく聞こえる場所(結構ピンポイントですが)と小さく聞こえるところが存在します。私はサブウーファー設置の際にはよく四つん這いになってリビングの床を這いずり回り一番音が大きく聞こえる位置を探ってから設置しています。傍から見ると「???」みたいですが。

      あとは床鳴り対策とか、敢えての壁際セッティングとか色々ありますが、そんなことは後回しで新しいサブウーファーで何も考えずに映画を楽しむのが一番ですよね。

      あと、ドルビーシネマの上映中にトイレに行くのは「え〜、もったいない!」と思ってしまう私は貧乏性です。

        • うめ吉
        • 2019年 10月 18日 1:05pm

        ウチキネマーさま
         
        いやもう詳しい解説に感謝感激です。お忙しいのに本当にありがとうございました。

        実は前回のコメント記入するときに省いていたことがありまして・・・。
        音の移動感が良くなったと感じたのは、サブウーファーの音出しの時ではなかったのです。
        (もちろん、その時点で音の厚み、迫力は倍増していたのですが)

        その後、海外のサイトまで読みましたら、スピーカーはフロントからサラウンド、トップまですべて
        「小」設定に切り替えろ、そしてクロスオーバーをスピーカーごとに設定すべき、とあり、
        ウチキネマー様のDALI SUB-E12F導入の記事なども読んで勉強させて頂き、ハイカットフィルターなる物もあったのでそちらも設定し直した後に、音の移動感の向上を感じたんです。

        ホームシアター関係のサイトはほとんど目を通しているのですが、ランクアップしたサブウーファーの導入で低音以外の音も向上することは指摘されていても、音の移動感が向上する記述は見当たらなかったので。「アトモスがらみの記事はまだ少ないからだろう」「プラセボだろう」と思っていたんです。

        そうか、音の指向性がその答えだったんですね! 知識はありましたが、そこに全く考えが至りませんでした。ちょっとしたショックでした。いやあ、なんでそのことについて触れているホームシアター関連のサイトが無かったんだろう。それって当たり前なの?(苦笑) アトモスは思っていたほどの効果は感じなかった、という人の中にはサブウーファーが問題になっている人がいるだろうなあ。ウチキネマー様のアドバイスで私のような初心者が数多く、恩恵を受けると思います。

        来年はUHD BDプレーヤーかもう一台(4Kプロジェクターはまだ持っていませんが)、NS-SW300を導入してサブウーファー2台体制にするかで悩んでいます。アトモスにサブウーファー2台体制は、評判が良さそうなので。

        今晩も、以前にご紹介した IMAXイントロ動画 を楽しみます。重ね重ねありがとうございました。どうぞご自愛下さい。

    • うめ吉
    • 2019年 10月 09日 11:26am

    失礼しました。上のコメントはうめ吉です。

    • ううめ
    • 2019年 10月 09日 11:25am

    スパイダーバースレビュー、ありがとうございました。
    私が体験できないアトモスのスパイダーバース
    あとシネスコ画面もホントうらやましいです。
    天井に数十センチでも迷光対策ができると、見栄えがまたさらに良くなるんでしょうけどね。
    なかなか天井の迷光対策は難しいです。
    私はスクリーンを床下に寄せているので、床がてかります。
    床なら映画を観るときにだけ、長いカーペットを敷く感覚でひいてから観れるので、ハイミロン購入を考えているのですが、最近サブウーファーを新調したばかりで、当分先になりそうです。
    キャプテンマーベルのレビューも楽しみにしております。未見なのですが、私の周りでは賛否両論で、だからこそウチキネマー様のレビューを楽しみにしています。のんびり余裕のあるときにお願いします。

      • ウチキネマー@管理人
      • 2019年 10月 12日 5:02pm

      ううめさん、初めま……うめ吉さんでしたか。こんにちは。

      そうなんですよね、リビングシアターは迷光だらけです。
      それ理解と覚悟の上でリビングシアターをしているので、今となっては殆ど気にしていませんが
      やはりドルビーシネマなどを観るとやはり「なんとかせねば…」と思ってしましますが、
      迷光対策が簡単にはいかないところがリビングシアターの悲しいところです。
      スクリーンの設置すら難しいですが、
      トップスピーカー設置でも説得に苦労しましたものの
      最終的には許してもらえたのでスクリーンもいずれはと思っています。

      ただ、リビングなので設置するなら巻き上げ式のスクリーンになるでしょうが、
      設置するのはなんとかなっても、せっかく設置したのに波打つ場合もあるので
      平面性を重視するなら壁がベターなのかも知れません。
      プロジェクター投影用の壁紙もありますから
      その辺で妥協しそうな気もしますが、それでは最初の話の迷光対策はどうなる…とグルグル永久ループに陥ります。

      ハイミロンはご存じの通りかなり光を吸収します。広告用の商品撮影にもよく使われる生地です。
      ただし、生地には笑ってしまうくらいめちゃくちゃホコリがつき易いのでその辺は考慮、もしくは覚悟しておいてくださいね。
      シアター用途として購入するのならおそらく黒でしょうから余計に付着したホコリが目立ちます。
      いつの間にか濃い目のグレーに、なんてことは無いと思いますがマメにメンテナンスは必要です。

      光の吸収素材で思い出しましたが、
      Vantablack(ベンタブラック)の10倍黒い新素材が最近発見というか、偶然生まれました。
      名前がまだ付いていないのですが、光を99.995%吸収する素材だそうです。
      これ、壁に塗布したら漆黒の世界ができあがるのでしょうね。

      サブウーファー新調されたのですね。いかがですか?
      やはり低音が良くなると音全体が良くなりますよね!

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