新型 Apple TV 4K(第2世代)が発表され先日発売された。4年前に発売された1世代前のApple TV 4K本体に対しては今でも不満がない。UIも充分サクサク動くし、第2世代になって処理速度が上がったからといって映画を観る分には全く関係がない。もし、処理速度が上がったからといって2時間映画が1時間に短縮されるようなヤバい端末があるなら買ってはいけない。
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前Apple TV 4K(第1世代)を既に持っている人は買い替えの必要性を感じない?
ゲームの目的以外には第2世代に買い替える必要性を全く感じない。新たに導入されたキャリブレーション機能はソフトウェア機能なのでtvOSのバージョン14.5以上で対応可能だし、使用するCPUの処理速度が上がっても映画視聴にはほぼ関係ない。音に関しても同じ。
HDMI出力端子がバージョン2.0から2.1へ上がったので今後の8K/30Hzや4K/120Hzなどにも対応準備はできているのだろうが、今はそもそもコンテンツがない。不思議なのは、なぜか先日発売された第2世代のApple TV 4KからHDMIのバージョンが2.1になったことと併せて4K UHD/HDR/60Hzに対応したっぽく書いている情報が多いのだが…そもそもHDMI2.0の時点で規格上4K UHD/60Hzは出力可能だ。だから、私が使っている第1世代のApple TV 4Kも画面設定では4K UHD/HDR/60Hzが候補として表示されているのだが…どゆこと?…実はできないの?映画を60Hzでは観ないからいいけど、…いらないけど…出来るけど使わないとは違い、そもそも出来ないのというのは気持ち的に何か嫌だな。
新たなWi-Fi通信規格Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax 理論値最大9.6Gbps)にも対応したが、第1世代Apple TV 4KのWi-Fi 5(IEEE 802.11ac 理論値最大6.9Gbps)でさえ実測値はWi-Fi 4(IEEE 802.11n)の理論値最大の400Mbpsにも満たないことが多い。そもそも自宅まで届く光回線を10Gbpsで契約しているところは少なく、10Gbps契約しようにもサービス提供圏外だったりする。今は提供範囲も市内など一部の地域に限られたり、戸建て限定だったりするので当面はフレッツ光回線で1Gbps、NURO光でも2Gbpsが多いだろう。そう考えるとやはり今すぐには必要のないスペック。
その他、雑誌やWEB上ではさも第2世代ならではの書き方になっているが、その殆どが既に第1世代からできることばかり。新規でApple TV 4Kを購入する以外、既に第1世代のApple TV 4Kを持っているのなら、わざわざ買い替えるだけの動機付けが乏しい内容であることは否めない感がある。
ゲームが目的で、今後処理能力を求めるゲームが出てくるようになった時、ハイスペックでハイフレームレートにも対応した新型Apple TV 4Kに買い替える必要が出てくるかも知れない。あくまでもApple TV 4K上でゲームをしたいのならだが、そのためのキラーコンテンツもない。
しかし…。
唯一、Siri Remote(リモコン)だけは!
上記で述べたように私の用途が映画視聴主体なので、発表があった新型Apple TV 4K本体には特に魅力を感じなかった。しかし、新型Apple TV 4Kには新しいSiri Remote(以下、「リモコン」)が付属している。やっとApple TV 4Kの操作にストレス無く使えるリモコンを出してくれた。今回の新型Apple TV 4Kの発表&発売に至ったメインは本体よりむしろ、このリモコンにある…と言っても過言ではない気がするのは私だけだろうか。
前のリモコンが個人的には非常に使いにくい。薄くて軽くて小さく、オシャレで使いにくい。機器の操作に「オシャレは我慢」などとアホなことを言っている場合では無い。とにかくトラックパッド(タッチ・サーフェス)が使いにくい。薄くて軽くて小さく、持ちにくいあのリモコンの小さな面積の中で親指を上下左右にスワイプ(スライド)させながらカーソル移動や決定などを思い通りに行うのは、結構なストレスを感じる。
トラックパッドの反応速度を「低」にして多少は操作し易くなったが、やはり文字などの入力には微妙な操作が必要になる。スワイプする速度も感知するので、遅すぎるとムニュっとなって元の位置に戻ってくるし、速すぎると目的の文字を通り過ぎたりとイライラさせられた。検索などで文字入力を求められたら、リモコンを投げ捨ててやりたいほどだ。
リモコンを少し斜めに持っていると指で縦方向にスクロールするつもりが、横方向に少し動いてしまったりする。トラックパッドのコーナーをタップしてみたり、自分なりに「こうやって操作すれば確実か」など、なんとか工夫して使っていたが、たかがリモコンの操作に思考と熟練度を要するのはさすがにやってられない。私だけかと思ったら結構多くの人が同じようなことを思っていたので歳のせいでは無いのだと安心もした。
デザインは見た目だけでは無い。見る人、利用する人の事を考えるのがデザインだ。使いやすさを追求したら結果的に見た目にもカッコ良くなる。機能美というやつだ。前回のリモコンはお世辞にもデザインが良いとはいえない。ただ見た目だけをスマートっぽくしただけ。ジョブズ時代ならこうはならなかっただろうと、つい「Apple、昔は良かった」思考になってしまう。
新型リモコン(Siri Remote)で、やっとApple TV 4Kがストレス無く使える
よほど前のリモコンに対して不満の声が上がっていたのだろう、このリモコンは単体でも販売されている。前Apple TV 4Kでもなんら普通に使えるようだ。ただリモコンだけで税込6,500円もするのは高すぎる。Fire TV Stickを買ってもおつりがくる値段。さらに480円足せば、Fire TV Stick 4Kが買える。しかし、いまのままApple TV 4Kを使い続けるのはつらい上、操作がしづらいために使わなくなるのは更にもったいない。なかなか足元を見た価格設定になっている。ということで少々腹立たしいが、新型のSiri Remoteを入手するためAppleのホームページで予約購入した。
Apple公式ホームページ / https://www.apple.com/jp/
今回発売になったApple TV 4Kに付属するリモコンはデザインが一新。以前のような四角いトラックパッド形状を廃止し、代わりにかつてのiPodにあったホイールような円形状の方向キーが採用されている。ホイールには上下左右に点のマークが付き、4方向を物理的に押し下げることができるようになり、中心が決定ボタンになっている。トラックパッド機能は継承されており、円形状の方向キー全体が、トラックパッドとして機能する。これなら、トラックパッド機能を利用しつつ、上下左右、決定は物理ボタンのようにも画面操作ができる。
アプリや動画選択時のスクロールなどにはトラックパッドのように上下左右にスワイプさせて使い、1つ右や2つ左など、目視で確認しながら選択するときは各方向ボタンを押し下げる使い方が操作し易い。もちろん方向ボタンを押し下げたままでも上下左右にスクロールできるが、ここはやはり加速度センサーに対応した(早く指を動かせば早く動く)スワイプの方がスクロールは早いし、逆に文字入力などで目的の位置が決まっている場合は方向ボタンを押して1つひとつ移動した方が確実。このリモコンはその両方の動かし方ができる。
新しいリモコン(Siri Remote)への交換&設定
以前のリモコンと比べると本体はアルミ削り出しで重さと大きさがあり手触りもサラッとした滑らかさ。手の馴染みは断然今作のリモコンの方がいい。薄くて軽くて小さくてオシャレで持ちにくく、操作がしづらい前回のリモコンは操作中に落としそうになったが、これならしっかりグリップできるので安心だ。
リモコンを交換利用するには新たに使用したいリモコンの戻るボタンと、リモコンの音量アップ(+)ボタンを同時に押してApple TV 4K本体に10センチ以内に近づけるだけ。それだけで完了する。以前のリモコンはこの時点で破棄される。元のリモコンに戻したい時は同様に前リモコンで戻るボタンと、リモコンの音量アップ(+)ボタンを同時に押して、Apple TV 4K本体に近づける。2つのSiri Remoteは登録できず、いずれかになる仕様だ。
音量ボタンなど、以前のリモコンにIR(赤外線)送信機能として登録しているキー操作は本体側で記憶しているので、リモコンでの再設定は必要なく、そのまま新しいリモコンに継承される。ただし、新たに追加された消音ボタンを使用するには新たに登録し直す必要がある。また、電源ボタンはApple TV 4Kの電源のON/OFF(正確にはスリープ)をコントロール。CECコントロールをオンにしている場合は長めに(1秒ほど)押すとApple TV 4KでCECコントロールしている機器が全て連動する。
かつてのiPodのホイールとは違う動きのホイール状のトラックパッド
新しいリモコンでレスポンスが悪くなるなどはなく、従来通りApple TV 4Kはサクサク動く。ホイール状になっている方向ボタンが物理的に押し下げられるので使い勝手は格段に良くなった。個人的には方向キーが「かつてのiPodの様」だと思っていたので、ホーム画面でのカーソル移動時のトラックパッドの動きが思っていたのと違い一瞬戸惑った。
ホイール状になっているので一方向のスクロールをかつてのiPodの様にクルクルと回してしまいがちだが、実際の動きはトラックパッドと同じ。考えてみれば分かることだが移動は上下だけや、左右だけではない。上下左右に動かす場合でホイールを回すのでは、タテ方向かヨコ方向どちらの方向に移動したいかなんて、操作している本人しか認識していない。
あくまでも上方向にスライドさせれば上に動き、下方向にスライドさせれば下に動く。なのでiPodの様にクルクルと回すと、選択が上いって、右いって、下いって、左いって、また上に戻る、を繰り返してしまう。これ、私だけではなく以前からiPodを使ったことがある人の多くがやってしまっているようだ。分かるぞその気持ち!
それでも「動画の早送りや早戻しにはiPodの様にクルクル操作したい!」そんな要望もこのリモコンは一部のアプリではあるが叶えてくれる。iPodの様にクルクルと回して使うのはNetflixやAmazonプライムビデオ、U-NEXTなど動画再生時に使うことができる(Youtubeでは使えない)。
やり方は、再生中に一時停止し、下にタイムバーとサムネイルが表示されている時に、方向キーのみをタッチしたままにする(押し下げない)。するとタイムバーの現在の位置を示す場所にサーク状のアイコンが表示される(この時に指を離すと消えるので注意)ので、そのままホイールをなぞるように指を回すと早送り早戻しができるようになる。なんか裏ワザ的だが、これでかつてのiPodのようなホイールでの操作ができる。
この機能はYoutubeでは使えない。再生画面のUI(ユーザーインターフェース)がApple TV 標準仕様の場合のみ使えるようだ(Youtubeは独自のUIなので使えない)。再生中の動画がApple TVの標準UIか分からない場合は動画再生中にトラックパッドで上から下へスワイプ(もしくは方向キーで下をクリック)すると情報表示されるものがApple TV標準UIなのでそれで判断できる。また、設定でトラックパッドを無効にし、クリックのみにしている場合も利用できない。
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今はWEB上でこの操作の情報は当たり前のように出ているが、発売当時は私も知らず初めにこれを発見した時は「んん?今タイムバーのところに何か出たな」と思ってもう一度出現させようとしたら思ったようにホイールアイコンが表示されなかったり、表示されたと思ったらすぐに消えたりと、少しややこしい仕様だがコツさえ掴めばすぐに慣れた。
私はホイール操作が必要なほど映画をあまり飛ばして鑑賞ことはないが、知っていると便利な機能だ。冒頭から後半位まで早送りする場合は、何度も指を往復させてスワイプするより断然便利。ホイール操作が必要な時はなかなか無いかもしれないが、その時は使ってみて欲しい。他のデバイスではできない超時短操作ができる。
今回のSiri RemoteでやっとApple TV 4Kのリモコンとして、ひとつの「解」が出た気がするほど操作性が向上する。リモコン単体としては高価でなかなか痛い出費だったが購入して正解。
安くなっているからといって中古でも第1世代を買うと多分リモコンに不満を感じて、結局は私のようにリモコンだけを追加購入することになるかもしれない。ならば、最初から第2世代を購入した方が安く済む。
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