ホームシアター,プロジェクター,映画,家キネマ。

映画館の危機か?動画配信の台頭とSNSの呪縛

今も尚、勢力を伸ばしつつあるAmazonプライムビデオやNETFLIXなど、家庭で気軽に視聴できる動画配信。劇場で公開された映画だけでなくオリジナルの映画やドラマを制作し、配信しているがその出演者もメジャーな映画俳優などが起用され、かなり豪華。映画内容はさて置き劇場公開映画とスケール感はほぼ同等。劇場とは画面サイズはもちろんのこと、音響にも差はあるが、それを問題としていないほど加入者も増えているようだ。

一方、劇場公開映画では新作映画もあまり振るわず、昔の映画のリメイクやリブート作品ばかりでコケっぱなし。直近ではジェームズ・キャメロンが制作に復帰し、期待が持たれた「ターミネーター:ニュー・フェイト」などは北米公開初日の興行収入は約11億円(1,060万ドル)で、散々こき下ろされた前作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」の約30億円(2,740万ドル)よりも興行収入が悪い。PR費用も含めた制作費と興行収入の収支バランスが著しく悪くなっている。

そんな中でも1人勝ちしているのがマーベル、ルーカス、21世紀フォックスなどを傘下にもつディズニー配給映画くらいだろう。「アナと雪の女王2」でも初日の興行収入は公表されていないものの公開から3日間の日本国内だけで19億円を突破した。今回も前夜祭が異様に盛り上がった様子の2019年12月20日公開「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」も日本国内3日間で15億を超え、公開16日目には興行収入50億円を突破し、現在(2020年1月19日時点)もさらに伸ばしている。やはり「アナの雪の女王2」は観客として小さな子供も多く、大人が必ず連れて行くことになるので、仮に観客世帯数(世帯カウント)が同数なら「スター・ウォーズ」よりも収入は上回ることになる。

今も尚、具体的な動きのないハリウッド

以前にも「NETFLIXなどのネット動画配信と民放テレビ番組離れ」というタイトルで述べたが、あの頃も以前からの映画館ビジネスモデルがいまだに変わっておらず、めざましく発展している動画配信時代の変化に追いつかずにいる。

重要なコンテンツもハリウッド映画はリブート作品や過去のヒット作の続編などの映画作品頼りだ。とうとう「トップガン マーヴェリック」(2020年夏公開予定)という「トップガン」の続編まで持ち出したのには「やんのかい!」と少し笑ってしまった(イヤ〜観に行っちゃうかなぁ〜)。しまいには「フラッシュダンス2」(アレックスが審査員側になっている)とか、「スタンド・バイ・ミー・アゲイン」(…このタイトルだと、もはや介護だな)とか作り出したら、もうこの業界は終わっているのではないかと本気で心配になってくる。

2年ほどでの続編作品は純粋に続編映画として観られるが、随分年代を跨いでから今更続編を作ると、新作がヒットしないから過去にヒットした作品のキャストも含めて続編を作る事により、当時見に来てくれた人達を再度呼び寄せようと相当焦っている感じがひしひしと伝わってくる。ハリウッドもネット配信とのバランスを取ろうと協議や検討には入っている様子だが具体的には今のところ全く変化が見られない。映画館も含め、映画業界における昔の重鎮が今もなお居座ってふんぞり返り、自身の利益を守ろうとしているのだろうか。

映画制作側がこのままでは映画館業界も衰退してしまいそうだ。映画配給会社は今まで映画作品を上映してもらうという「売ってもらう」だけの立場から、自らも制作したコンテンツをネット配信できる立場にもなってきているので、何も映画館だけに頼る必要がなくなってきている。ネットインフラが整った現代では制作側の方が有利だろう。その一方で映画館は上映する作品がないと死活問題に直結してしまう。

現代人の映画視聴スタイル

映画館はハード面で確かに昔より進歩している。IMAXやドルビーシネマといった昔の映画館では考えられなかった巨大なスクリーンにクリアな映像や、ドルビーアトモスなど全方位から鳴り響く映画音響、漆黒の館内など、どれも映画に興味のある人なら実際に体験すれば素晴らしいモノばかり。

しかし、その映画館に向けて足を運ばせるための導入部分にあたるコンテンツが伴っていない。上映される映画が動画配信サービスにアップされるのを待てないほど魅力的に見えなければ、そもそも足を運ばないだろうし、仮にそれほど魅力のある映画であったとしても現代人の映画に対する考えが「映画の内容さえ分かればわざわざ映画館で観なくてもいい」という姿勢らしい。

確かに全員ではないにしろ多くの人達からそれを聞く。音楽をわざわざひと手間かかる高音質のレコードやCDではなく、スマホのハイレゾではないストリーミングサービスを適当なイヤフォンで聴くだけで充分という考えと同じような気がする。自分に取って必要な目的さえ満たせばスタイルや画質・音質などはどうでもいいのだ。ライブなどの実物のアーティストが演奏する「本物」はお金を出して惜しげも無く足を運ぶが、いくらリアリティがあろうが、あくまでもフェイクの「本物感」は別にお金を掛けてまで必要としていないようだ。そう考えると真の本物志向なのかもしれない。

世代なのかどうかは分からないが、私は作り物(フェイク)と分かっていても「まるで生演奏」や「まるで本物」などというフレーズには弱かった。いや、今でも弱いかも知れない。まるで本物のモノや音を手中に収めるようでワクワクした。絶対に手に入らないものを手にするようでそれが夢だった。映画なら絶対に現実には起こりえないことが、スクリーンの中では現実に起きているかのように見せる、あのリアリティが面白くファンタジーだった。場内の照明がスッと落とされると、映画を「観る」から「体感」するに変わるあの特別感やドキドキ感が子供の頃から好きだった(今でもIMAXのオープニングムービーにはワクワクする)。時代と共にどんどん映像もリアリティが増してさらにワクワク感が増したのだが、今はそれが当たり前の時代。子供の頃からリアリティのあるフェイク映像を観てきている現代の人達は特に映像に目新しさを感じることなく、「はいはい、そんなフェイク映像はいいから内容をしっかり作って」と言わんばかりに、映画におけるリアリティのある映像表現には特に心が動くことがない。

また、今の人の映画視聴スタイルに合っていないとも考えられる。日本国内だけの話なのかもしれないが、映画では自らチケットを買っておきながら(ただの付き合いかも知れない)、約2時間という拘束時間がどうしても耐えられないようで、以前に朝の情報番組でも話題に上っていたが上映中でもSNSなどが気になるらしく、映画よりもスマホを見たくなるらしい。中には鞄の中に入れながら見てるから他の人に迷惑を掛けていないと思い込んでいる人や、マナーモードにして音は出していないから問題無いと全く悪意無く使用している人もいる。

現実社会でリアルタイムに変化するSNSの「本物」の世界と、2時間程拘束されてしまうフィクション満載の映画で「本物感」がある世界。友達の話題にノリ遅れる事への恐怖の方が観たい映画よりも勝ってしまう。だから映画館で人の邪魔になるくらいなら自宅で動画配信サービスで映画を流しながら、スマホでSNSをチェックし、映画の気になるシーンだけ手を止めて画面に目を向ける。または、映画を観ていてもスマホ画面がSNSの受信反応をすれば視聴中であっても即スマホをチェックする。それが今の人達(一部の人達だが多い)の映画の視聴スタイルになっているようだ。

スマホ使用OKの映画館が必要なのかもしれない

映画好きや映画館好きな人からすれば「上映中にもスマホ見たいなら映画館に来るな」と個人的に言いたいところだろう。仮にそういう人達を映画館から完全に閉め出せても、今後そういった人口が多くなればなるほど、映画館は一部の映画好きな人のための産業になってしまい、こんどは映画館が衰退してしまう。映画館側の利益だけを考えれば上映中スマホを見てもいいから映画館に来て欲しいだろう。

だとすると映画館はこれを一部で容認するしかないのだろうか。「ながら視聴OKの映画館」…これ、私は絶対に行かないが、スマホを見ながらでも映画を楽しめるような何か工夫や仕組みがあれば、今SNSにある意味拘束されてしまっている人も気軽に映画館に行けるのではないだろうか。電話でしゃべったり、音を出すのはさすがにマナー違反だが、SNSのチェックができるように上映中もスマホの光る画面が気にならないくらい劇場内は明るく、そのために明るい環境でも視聴できるようプロジェクターをデュアルで投影したり、超高輝度のプロジェクターの導入などが必要になるが他はそれほど設備を変える必要もない。映画の世界への没入感はゼロだが、上映中にスマホをチェックしたい人など端っから没入感など必要無いと思っているからスマホをいじるのだろう。場内が多少明るくても文句はあるまい。

例えば、シネコンではスクリーン1の場内だけスマホOKなどにして、上映映画はその時上映されている映画を全て切り替えて1日回す。他のスクリーン場内はスマホ厳禁で上映中は電波が入らない構造や設備にしてしまう。他には3D映画なら機械的にスマホをロッカーに預けないと3Dメガネが受け取れなかったりとか…。無視して3Dメガネを取り出さずに映画を観ても、2時間程は二重にボケた映像を観ることになるので地味にイヤだろうと考えたが、そうなるとそんな人は映画を観ずに終始スマホをいじっているのだろうから、この嫌がらせのような案は却下だな…。それより問題はスマホをOKにしてしまうと、必ず盗撮する犯罪者が現れるので、それをどう防ぐかが課題として残る。

半分本気のようで冗談のような話になってしまったが、映画館はそれほど危機感をもって工夫しながら運営しなければ、今後は映画コンテンツやハード面を強化するだけでは運営できないほど、映画館から足が遠のく人が多くなってきている。上映中でもスマホをイジりたいだけで映画に興味がない、というわけではないのだろうから現代の視聴スタイルに合わせた映画館作りが必要になるのだろう。


 


コメント

    • もみじ
    • 2020年 1月 21日

    ご返信ありがとうございます。
    CDで思いだしましたが最近8年ぶりにクルマを買い替えまして、初の欧州車(笑)ですが、なんとCDが付いていません。
    理由を営業マンに聞くと欧州では環境保全?とCDの重要がなくほとんどの方がストリーミングで音楽を楽しむため・・・ということでした。まさにスマホを持っていない自分としては浦島太郎状態でしたが、言われてみれば日本も似たようなもんだなと感じた次第です。仕方ないのでPCでUSBに落としたものを聞こうとしたのですがUSBは新規格のType-Cポート!慌ててて変換アダプターを買いました(笑 音楽メディアなんかはもっと衰退が早くから始まってるんでしょうね。そうです!パッケージソフトには3D(自分観れないけど 笑)と最高の音質がありますよね!ホームシアターって素晴らしいです。自宅であれだけの臨場感を誰にも邪魔されず体感できるんですから・・・、ウチキネマーさんみたいに部屋いっぱいの映像なら尚更だと思います。僕は休日の午前中に15キロランと筋トレで汗流してスカッとしたあと、午後に好きな映画を爆音視聴するとストレスなんて吹っ飛びすぎちゃって視聴後はポカ~ンとしてます(笑

    • もみじ
    • 2020年 1月 20日

    ウチキネマーさんこんにちわー
    今年も宜しくお願い致します。
    ちなみに僕はいまだにガラケーです(爆
    一度持ったら手放せなくなるでしょうが持ってない者からすればなくても不便は感じません(笑 帰ればPCありますしね。
    劇場離れの件ですが、僕は自宅をホームシアターにしてからは余程の思い入れがある作品でないと観に行かなくなってしまいました・・・
    去年は結局「キャプテンマーベル」と「A/エンドゲーム」のみ(笑 (エンドゲーム繋がりでなければ直前にやったCマーベルも行かなかったかも)
    IMAX上映や絶対的な音量による臨場感や迫力は劇場ならではなのですが、神経質な自分には周りに気が散る要素が盛りだくさんで、
    我慢できるならソフト化を待って自宅でゆっくり視聴したい・・・というのが本音です(劇場離れの中ではめずらしいパターンでしょうが)
    あの劇場体感には敵わないものの、自宅は自宅で十分な臨場感が味わえますしね!

    ところで配信の話ですが年末配信になったネットフリックスの「6アンダーグラウンド(4kHDR/Atoms DD+)」、アクションシーンも素晴らしかったですが
    それ以上に今まで観た配信作品の中では最も迫力ある音響でした。勿論圧縮アトモスですがここまでの迫力と立体音が配信モノでも出せるんだな・・・と
    感心してしまいました。
    個人的に危惧しているのは、現在配信作品がここまでのポテンシャルが出せるようになったため、ソフト離れが加速していきやがてUHDなんかも
    無くなっちゃうんじゃないかということです。勿論それなりのシステム組んでれば音の違いはいまだ大きな差があると思いますが映像に関しては
    4kHDRなんかもそこまでの差が無いですからね。特に画も音も素晴らしい「アップルTV4k」の存在が脅威だと感じています(笑

    ※「ワイスピ/スーパーコンボ」はご覧になりました?UHDもBDもアトモスなのですが最近のアトモス作品では素晴らしい音響に感じました。
     ウチキネマーさんの感想が是非お聞きしたいと思いまして・・・

      • ウチキネマー@管理人
      • 2020年 1月 21日

      もみじさん

      こんにちは。
      こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

      そうなんですよね…スマホ。一度持って慣れてしまうと、
      出先でちょっと調べる、探すなどが便利過ぎて手放せない存在になりますが
      逆に、プライベートも仕事も一緒に使っている私は、
      仕事からも解放されなくなるのでストレスにもなります。

      私もこんなコラムを書いておきながら、昔よりも劇場に足を運ぶことが減りました。
      理由はもみじさんと同じです。
      自宅でそこそこお金を掛けて自分の思うようにホームシアターのシステムを組んでしまうと
      快適で、楽しくて、自由で、誰にも邪魔されず、他人の邪魔をする事もなく好きに好きな映画を
      迫力満点で何度も観られるホームシアターは映画館にはない別の良さがありますよね。

      今は観たい劇場公開の映画があると、純粋にその映画を劇場で観たいという動機も
      もちろんありますが逆立ちしても勝てるはずのない自宅のシステムとの「差」を確認するため
      「映画を楽しむ」という本来の目的とは少し違う意図でも観に行ってしまいます。

      「6アンダーグラウンド」まだ観ていないので、凄く観たいのですよね。音響も楽しみです。
      もみじさんの仰る通り、映画館よりもディスクメディア離れの方が深刻かも知れませんね。
      音楽でいうCDと同じ道をたどっているような気がします。
      私達のように自宅でホームシアターを組んでいる人はまだ先々まで購入するでしょうが
      システムを組まずにネット配信を普通に楽しんでいる方達にとっては
      ディスクメディアは高価なだけで購入意欲の沸かない中途半端な存在かも知れません。
      (変な抱き合わせ販売もありますしね)

      アップルTV 4Kは我が家でいうAmazon Fire TVに置き換わるデバイスとして非常に興味はあるのですが
      …本体価格がお高いのがネックになっています。
      今はFire TVで網羅出来ているので今後Fire TVに何らかの不満やストレスを感じないと
      買い替えの衝動には駆られないと言ったところです。
      観たらきっと違いが分かるでしょうし、ブログのネタにもなるので入手したいのですが、
      今はそれにお金を出す分、かつて買いそびれた映画やネット配信で観て気に入った映画を
      購入しようとする動機の方が勝ってしまっています。
      (それ以前に現在は正月行事のなんだかんだの出費で金欠状態に陥っております)

      正月休暇は年末からの仕事のストレス解消にIMAXで「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」と、
      自宅では「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(UHD Blu-ray)、
      「モータルエンジン」(アマゾンプライム)、「ファーストマン」(アマゾンプライム)、
      「アリサ、ヒューマノイド」(Netflix/珍しくロシアドラマ、全16話)…等など…
      ついイッキ観をしてしまい、逆に少し疲れたという本末転倒なことをしてしまいましたよ。
      我ながら何やってんだか…。

      ※「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」の入手まだですが、
       3D版が販売されているので(ディスクメディアはコレがある!)Blu-rayで購入視聴予定です!
       購入は少し先かと思いますが、入手したらレビューしますね。
       劇場では、ドルビーシネマ劇場(梅田ブルク7)で「フォードvsフェラーリ」を鑑賞予定です。

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